男性韻
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男性韻(英語: masculine rhyme, フランス語: rime masculine)は西洋詩の韻律における押韻の種類の1つ。文法上の性とは関係がない。
英語の詩においては、行の最後に、1つの強いアクセントの音節を押韻したもの。単韻(single rhyme)と言い替えてもよく、女性韻(feminine rhyme)・二重韻(double rhyme)と対照的に使われることが多い。ロシア語やドイツ語の詩にも同様の概念がある。
フランス語の詩においては、行の最後が無音の「e」で終わる女性韻(rime féminine)に対し、「e」以外で終わる押韻を指す。両者は組み合わせて用いられる。
英語詩
[編集]男性韻は、英語詩の、とくに厳粛な詩の中で、すべての押韻の過半数を含む。次のジョン・ダンの詩『Lecture Upon the Shadow』はその一例である。
- Stand still, and I will read to thee
- A lecture, love, in Love's philosophy.
- These three hours that we have spent
- Walking here, two shadows went
- Along with us, which we ourselves produced.
- But now the sun is just above our head,
- We do those shadows tread,
- And to brave clearness all things are reduced.
フランス語詩
[編集]「女性韻#フランス語詩」も参照
Souvent, pour s'amuser, les hommes d'équipage
Prennent des albatros, vastes oiseaux des mers,
Qui suivent, indolents compagnons de voyages,
Le navire glissant sur les gouffres amers.
(ボードレール、『信天翁』)
2行目「mers」と4行目「amer」が無音の「e」で終わらない男性韻である。1行目「équipage」と3行目「voyages」は女性韻であり、このように男性韻と女性韻は組み合わせて用いられる。用法・用例の詳細については「女性韻#フランス語詩」を参照。