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'''スノッブ'''(snob)は一般に俗物、また'''スノビズム'''(snobbism)は俗物根性と訳される。
'''スノッブ'''(snob)は一般に[[俗物]]、また'''スノビズム'''(snobbism)は俗物根性と訳される。


多くの場合「知識・教養をひけらかす見栄張りの気取り屋」「上位の者に取り入り、下の者を見下す嫌味な人物」といった意味で使われる。
多くの場合「知識・教養をひけらかす見栄張りの気取り屋」「上位の者に取り入り、下の者を見下す嫌味な人物」といった意味で使われる。


元々イギリスの学生の間で使われていた[[隠語]]であった。語源については諸説あるが、次の2つが代表的なものである。
元々[[イギリス]]の学生の間で使われていた[[隠語]]であった。語源については諸説あるが、次の2つが代表的なものである。


;ラテン語説
;ラテン語説
:''sine nobilitate''(貴族階級でない者=平民、賎(しず))の短縮形。
:''sine nobilitate''(貴族階級でない者=平民、賎(しず))の短縮形。
;靴屋説
;靴屋説
:18世紀初期の[[ケンブリッジ大学]]において、「大学内に出入りする大学とは関係のない人々」を指す学生たちの隠語として「靴屋(snob)」が使われており、これが語源であるとする説。
:18世紀初期の[[ケンブリッジ大学]]において、「大学内に出入りする大学とは関係のない人々」を指す学生たちの隠語として「[[靴屋]](snob)」が使われており、これが語源であるとする説。


[[オックスフォード英語辞典]]は靴屋説を採用している。また同書によると、元々は身分の貴賎とは無関係に使われていたが、19世紀頃から現在のような「賎の者のくせに、貴族の真似事をする」という意味に変化していったとしている。ちなみに、[[スコットランド]]では現在も''snob'' は「靴屋」のことである。
[[オックスフォード英語辞典]]は靴屋説を採用している。また同書によると、元々は身分の貴賎とは無関係に使われていたが、19世紀頃から現在のような「賎の者のくせに、貴族の真似事をする」という意味に変化していったとしている。ちなみに、[[スコットランド]]では現在も''snob'' は「靴屋」のことである。


[[ウィリアム・メイクピース・サッカレー|サッカレー]]が1848年に"The Book of Snobs"(邦訳:筑摩書房『世界文学大系』40所収「いぎりす俗物誌」)を著したことから流行語になり、広く知られるようになった。1866年にはフランスの隠語辞典にも収録されたという。
[[ウィリアム・メイクピース・サッカレー|サッカレー]]が1848年に"The Book of Snobs"(邦訳:[[筑摩書房]]『世界文学大系』40所収「いぎりす俗物誌」)を著したことから[[流行語]]になり、広く知られるようになった。[[1866年]]には[[フランス]]の隠語辞典にも収録されたという。


[[マルセル・プルースト]]の『[[失われた時を求めて]]』には、[[社交界]]の[[サロン]]に集まる人々の俗物ぶりが辛辣に描かれている。
[[マルセル・プルースト]]の『[[失われた時を求めて]]』には、[[社交界]]の[[サロン]]に集まる人々の俗物ぶりが辛辣に描かれている。
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[[Category:性格]]
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[[Category:語句]]
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[[Category:英語のスラング]]

2015年11月2日 (月) 06:10時点における版

スノッブ(snob)は、一般に俗物、またスノビズム(snobbism)は俗物根性と訳される。

多くの場合「知識・教養をひけらかす見栄張りの気取り屋」「上位の者に取り入り、下の者を見下す嫌味な人物」といった意味で使われる。

元々イギリスの学生の間で使われていた隠語であった。語源については諸説あるが、次の2つが代表的なものである。

ラテン語説
sine nobilitate(貴族階級でない者=平民、賎(しず))の短縮形。
靴屋説
18世紀初期のケンブリッジ大学において、「大学内に出入りする大学とは関係のない人々」を指す学生たちの隠語として「靴屋(snob)」が使われており、これが語源であるとする説。

オックスフォード英語辞典は靴屋説を採用している。また同書によると、元々は身分の貴賎とは無関係に使われていたが、19世紀頃から現在のような「賎の者のくせに、貴族の真似事をする」という意味に変化していったとしている。ちなみに、スコットランドでは現在もsnob は「靴屋」のことである。

サッカレーが1848年に"The Book of Snobs"(邦訳:筑摩書房『世界文学大系』40所収「いぎりす俗物誌」)を著したことから流行語になり、広く知られるようになった。1866年にはフランスの隠語辞典にも収録されたという。

マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』には、社交界サロンに集まる人々の俗物ぶりが辛辣に描かれている。