「応答関数」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
定義文他もろもろを修正 |
|||
1行目: | 1行目: | ||
ある[[入力]]が来たとき |
'''応答関数'''(おうとうかんすう)とは、ある[[入力]]が来たときにそれに対応して決まった[[出力]]を出すような物理系があるとき、一定の規格を持つ時間の関数である入力に対して出力される時間の関数のことである。また以下に示す'''インパルス応答関数'''のことを応答関数と呼ぶ場合もある。[[電気回路]]、[[粘弾性体]]、[[誘電体]]、[[光学系]]、[[制御工学]]などの分野で用いられる。 |
||
== |
== 例 == |
||
入力の形に対応していろいろな応答関数があり |
入力の形に対応していろいろな応答関数があり、分野によって命名もまちまちである。 |
||
; インパルス応答関数(余効関数、重み関数): [[デルタ関数]]型の入力の場合の応答関数。 |
|||
; [[緩和関数]]: 一定の大きさの入力が突然入った場合、あるいは突然無くなった場合の応答関数。入った場合の応答関数を'''ステップ応答関数'''('''インディシャル応答''')とも呼ぶ。 |
|||
; 周波数応答関数: 入力が正弦波の場合の応答関数。'''[[複素感受率]](複素アドミッタンス)'''と呼ぶこともある。 |
|||
; 伝達関数: 入力が exp(''pt'' ) (''p'' は[[複素数]])の場合の応答関数。 |
|||
== 線形応答理論 == |
|||
⚫ | |||
{{main|線形応答理論}} |
|||
⚫ | |||
インパルス応答関数 |
インパルス応答関数φ(''t'' )がわかっているとき、入力''x'' (''t'' ) に対する出力''y'' (''t'' ) は次の[[畳み込み]]で表せる。 |
||
:<math>y(t)=\int_{-\infty}^{t}\phi(t-s)x(s)ds</math> |
:<math>y(t)=\int_{-\infty}^{t}\phi(t-s)x(s)ds</math> |
||
ステップ応答関数 |
ステップ応答関数ψ(''t'' ) の場合は、右辺が |
||
:<math>\int_{-\infty}^{t}\psi(t-s)\frac{dx}{ds} ds</math> |
|||
となる。 |
|||
周波数応答関数を |
周波数応答関数をΦ(ω) (一般に複素数)、入力''x'' の[[フーリエ変換]]を''X'' (ω) とすると、出力のフーリエ変換は |
||
:<math>Y(\omega)=\Phi(\omega)X(\omega)</math> |
|||
となる。 |
|||
== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
||
* |
* {{cite|和書 |title=物理学辞典 |publisher=培風館 |year=1984}} |
||
==関連項目== |
|||
{{DEFAULTSORT:おうとうかんすう}} |
|||
*[[緩和関数]] |
|||
[[Category:物理学]] |
|||
[[en:response function]] |
2012年12月10日 (月) 05:38時点における版
応答関数(おうとうかんすう)とは、ある入力が来たときにそれに対応して決まった出力を出すような物理系があるとき、一定の規格を持つ時間の関数である入力に対して出力される時間の関数のことである。また以下に示すインパルス応答関数のことを応答関数と呼ぶ場合もある。電気回路、粘弾性体、誘電体、光学系、制御工学などの分野で用いられる。
例
入力の形に対応していろいろな応答関数があり、分野によって命名もまちまちである。
- インパルス応答関数(余効関数、重み関数)
- デルタ関数型の入力の場合の応答関数。
- 緩和関数
- 一定の大きさの入力が突然入った場合、あるいは突然無くなった場合の応答関数。入った場合の応答関数をステップ応答関数(インディシャル応答)とも呼ぶ。
- 周波数応答関数
- 入力が正弦波の場合の応答関数。複素感受率(複素アドミッタンス)と呼ぶこともある。
- 伝達関数
- 入力が exp(pt ) (p は複素数)の場合の応答関数。
線形応答理論
詳細は「線形応答理論」を参照
入力と出力の関係が線形性を持つなら、すなわち重ね合わせができるなら、任意の入力に対する出力は応答関数を用いて表すことができる。これを線形応答理論と呼ぶ。
インパルス応答関数φ(t )がわかっているとき、入力x (t ) に対する出力y (t ) は次の畳み込みで表せる。
ステップ応答関数ψ(t ) の場合は、右辺が
となる。
周波数応答関数をΦ(ω) (一般に複素数)、入力x のフーリエ変換をX (ω) とすると、出力のフーリエ変換は
となる。
参考文献
- 『物理学辞典』培風館、1984年。