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== 現在の王立図書館 ==
== 現在の王立図書館 ==
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現在、4箇所に分散している。コペンハーゲン中心部の Gothersgade には主に社会科学や法学に関する分館、[[アマー島]]には人文学の分館、Nørre Alle には自然科学と医学の分館があり、コペンハーゲン港に面した[[スロッツホルメン]]の本館にはあらゆる分野の書籍と特別コレクションが収蔵されている。
現在、4箇所に分散している。コペンハーゲン中心部の Gothersgade には主に社会科学や法学に関する分館、[[アマー島]]には人文学の分館、Nørre Alle には自然科学と医学の分館があり、コペンハーゲン港に面した[[スロッツホルメン]]の本館にはあらゆる分野の書籍と特別コレクションが収蔵されている。
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== 旧館 ==
== 旧館 ==
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1999年に開館した。2つの黒い立方体で構成されており、上にいくほど若干通りに迫り出している。2つの立方体の間にはガラスで覆われた[[アトリウム]]があり、両側は8階建ての白壁で波形のバルコニーになっていて、両側をつなぐ空中通廊がいくつかある。アトリウムはガラスで覆われているので海など外の景色が見える。旧館とブラックダイアモンドを繋ぐ渡り廊下が3つあり、それらは通りの上を跨いでいる。そのうち最大の渡り廊下の天井には、デンマークの画家 [[:en:Per Kirkeby|Per Kirkeby]] の巨大な絵画がある。
1999年に開館した。2つの黒い立方体で構成されており、上にいくほど若干通りに迫り出している。2つの立方体の間にはガラスで覆われた[[アトリウム]]があり、両側は8階建ての白壁で波形のバルコニーになっていて、両側をつなぐ空中通廊がいくつかある。アトリウムはガラスで覆われているので海など外の景色が見える。旧館とブラックダイアモンドを繋ぐ渡り廊下が3つあり、それらは通りの上を跨いでいる。そのうち最大の渡り廊下の天井には、デンマークの画家 [[:en:Per Kirkeby|Per Kirkeby]] の巨大な絵画がある。
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== 重要なコレクション ==
== 重要なコレクション ==
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所蔵品には2000点にも及ぶ[[カール・フォン・リンネ]]の著書やリンネにまつわる資料があり、1997年に歴史的重要性が認められ[[国際連合教育科学文化機関|UNESCO]]の[[世界の記憶]]に認定された<ref name=mow>{{cite web|title= The Linné Collection |url= http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22884&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html | date=2008-05-16 |publisher=UNESCO Memory of the World Programme |accessdate=2009-12-11}}</ref>。
所蔵品には2000点にも及ぶ[[カール・フォン・リンネ]]の著書やリンネにまつわる資料があり、1997年に歴史的重要性が認められ[[国際連合教育科学文化機関|UNESCO]]の[[世界の記憶]]に認定された<ref name="mow">{{cite web|title= The Linné Collection |url= http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22884&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html | date=2008-05-16 |publisher=UNESCO Memory of the World Programme |accessdate=2009-12-11}}</ref>。


他には[[アウルトニ・マグヌッソン写本コレクション]]、[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン]]の手稿や書簡、[[セーレン・キェルケゴール]]の手稿や書簡、Dalby Book(ラテン語で羊皮紙に書かれた福音書)、Angers fragment(デンマーク史上初の年代記の断片)、北極周辺の地図などがある。アンデルセンの手稿と書簡も1997年、[[世界の記憶]]に認定されている<ref name=mowroyal>{{cite web |title= Manuscripts and correspondence of Hans Christian Andersen |url= http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22664&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html | date=2008-05-16 |publisher=UNESCO Memory of the World Programme |accessdate=2009-12-15}}</ref>。
他には[[アウルトニ・マグヌッソン写本コレクション]]、[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン]]の手稿や書簡、[[セーレン・キェルケゴール]]の手稿や書簡、Dalby Book(ラテン語で羊皮紙に書かれた福音書)、Angers fragment(デンマーク史上初の年代記の断片)、北極周辺の地図などがある。アンデルセンの手稿と書簡も1997年、[[世界の記憶]]に認定されている<ref name="mowroyal">{{cite web |title= Manuscripts and correspondence of Hans Christian Andersen |url= http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22664&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html | date=2008-05-16 |publisher=UNESCO Memory of the World Programme |accessdate=2009-12-15}}</ref>。


[[ワマン・ポマ]]の『新しい記録と良き統治』(El Primer Nueva Coronica y Buen Gobierno) の署名入り写本は、1200頁の大著で400頁が挿絵になっている。アンデス山脈の原住民の視点からインカ帝国時代、1532年のスペインによる征服、初期のスペインによる植民地支配、先住民に対する権利侵害についての体系的な訴えなどが書かれている。これも2007年に[[世界の記憶]]に認定された<ref name=mowandean>{{cite web |title= El Primer Nueva Coronica y Buen Gobierno |url= http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22485&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html | date=2008-05-16 |publisher=UNESCO Memory of the World Programme |accessdate=2009-12-15}}</ref>。
[[ワマン・ポマ]]の『新しい記録と良き統治』(El Primer Nueva Coronica y Buen Gobierno) の署名入り写本は、1200頁の大著で400頁が挿絵になっている。アンデス山脈の原住民の視点からインカ帝国時代、1532年のスペインによる征服、初期のスペインによる植民地支配、先住民に対する権利侵害についての体系的な訴えなどが書かれている。これも2007年に[[世界の記憶]]に認定された<ref name="mowandean">{{cite web |title= El Primer Nueva Coronica y Buen Gobierno |url= http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22485&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html | date=2008-05-16 |publisher=UNESCO Memory of the World Programme |accessdate=2009-12-15}}</ref>。


== 本の盗難 ==
== 本の盗難 ==
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== 脚注・出典 ==
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2011年2月8日 (火) 00:28時点における版

デンマーク王立図書館
Det Kongelige Bibliotek
(The Royal Library, The National Library of Denmark and Copenhagen University Library)
「ブラックダイアモンド」ビルを南西から見たところ
 デンマーク
種別国立図書館、大学図書館
専門分野デンマークで出版された書籍や印刷物の図書館。写真についての国立博物館。デンマークの漫画に関する美術館 - コペンハーゲン大学の主図書館
創設1648年(大学図書館としては1482年創設)
関係法令特別な法律はない。運営資金は国家予算に組み込まれている。
所在地コペンハーゲン
分館3(すべてコペンハーゲンにある): Faculty Library of Humanities (Amager), Faculty Library of Natural and Health Sciences (Nørre Alle), Faculty Library of Social Sciences (Gothersgade)
収蔵情報
収蔵品種書籍、雑誌、小冊子、企業の出版物、手稿、古文書、地図、版画、写真、楽譜、風習や民間伝承についての文書、デンマークのインターネットの過去4年間の電子記録
収蔵数書籍と雑誌 6,000,000 冊、版画と写真 17,900,000 枚、小冊子や企業出版物 7,200,000 点、その他 1,000,000 点(総計 32,100,000 点)[1]
法定納本1697年から
利用情報
利用資格18歳以上。貴重な蔵書などは特別に申請が必要。
貸し出し部数年間 6,200,000 部(うち 5,600,000 部は電子的な貸し出し)
登録者数37,600 名(実際に貸し出しを行っている人数)
その他
予算額3億4000万デンマーク・クローネ(4900万USドル)
館長Mr. Erland Kolding Nielsen(1986年 - )
職員数606 名(426FTE
ウェブサイトhttp://www.kb.dk/en/index.html

デンマーク王立図書館(Det Kongelige Bibliotek)はコペンハーゲンにあるデンマークの国立図書館であり、コペンハーゲン大学の大学図書館である。北欧諸国でも最大の図書館の一つ[2]

歴史的に貴重なものをいくつも収蔵している。17世紀以降、デンマーク国内で印刷された出版物を全て収めている。過去に様々な寄贈がおこなわれたおかげで、デンマークで1482年に最初に出版された書籍を始めとして、デンマークでの全ての既知の出版物をほぼ網羅している。

歴史

1648年、フレデリク3世がヨーロッパ全体の包括的なコレクションを出発点として創設した。1793年から一般公開される。1989年、コペンハーゲン大学の1482年に創設された大学図書館 (UB1) と合併した。2005年、科学および医学についてのデンマーク国立図書館 (UB2) と合併(現在は Faculty Library of Natural and Health Sciences)。2006年1月1日、正式名称を The Royal Library, the National Library of Denmark and Copenhagen University Library(王立図書館、デンマーク国立図書館、コペンハーゲン大学図書館)とした。2008年、Danish Folklore Archive(デンマーク民俗学アーカイブ)を吸収合併した。

現在の王立図書館

デンマーク王立図書館。1906年から使われているスロッツホルメンにある建物を北西から見たところ

現在、4箇所に分散している。コペンハーゲン中心部の Gothersgade には主に社会科学や法学に関する分館、アマー島には人文学の分館、Nørre Alle には自然科学と医学の分館があり、コペンハーゲン港に面したスロッツホルメンの本館にはあらゆる分野の書籍と特別コレクションが収蔵されている。

旧館

スロッツホルメンにある旧館は1906年に Hans Jørgen Holm によって建てられた。その中央ホールはアーヘン大聖堂にあるカール大帝の宮殿礼拝堂を模している。

ブラックダイアモンド

1999年、スロッツホルメンの旧館の隣に新館が建てられ、ブラックダイアモンド (Den Sorte Diamant) と呼ばれている。設計はデンマークの建築家集団 schmidt hammer lassen である。外壁が黒い大理石とガラスで覆われていることからそのように呼ばれ、図書館の他にコンサートホールもある(位置は 北緯55度40分25.5秒 東経12度34分55秒 / 北緯55.673750度 東経12.58194度 / 55.673750; 12.58194)。

1999年に開館した。2つの黒い立方体で構成されており、上にいくほど若干通りに迫り出している。2つの立方体の間にはガラスで覆われたアトリウムがあり、両側は8階建ての白壁で波形のバルコニーになっていて、両側をつなぐ空中通廊がいくつかある。アトリウムはガラスで覆われているので海など外の景色が見える。旧館とブラックダイアモンドを繋ぐ渡り廊下が3つあり、それらは通りの上を跨いでいる。そのうち最大の渡り廊下の天井には、デンマークの画家 Per Kirkeby の巨大な絵画がある。

重要なコレクション

ワマン・ポマ著『新しい記録と良き統治』の1ページ目

所蔵品には2000点にも及ぶカール・フォン・リンネの著書やリンネにまつわる資料があり、1997年に歴史的重要性が認められUNESCO世界の記憶に認定された[3]

他にはアウルトニ・マグヌッソン写本コレクションハンス・クリスチャン・アンデルセンの手稿や書簡、セーレン・キェルケゴールの手稿や書簡、Dalby Book(ラテン語で羊皮紙に書かれた福音書)、Angers fragment(デンマーク史上初の年代記の断片)、北極周辺の地図などがある。アンデルセンの手稿と書簡も1997年、世界の記憶に認定されている[4]

ワマン・ポマの『新しい記録と良き統治』(El Primer Nueva Coronica y Buen Gobierno) の署名入り写本は、1200頁の大著で400頁が挿絵になっている。アンデス山脈の原住民の視点からインカ帝国時代、1532年のスペインによる征服、初期のスペインによる植民地支配、先住民に対する権利侵害についての体系的な訴えなどが書かれている。これも2007年に世界の記憶に認定された[5]

本の盗難

1968年から1978年にかけて、同図書館の歴史上最大の書籍盗難があった。マルティン・ルターの出版物、イマヌエル・カントトマス・モアジョン・ミルトンの初版本など1600点もの歴史的書籍、総額5000万ドル相当以上を何者かが盗んだ。この盗難に図書館側が気づいたのは1975年のことである。その泥棒は1998年から2002年にかけて、様々なオークションで盗んだ本を売ることに成功し、約200万ドルを手にした。2003年9月、盗まれた本がロンドンクリスティーズのオークションに持ち込まれ、やっと誰が盗んだのかが明らかになった。泥棒たちのリーダーは同図書館の東洋部門の責任者だった Frede Møller-Kristensen で、2003年2月に亡くなっていた。彼の死後、その遺族が残っていた本を不注意に売ったことで発覚したのである。2003年11月、ドイツとデンマークの彼らの家を一斉に家宅捜索し、1500点の書籍が見つかった。2004年6月、彼の妻、息子、義理の娘、友人らに懲役18カ月から3年の判決が下った。友人は無実を訴え、後に無罪となった。2005年4月、娘も有罪を宣告された。

館長

最初の館長は Peder Griffenfeld だった。Daniel Gotthilf Moldenhawer は同図書館のコレクションを豊かにすることに貢献した。その後、J. H. Schlegel、Jon Erichsen、Chr. Bruun、Hans J. Holm らが館長を務めている。

脚注・出典

  1. ^ 以上、ボックス内の全ての出典: Årsberetning 2009 (Annual Report 2009) [1] (デンマーク語)
  2. ^ Den store danske: Det kongelige bibliotek (デンマーク語)
  3. ^ The Linné Collection”. UNESCO Memory of the World Programme (2008年5月16日). 2009年12月11日閲覧。
  4. ^ Manuscripts and correspondence of Hans Christian Andersen”. UNESCO Memory of the World Programme (2008年5月16日). 2009年12月15日閲覧。
  5. ^ El Primer Nueva Coronica y Buen Gobierno”. UNESCO Memory of the World Programme (2008年5月16日). 2009年12月15日閲覧。

外部リンク