「パフラヴィー語」の版間の差分
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2009年8月4日 (火) 16:17時点における版
パフラヴィー語とは、中世ペルシア語の一種。3世紀から7世紀にかけてサーサーン朝ペルシアの公用語として、碑文、ゾロアスター教・マニ教の文献などに用いられた。
インド・イラン語派イラン語西部方言に分類され、古代ペルシア語の直系である。しかし、古代ペルシア語にあった名詞や動詞の活用などは著しく簡略化され、発音、文法に関しても近世ペルシア語にはるかに近い。
表記には、アラム文字の変形であるパフラヴィ文字を用いるが、アラム文字はもともとイラン語の表記を想定していない文字なのでさまざまな不具合があり、解読が困難を極める。
まず、このパフラヴィ文字は、母音を表記できない。セム語派の言語では、子音のみで単語のおおよその意味が決まるのでこれでも不都合は無いのだが、パフラヴィー語では同綴異語が沢山出来てしまう。
また、違う文字でも形が似通っており、また一つの文字がいくつもの音を表す。これは当時紀元前後のハトラ文字やパルティア文字といったイラン、メソポタミア地方で使用されていた他のアラム文字系の諸文字でも顕著な現象である。それぞれの文字の書体が時代や地域的な変化によって、本来異なる音価をもっていたはずの文字同士が、書き方がいくつかの系統に収斂してしまったと考えられる。この問題についてはアラム文字の項目も参照されたい。
さらに、単語をパルティア語などでの古い綴りのままの表記、あるいは古い綴りであると想定・再現したと思われる擬古的な表記をしつつ、読む時にはパフラヴィー語の発音で読むといった事も行われた。
さらにアラム語の単語を綴ってこれをパフラヴィー語で訓読や送りがなをつけるという事が行われる。
このような不具合があって解読が難しい為、パフラヴィー語の実際の発音を知るために、 より表音的に書かれたマニ教系中世ペルシア語文献との比較による再建が行われている。