「ソール (北欧神話)」の版間の差分

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:太陽は常に[[スコル]]という狼に追いかけられているため、急いで運行しなければならない。
:太陽は常に[[スコル]]という狼に追いかけられているため、急いで運行しなければならない。
『[[古エッダ]]』の『[[ヴァフスルーズニルの言葉|ヴァフスルードニルの歌]]』第47章では、太陽の運行は「[[エルフ|妖精]]の栄光」を意味する[[:en:Alfrodull|アールヴレズル]]という名で呼ばれている。こういった言い換えは[[ケニング (文学)|ケニング]]と呼ばれ、古北欧語や[[古英語]]では多く見られる。
『[[古エッダ]]』の『[[ヴァフスルーズニルの言葉|ヴァフスルードニルの歌]]』第47章では、太陽の運行は「[[エルフ|妖精]]の栄光」を意味する[[:en:Alfrodull|アールヴレズル]]という名で呼ばれている。こういった言い換えは[[ケニング]]と呼ばれ、古北欧語や古英語では多く見られる。


また、『古エッダ』の『[[グリームニルの言葉|グリームニルの歌]]』第38章には、大地と太陽との間に[[:en:Svalinn|スヴェル]]という楯が立っており、それが太陽の膨大な熱を大地から遮っていると語られている。同51章において、[[ラグナロク]]の時、太陽はついに狼に飲み込まれるといわれている。しかし同53章および前述の『ヴァフスルードニルの歌』第47章において、ソールがラグナロクの前に美しい娘を生んでおり、新しい世界ではその娘が太陽の軌道を巡るとされている。
また、『古エッダ』の『[[グリームニルの言葉|グリームニルの歌]]』第38章には、大地と太陽との間に[[:en:Svalinn|スヴェル]]という楯が立っており、それが太陽の膨大な熱を大地から遮っていると語られている。同51章において、[[ラグナロク]]の時、太陽はついに狼に飲み込まれるといわれている。しかし同53章および前述の『ヴァフスルードニルの歌』第47章において、ソールがラグナロクの前に美しい娘を生んでおり、新しい世界ではその娘が太陽の軌道を巡るとされている。

2007年12月31日 (月) 03:55時点における版

馬に引かれる日車の像。青銅期時代の北欧における信仰の重要な対象であったことの例証である。

ソールまたはソル(Sól)とは、北欧神話に登場する太陽の女神。

スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第11章~第12章で、次のように説明されている。

ムンディルファリという男が、自身の二人の子供があまりに美しいことから、娘にソール(太陽)、息子にマーニ(月)という名をつけた。神々はこれに怒り、二人を捕らえて、太陽を牽く馬車の馭者をさせた。ソールは太陽の運行を、マーニは月の運行と満ち欠けを司る。
馬の名はアールヴァク(「早起き」の意)、アルスヴィズ(「快速」の意)といい、体を冷やすための(ふいご)が取り付けられている。
太陽は常にスコルという狼に追いかけられているため、急いで運行しなければならない。

古エッダ』の『ヴァフスルードニルの歌』第47章では、太陽の運行は「妖精の栄光」を意味するアールヴレズルという名で呼ばれている。こういった言い換えはケニングと呼ばれ、古北欧語や古英語では多く見られる。

また、『古エッダ』の『グリームニルの歌』第38章には、大地と太陽との間にスヴェルという楯が立っており、それが太陽の膨大な熱を大地から遮っていると語られている。同51章において、ラグナロクの時、太陽はついに狼に飲み込まれるといわれている。しかし同53章および前述の『ヴァフスルードニルの歌』第47章において、ソールがラグナロクの前に美しい娘を生んでおり、新しい世界ではその娘が太陽の軌道を巡るとされている。

備考

  • 土星の衛星のうち「北欧群」と呼ばれる天体群の一つに「ムンディルファリ」という衛星があるが、これはソールの父の名からとられている。
  • Solは太陽の神を意味することから、スペイン語などの言語ではそのまま「太陽」を意味する言葉になっている。
  • 大友克洋の漫画作品『AKIRA』には、ソルと呼ばれる静止衛星型のレーザー兵器が登場するが、これは「Stallite in Orbital Laser-weapon」の頭文字を取ってSOLとしたものとされている。

関連項目

  • ダグ - 北欧神話において昼を司る神
  • トール - 北欧神話の雷神。邦訳で「ソール」と表記されることがある。

参考文献

  • V.G.ネッケル--ほか編 『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、初版1973年、49、56、61、232-233、275、280頁。