「ヘテロフォニー」の版間の差分

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鳥のヘテロフォニーは吉松隆の作品ではなく西村朗の作品
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2007年3月9日 (金) 02:28時点における版

ヘテロフォニーは音楽のテクスチュアの一種で、モノフォニーの複雑化したもの。つまり、同一の旋律を奏でる様々な奏者や歌手が、任意で別々に動いたり、リズムテンポを微妙にずらしたりすることで異なった装飾や音型が生じ、偶発的に瞬間的なポリフォニーを生ずるようになったものをいう。

厳密に言えば、各声部が独立性を持つポリフォニーと峻別するために使われる語であるが、ポリフォニーの一種と見なしたり、あるいはモノフォニーからポリフォニーへの過渡的な形態と見なしたりすることも可能ではある。しかしながら、首尾一貫して独立している声部が存在しないこと(基本的には同一の旋律からの「逸脱」にすぎない)、ヘテロフォニーにおける一時的な「定旋律」と「対旋律」の相互関係が必ずしも対等でないことなどから、ポリフォニーとの相違点がないわけではない。「ヘテロフォニーの響きの層」は、特にアジア民族音楽(とりわけ古い宮廷音楽)において特徴的であり、雅楽ガムランなどで、旋律線から逸脱する部分を確認することができる。

「ヘテロフォニー」という語は、プラトンの造語であって元は音楽用語ではなく、世界中のさまざまな領域に使われていた。

中世ヨーロッパの作曲技法「ホケトゥス」は、意識的に活用されたヘテロフォニーである。

ベンジャミン・ブリテンは、《放蕩息子》や《カーリュー・リヴァー》、《戦争レクイエム》などの宗教的な作品において、ヘテロフォニーを非常に効果的に用いている。また、ポスト・モダンやポスト・コロニアルの潮流にくわえて、音楽界における新ロマン主義の復権のなか、ヘテロフォニーの積極利用が見直されるようになった。日本人作曲家では西村朗の《永遠なる混沌の光の中へ》や《鳥のヘテロフォニー》といった作例が見出される。