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'''富士山測候所'''(ふじさんそっこうしょ)とは、かつて[[気象庁]]東京管区気象台が[[富士山]]頂に設置していた気象観測所のこと。現在は'''富士山特別地域気象観測所'''となっており、[[アメダス]](地域気象観測システム)による気象観測を行っている。
'''富士山測候所'''(ふじさんそっこうしょ)とは、かつて[[気象庁]]東京管区気象台が[[富士山]]頂に設置していた気象観測所のこと。現在は'''富士山特別地域気象観測所'''となっており、[[アメダス]](地域気象観測システム)による気象観測を行っている。


== 概要 ==
== 概要 ==
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[[1964年]]、日本に接近する[[台風]]を観測することを目的として[[富士山レーダー]]が設置され運用を開始した。このレーダーサイトは、日本では富士山が標高が一番高く単独峰であったため、レーダーの視野を最大にすることが可能であることから設置されたものである。半径700Kmと広範囲の積乱雲を捉えることができるため、台風観測に威力を発揮し、現在の台風予報の基礎的データ及び予報精度の向上に寄与した。
[[1964年]]、日本に接近する[[台風]]を観測することを目的として[[富士山レーダー]]が設置され運用を開始した。このレーダーサイトは、日本では富士山が標高が一番高く単独峰であったため、レーダーの視野を最大にすることが可能であることから設置されたものである。半径700Kmと広範囲の積乱雲を捉えることができるため、台風観測に威力を発揮し、現在の台風予報の基礎的データ及び予報精度の向上に寄与した。


その後、台風観測は[[人工衛星]]の運用開始による精度向上と観測時間間隔の増加<ref>人工衛星による台風観測は、初期は[[人工衛星の軌道要素#極軌道|極軌道]]を周回する「ノア型人工衛星」による赤外写真及び可視光写真、その後は[[静止軌道]]に打ち上げた[[気象衛星]]で行われている。なお、現在は水蒸気量観測も同衛星による観測が行われている。同衛星による観測時間間隔は、初期は12時間ごと、現在は1時間ごとである。</ref>などにより、[[2004年]][[10月1日]]付けで測候所としての役目を終えた。
その後、台風観測は[[人工衛星]]の運用開始による精度向上と観測時間間隔の増加などにより、[[2004年]][[10月1日]]付けで測候所としての役目を終えた。

== 人工衛星による気象観測 ==
人工衛星による台風観測は、初期は[[人工衛星の軌道要素#極軌道|極軌道]]を周回する「ノア型人工衛星」による赤外写真及び可視光写真、その後は[[静止軌道]]に打ち上げた[[気象衛星]]で行われている。なお、現在は水蒸気量観測も同衛星による観測が行われている。

ノア型極軌道気象衛星による観測時間間隔は、12時間毎であった。WMO条約に基づく静止気象衛星による観測時間間隔は、初期型の衛星では3時間毎、現在の衛星では1時間ごとである。


== 現在 ==
== 現在 ==
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[[特定非営利活動法人|NPO法人]]「富士山測候所を活用する会」などでは測候所の庁舎施設を活用して、登山者の避難場所としての活用に向けた活動を行っている。また、「富士山高所科学研究会」では測候所の庁舎施設を活用して、大気[[浮遊粉塵|エアロゾル]]などの観測を行うプロジェクトを開始しており、富士山頂および測候所を科学研究拠点として発展させる計画を持っている。
[[特定非営利活動法人|NPO法人]]「富士山測候所を活用する会」などでは測候所の庁舎施設を活用して、登山者の避難場所としての活用に向けた活動を行っている。また、「富士山高所科学研究会」では測候所の庁舎施設を活用して、大気[[浮遊粉塵|エアロゾル]]などの観測を行うプロジェクトを開始しており、富士山頂および測候所を科学研究拠点として発展させる計画を持っている。

== 脚注・補足 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2008年10月6日 (月) 04:33時点における版

富士山測候所(ふじさんそっこうしょ)とは、かつて気象庁東京管区気象台が富士山頂に設置していた気象観測所のこと。現在は富士山特別地域気象観測所となっており、アメダス(地域気象観測システム)による気象観測を行っている。

概要

高山気象観測及び富士山登山者の人命保護や、高層気流などの観測を目的とした富士山山頂への気象観測所の計画は何度も行われた。その後、1934年富士山頂気象観測所が開設された。気象観測員は、石を積み上げた観測施設の中で冬季の凍えるような寒さの中でも気象観測を行った。

1964年、日本に接近する台風を観測することを目的として富士山レーダーが設置され運用を開始した。このレーダーサイトは、日本では富士山が標高が一番高く単独峰であったため、レーダーの視野を最大にすることが可能であることから設置されたものである。半径700Kmと広範囲の積乱雲を捉えることができるため、台風観測に威力を発揮し、現在の台風予報の基礎的データ及び予報精度の向上に寄与した。

その後、台風観測は人工衛星の運用開始による精度向上と観測時間間隔の増加などにより、2004年10月1日付けで測候所としての役目を終えた。

人工衛星による気象観測

人工衛星による台風観測は、初期は極軌道を周回する「ノア型人工衛星」による赤外写真及び可視光写真、その後は静止軌道に打ち上げた気象衛星で行われている。なお、現在は水蒸気量観測も同衛星による観測が行われている。

ノア型極軌道気象衛星による観測時間間隔は、12時間毎であった。WMO条約に基づく静止気象衛星による観測時間間隔は、初期型の衛星では3時間毎、現在の衛星では1時間ごとである。

現在

現在は無人施設となったがアメダスが設置されており、気象観測(降水量積雪量)、気温気圧風速風向)を継続して行っている。

NPO法人「富士山測候所を活用する会」などでは測候所の庁舎施設を活用して、登山者の避難場所としての活用に向けた活動を行っている。また、「富士山高所科学研究会」では測候所の庁舎施設を活用して、大気エアロゾルなどの観測を行うプロジェクトを開始しており、富士山頂および測候所を科学研究拠点として発展させる計画を持っている。

関連項目

場所

関連施設

外部リンク