サファ・シンプソン・ハリケーン・ウィンド・スケール

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カテゴリー3に分類されたハリケーン・アイバン カリブ海南東部のグレナダ上空

サファ・シンプソン・ハリケーン・ウィンド・スケール(英語:Saffir-Simpson Hurricane Wind Scale (SSHWS)、シンプソン・スケールともいう)は、たいていの西半球の熱帯性低気圧を分類する等級である。発達に従い、「熱帯低気圧tropical depression」、「熱帯性暴風tropical storm」、「ハリケーンhurricanes」と呼び方が変わる。ハリケーンをそれぞれの持続的な風速によって強度を識別するために、「カテゴリー」で分ける。等級は主として起こるべく被害やハリケーン上陸時に起こるであろう洪水を推し量るために使うことを意図している。サファ・シンプソン・ハリケーン・ウィンド・スケールは大西洋日付変更線よりも東の北太平洋で発生するハリケーンにのみ用いられる。サイクロン台風といった名前の付けられるような他の地域の熱帯性低気圧では、それぞれの等級を用いる。

歴史

このスケールは1969年土木工学技術者のハーバート・サファと、当時アメリカ国立ハリケーンセンター長官であったボブ・シンプソンによって開発された。 最初のスケールは国際連合からハリケーン多発地帯の低価格な住宅の研究の委託を受けたサファによって開発された。研究を行ううちに、サファはハリケーンの起こるべく影響を示すわかりやすい尺度がないことに気づいた。地震の規模を表すマグニチュードの効用を知って、彼は風速を基準にして予測される建造物被害を示す1—5の等級に分けた。サファが国立ハリケーンセンターにこれを持ち込み、シンプソンがこれに高潮と洪水の影響を加えた。このスケールには降雨や位置の評価がはいっていない。これはカテゴリー2のハリケーンが大都市を直撃すればカテゴリー5のハリケーンが人口閑散地帯を通るよりも多くの被害が出るかもしれないということを意味する。

カテゴリー

5つのカテゴリーは、強度の弱い方から強い方へと並んでいる。

カテゴリー 風速 高潮 中心気圧 予想される被害
width=10% style="background: #ffffcc; text-align: center;" | 1 33–42 m/s

74–95 mph
64–82 kt
119–153 km/h

4–5 ft

1.2–1.5 m

28.94 inHg

980 hPa

建造物への実質的な被害はない。固定されていない移動式住宅や植え込み、樹木などに被害が見られる。沿岸部における多少の浸水や小規模な桟橋の被害がある。 台風5号 (1998年)
style="background: #ffe775; text-align: center;" | 2 43–49 m/s

96–110 mph
83–95 kt
154–177 km/h

6–8 ft

1.8–2.4 m

28.50–28.91 inHg

965–979 hPa

被害を受ける屋根材、ドア、窓がある。植物や移動式住宅などに少なからぬ被害がある。高潮により桟橋が被害を受け、保護されていない場所の小船舶類は係留を失う場合がある。 ハリケーン・イザベル (2003年)
style="background: #ffc140; text-align: center;" | 3 50–58 m/s

111–130 mph
96–113 kt
178–209 km/h

9–12 ft

2.7–3.7 m

27.91–28.47 inHg

945–964 hPa

建築構造に損害を受ける小規模住宅や小屋があり、非耐力壁の類に多少の被害がある。移動式住宅が破壊される。海岸近くでは高潮により小規模建造物が破壊され、より大きな建造物は流されてきた瓦礫によって被害を受ける。内陸地は多く洪水被害を受ける。 ハリケーン・アイバン (2004年)

ハリケーン・カトリーナ (2005年)
ハリケーン・リタ (2005年)

style="background: #ff8f20; text-align: center;" | 4 59–69 m/s

131–155 mph
114–135 kt
210–249 km/h

13–18 ft

4.0–5.5 m

27.17–27.88 inHg

920–944 hPa

より広範囲にわたって非耐力壁が損壊し、屋根構造を全損する小規模住宅がある。海岸の大きな浸食がある。内陸地は多く洪水被害を受ける。 ハリケーン・ウィルマ (2005年)
style="background: #ff6060; text-align: center;" | 5 ≥70 m/s

≥156 mph
≥136 kt
≥250 km/h

≥19 ft

≥5.5 m

<27.17 inHg

<920 hPa

多くの住宅や産業用建造物において屋根が全損する。全壊する建物があり、小屋が吹き飛ばされる。高潮は、海岸線に近いすべての構造物の低層階に大きな被害をもたらす。居住地域からの大規模避難が必要とされる場合がある。 レイバー・デイ・ハリケーン (1935年)

台風20号 (1979年)
ハリケーン・アンドリュー (1992年)

すべての風速は1分間の平均によっている。中心気圧はおよその値である。例示したハリケーンの強さは、上陸時のものないし最大時のものである。

関連項目

外部リンク