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インダストリー4.0

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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インダストリー4.0とは、ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す戦略的プロジェクトであり、情報技術を駆使した製造業の革新の事を差す。 工業、特に製造業を高度にデジタル化する事により、製造業の様相を根本的に変え、マス・カスタマイゼーションを可能とし、製造コストを大幅に削減することを主眼に置いた取り組みである。 全ての機器がインターネットによってつながり、またビッグデータを駆使しながら、機械同士が連携して動く事はもとより、機械と人とが連携して動くことにより、製造現場が最適化されると想定している。

現在ドイツの電子機器メーカーや自動車メーカー、IT・通信企業が中心となり、「スマートファクトリー」つまり「自ら考える工場」を目指して機器の開発やビッグデータの扱い・標準化について取り組んでいる。

工場を中心にインターネットを通じてあらゆるモノやサービスが連携することで、新しい価値やビジネスモデルの創出を目指した取り組みであり、ドイツに限らず、北米や日本にもその考え方が波及しており、米国では「インダストリアルインターネット」として同様の取り組みがなされている。

インダストリー4.0で実現する事

  • モノのインターネット化(IoT)により、設備が人と強調して動く、サイバーフィジカルシステム(Cyber-Physical Systems )が実現
  • 拡張現実(Argumented Reality)を活用した、オペレーター作業支援
  • ビッグデータ(Big Data)やクラウドコンピューティング(Cloud Computing)を活用した、徹底した品質追跡管理および工程改善
  • 消費者に合わせた一品一様の商品づくりである、マスカスタマイゼーション(Mass Customization)

インダストリー4.0の語源

第1次産業革命では水・蒸気を動力源とした機械を使った生産の事を指し、第2次産業革命では電気を使い機械を動かして分業の仕組みを取り入れたことにより大量生産(マスプロダクション)が可能となり、そして第3次産業革命はコンピューターエレクトロニクスを使ったオートメーションが実現された。 インダストリー4.0はそれに続く「第4次産業革命」という意味合いで名づけられたものである。

ドイツがインダストリー4.0を推進する背景

ドイツでは、国策としてインダストリー4.0を進めているが、その背景として考えられるのは、最先端の産業機器をドイツから生み出し世界標準とすること、そして先進的な産業機器を他国に先駆け開発し標準とすることで、産業機器の分野で世界をリードしていくことである。 1980年代のコンピューターの進化を背景とした第3次産業革命では、今や生産設備では一般的なPLC(Programmable Logic Controller、シーケンサー)が誕生した。PLCの誕生により、シーメンスをはじめとするドイツの産業機器メーカーはオートメーションの分野において世界市場をリードし収益をあげることができた。その経験により、ドイツ国家として21世紀においてこの状況を維持するためには、産業の中で先頭にいることが重要であると考え、国内の産官学界を挙げてインダストリー4.0推進するという経緯に至ったのである。

近年、ドイツ国内における製造現場において、コストを理由に低付加価値の生産活動は東欧や新興国に流出している。その一方ドイツ人の労働者所得は高騰しており、また少子高齢化が近隣諸国に比べ顕著に進んだ。この少子高齢化による労働人口の減少を補う為という背景により、ドイツは移民や東欧からの出稼ぎ労働者に寛容であるが、その一方で製造業では高付加価値で複雑な作業を、言語や技術が不十分な外国人労働者にゆだねなければならないという事象が多くなってきている。

したがって、ドイツ国内で新たな産業を創出するために国策として得意分野のオートメーションでさらなる高付加価値化を行い世界をリードしていくという側面だけでなく、技能や経験を持たない作業者に依存することない製造現場を創出するという意味の活動といった側面もある。

インダストリー4.0の呼称

インダストリー4.0は、英語ではIndustry 4.0、ドイツ語ではIndustrie 4.0と記され、日本語ではインダストリー4.0として認知されているが、インダストリ4.0とかインダストリアル4.0と表記されることもある。

関連項目

外部リンク