日本人の食事摂取基準

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日本人の食事摂取基準は、日本の厚生労働省が、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的として制定したエネルギー及び各栄養素の摂取量の基準である。

栄養士などの専門家向けの利用目的で作成されており、保健所や医療施設などで実施する「栄養指導」や学校や事業所などの「給食」の提供の根拠となる科学的データである。

改定[編集]

2004年に「日本人の食事摂取基準」として改定される前は、1970年より「日本人の栄養所要量」として公表され、6回改定されてきた[1]。以降は、5年に1回の改定されており、最新版は2015年版である。下記の参考図書を参照されたい。

2015年版の概要は、厚生労働省の以下の資料を参照のこと。

2010年版[編集]

主な変更点

  • 年齢ごとの「推定エネルギー必要量」(小児と若年女性で減少、高齢者は増加)
  • 食塩の目標量(男性10.0g→9.0g、女性8.0g→7.5gへ減少)
  • カルシウムで設定されていた「目安量」「目標量」から「推奨量」を目指すことに変更

2015年版[編集]

  • 生活習慣病の発症だけでなく、重症化予防も検討した。
  • 体格をあらわすボディマス指数(BMI)ごとのカロリー摂取量を策定。

設定指標[編集]

推定エネルギー必要量

エネルギー出納がゼロになる確率が最も高くなると推定される習慣的な一日あたりのエネルギー摂取量。エネルギーについては耐用上限量は設定されていない。

推定平均必要量(EAR, Estimated Average Requirement)

日本人の、ある性・年齢階級に属する人々の50%が必要量を満たすと実験によって推定された摂取量のこと。

推奨量(RDA, Recommended Dietary Allowance)

日本人の、ある性・年齢階級に属する人々の97~98%が必要量を満たすと推定される摂取量のこと。2~3%の人には不足が生じる。理論的には「EAR+標準偏差の2倍(2SD)」で求められるが、標準偏差を正確に求めることが難しく、実際には「EAR×推奨量算定係数」によって求めている。

目安量(AI, Adequate Intake)

推定平均必要量及び推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、特定の集団の人々がある一定の栄養状態を維持するのに十分な量のこと。実際には、ある集団において、不足状態を示す人が殆ど観察されない量として与えられる。

基本的には、殆どの人で当該栄養素の不足による健康障害が生じていない集団を対象として、栄養素摂取量を観察し、摂取量分布の中央値を用いる。

耐容上限量 (UL, Tolerable upper intake level)

日本人の、ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康傷害をもたらす危険がないとみなされる栄養素摂取量の最大限の量。以前は上限量ともよばれた。主にサプリメントなどの過剰摂取による健康障害を予防するための数値であり、通常の食生活で起こる可能性は低い。NOAEL(最大無毒性量)を不確実係数(uncertain factor:UF)で序したものか、LOAEL(最小毒性量)を通常より大きめの値のUFで序したをもので算出する。

目標量(DG)

生活習慣病の一次予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。摂取量の増加を目指すものとして、食物繊維ω-3脂肪酸カリウム、摂取量の減少を目指すものとして、コレステロールナトリウム、目標量の範囲に入ることを目指すものとして、脂質飽和脂肪酸炭水化物、推定平均必要量と推奨量又は目安量が与えられ、目標量の上限だけ与えられているものとしてω-6脂肪酸がある。

出典[編集]

  1. ^ 第6次改定日本人の栄養所要量について (厚生労働省、1999年6月28日)

参考書籍[編集]

香川芳子監修『食品分析表2015』女子栄養大学出版部、2015年2月10日の巻頭特集:「日本人の食事摂取基準」が変わります!――いよいよ2015年版が実施。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]