彫やす
ほりやす 彫やす | |
---|---|
彫やすロゴ | |
生誕 | 1953年 |
住居 | 東京都、浅草 |
国籍 | 日本 |
職業 | 刺青師 |
公式サイト | http://www.asakusahoriyasu.com |
彫やす(ほりやす、1953年 - )は彫り師であり、伝統的な日本の刺青(入れ墨)を専門としている
経歴
彫やす、またの名を浅草彫やすとして知られており、刀研ぎ師として16年間の歳月と情熱を刀へ注ぎ、36歳のとき彫師になることを志す。[1] 彼には野心があったものの、他の入門者と同じように実際に本物の刺青を彫ることはできないという最初の試練にぶつかった。最初の一年間は無給で奉仕を行うという彼のような年齢からすると忍耐を要する期間を過ごした。そして同時に、骨の折れるような時間をかけ浮世絵師である歌川国芳、月岡芳年や葛飾北斎らについて彼は熱心に学んだ。[2]
彼は刀研ぎに満足したあと第二のキャリアを歩みはじめた。しかしながら、彼の刺青を彫る物腰やオーラには彼の刀研ぎのルーツが見えてくる。 彫やすは美しく見事な手さばきでタトゥー業界を駆け足でのぼっていき、彼のシンプルでありながらも力強く、的確な技術を目の当たりにした人々から多くの賞賛を集めた。[1]
ある取材にて、彫やすは刀研ぎが彼の彫り師としての活動に影響を与えたかを聞かれ、彼は以下のように述べた。
「 | 技術や美学、そして職人として非常に影響を受けました。職人としてはそれが熟練した技術の頂点でした。刃の先端、刺青の針の先端 ..刀研ぎと刺青を彫る手触りには共通する部分があります。 | 」 |
—彫やす(刀から水滸伝. タトゥーマスターマガジン[1]より) |
業績
彫やすは和彫りを専門としている。彼の彫る印象的で大きなスケールと近代的な作風は、日本国内のみならず海外からも顧客を引きつけている。 [2]彫やすの刺青は日本伝統のスタイルを貫いている。仏教の神々、龍、虎、水や花などの題材は江戸時代から刺青の絵柄として数えきれないほど描かれてきた。 [3]彼は転写を用いずに直接下絵を描き、雑誌(“タトゥーマスター”)の取材では「原画を下絵として、フリーハンドで一気に彫り始めます。」と述べている。[1]
彼は日本の伝統的なものを題材としているものの、現在では手彫りではなく、彫り師としての職人の幅を広げていく意味でも機械彫りでの施術を行っている。
彼の機械への探求を通して、彫やすはついに昔の手彫り師が驚くような、機械彫りとは思えない美しく重厚な作品を生み出すことが可能となった。[2] 彼独自の技術としてインクを皮下で重ねていき、色域の端である「暗さ」を強く押し出す事で、重く深い色合いを生み出している。[3]
彫り師を志した時は、ラインはマシーン、ボカシ、カラーは手彫りやっており、手彫りの作品も数多く残している。彫やすは取材で手彫りから機械彫りへ切り替えた理由について聞かれ、彼は以下のように述べた。
「 | 手彫りと機械彫りとでは、さまざまに良い所、悪い所があると思いますが、私の思うところではありますが、手彫りではある程度、色々な面で限界があり、機械彫りの場合は無限の工夫、研究、テクニックがあると思います。意識的な部分で見れば違いはあると思いますが、彫られる方が思うことは、上手であり、速く仕上げたい、できればなるべく痛くなく。また、さまざまな思いがあって彫に来てるわけですから、その気持ちは彫る側でも考えていかなければならないと思ってます。機械が無い時代は手彫りで行っていた仕事でも、機械が発達し、それを用いてまた新しい世界が広がればそれはそれで良いことだと思います。 | 」 |
—彫やす(浅草彫やすの世界. 日本伝統刺青[4] より) |
彫やすの作品は“Tattoo in Japan: Traditional and Modern Styles” のような本の表紙にも掲載され、 “Bloodwork:Bodies”, “Japanese Tattooing Now - Memory and Transition” や"日本伝統刺青”などでも特集をされた。 彼は2004年9月20日発行のフォーブス (雑誌)ではベンジャミン・フルフォードに取材をされており、その他数えきれないほどの雑誌で記事が掲載されている。
2008年3月にはSBT Realidade番組制作の"Japão(日本)”で取り上げられ、彼のスタジオでジャーナリストの Ana Paula Padrão (アナ・ポーラ・パドラオ)に取材を受けている。2007年8月にはナショナルジオグラフィック制作のTaboo Series「タブー 〜禁断の世界〜」シリーズ第4話「自虐の刻印 ("Signs of Identity")」にも出演している。また、2006年にはAntoine Lassaigne(アントワーヌ・ラセーニュ)の”BEING BEAUTIFUL“ シリーズ第4話「”Skin Deep”」にも取り上げられている。
受賞歴
数多くのタトゥーコンベンションやコンペティションに参加をしており、アメリカ・ニューヨーク・タトゥーコンベンションでは「Best Overall」で1位を3度受賞(2004年、2007年,2013年)。また“Best Back or Chest” で1位を2度受賞(2004年、2007年) また、2007年のイタリア ミラン タトゥーコンベンションでは “Best Color” と “Best Black and White”の両方で1位受賞という快挙を成し遂げた。[5]
2007年のアメリカ・サンノゼ・タトゥーコンベンショで “Best Bodysuit” で一位を受賞。 またゲストとして出席したものは、2002年のスペイン・マドリッド・タトゥーコンベンション、2005年の北京タトゥーコンベンション、2008年の中国大連タトゥーコンベンション、2010年のシンガポール・タトゥー&カルチャーショーなどもある。[5]
2012年の“Rites of Passage”オーストラリア・メルボルン・タトゥーコンベンション&アートフェスティバル、コンテストで"Best Japanese"部門一位を受賞。2013年のフランス・モンディアル・ドゥ・タトゥーアージュで"Best Back or Full-Body"部門一位を受賞し、第1回中国香港タトゥーコンベンション2013でも同じく同年に"Color"部門一位と会場内総合部門一位を受賞している。[5]
彼の作品はフランスで世界最高峰のタトゥー展“TATOUEURS, TATOUES”にてケ・ブランリ美術館で刺青作品が展示された (2014/05/06~2015/10/18)。[5]。その他、海外でのTV、雑誌等のインタビュー、出演、掲載多数。
外部リンク
参考文献
- ^ a b c d Okazaki, Manami (2009年3月). “Horiyasu - From swords to Suikoden”. Tattoo Master (UK: Tattoo Master) 20 February 2019閲覧。.
- ^ a b c Okazaki, Manami (2008年5月). Tattoo in Japan: Traditional and Modern Styles. Horiyasu – traditional spirits with contemporary sensibilities.. N/A: Editions Reuss. p. 35. ISBN 393402064X
- ^ a b McCabe, Michael (2005年11月). Japanese Tattooing Now - Memory and Transition. Tokyo Shita-machi Culture and the Tattoos of Asakusa Horiyasu. USA: Schiffer Publishing. p. 140. ISBN 9780764321429
- ^ Izumi, Akiba (2003年12月) (Japanese). Traditional Japanese Tattooing. The World of Asakusa Horiyasu [日本伝統刺青・浅草彫やすの世界]. Japan: Core Magazine. ISBN 4877346821
- ^ a b c d “Asakusa Horiyasu Official Website: Profile” (January 2019). 12 March 2019閲覧。