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各種表記
繁体字
簡体字
拼音 Tuǒ, Tuō[1]
注音符号 ㄊㄨㄛˇ, ㄊㄨㄛ
発音: トゥォ
広東語発音: Tok3
上海語発音: Thoh4
台湾語白話字
英文 Tuo, Tuoo, Two, To.[1]
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(たく、た、Tuǒ, Tuō[1])は、漢姓の一つ。

中国の姓[編集]

分布[編集]

分布はやや広く、全国人口の約0.0023%を占める[1]が、2020年の中華人民共和国の統計では人数順の上位100姓に入っていない[2]湖南省重慶市四川省の3省市にこの姓が多く、おおよそ全国の庹姓人口の90%を占める[1]。四川から湖南にかけては、特に湖南の澧水流域に一万六千人余りが集中しており、中でも慈利大庸澧県が最も多い[3]台湾の2018年の統計では692番目に多い姓で、50人がいる[4]

由来[編集]

度姓が改められたものであろう、という(臧励龢ら『姓氏考略』(1921))[1]

民族的には漢族以外にトゥチャ族の姓でもある(竇学田『中華古今姓氏大辞典』(1997)、鄧和平「松滋土家族姓氏風俗考」『中南民族学院学報(哲学社会科学版)』(1992))[1]

文字の意味としては、四川方言で両手を広げて測った大きさを指す単位[3])で、量詞としても用いられる。つまり方言字と言える。『字彙補「广部」』では「庹、両の腕を広げた長さを庹という」とあり、詩人の楊朔中国語版(1913年 - 1968年)の『金字塔夜月』という散文には「(金字塔の)塔身は全て一庹以上の長さがある大石を積み重ねて建ち上がっているのだ」という1文がある。一抱えとかと同義と言える。という字とよく似ているわけだが、“”という字は、“はかる”と動詞で用いる場合はタクと発音し、中国でも区別して特に“duó”と発音する(「程“度”」・「温“度”」などの名詞では“”)。「()+」によって、腕を差し渡して測る、またそのように測った尺度という意味の会意兼形声文字と言える。『改併四声篇海「广部」』は『余文』を引用して、「庹は、姓である」と言い、『万姓統譜「歌韻」』は「庹は、音は佗(タ、tuōまたはtuó)、『直音』に見える。万暦の間、河南南陽衛指揮庹五常、慈州の人。」王士禎の『池北偶談「談異一 奇姓」』では「壬子(みずのえね)の年[5]、四川へ科挙の試験官をしにいくと、副榜中国語版の庹謀が居る。音は拓(タク、duò)」とある。

著名な人物[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 袁義達・邱家儒(2010) 中国姓氏大辞典, 1100頁「庹 tuǒ」。
  2. ^ 《二〇二〇年全国姓名报告》发布_部门政务_中国政府网”. www.gov.cn (2021年2月8日). 2023年1月19日閲覧。
  3. ^ a b 王泉根(1995) 『中国姓氏考 ―そのルーツをさぐる―』, p.100
  4. ^ 全國姓名統計分析”. 中華民国内政部. p. 288 (2018年10月). 2023年1月19日閲覧。
  5. ^ 1672年康熙11年)。

参考文献[編集]

  • 袁義達; 邱家儒 (2010) (中国語). 中国姓氏大辞典 (1st ed.). 南昌市: 江西人民出版社. ISBN 978-7-210-04407-9 
  • 林雅子 訳『中国姓氏考 ―そのルーツをさぐる―』第一書房、1995年。ISBN 4804200940