平均故障間隔

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平均故障間隔(へいきんこしょうかんかく)とは、機械システムや情報システムなどにおける信頼性(Reliability)をあらわす指標となる数値。英語のMean Time Between Failure(s)からMTBFと略される。JIS Z 8115で規定されている。

概要[編集]

字義通り、故障から次の故障までの平均的な間隔を表している。言い換えると連続稼動できる時間の平均値である。つまり、MTBFの数値が大きいほど信頼性の高いシステムであるといえる。また、故障率はこの値の逆数で、故障率 = 1 / MTBFとなる。

故障しても修理することで再使用できる修理系システムに用いられる語であり、修理できない非修理系システムの故障寿命をあらわすには平均故障時間 (Mean Time To Failure、略称:MTTF)が用いられる。

よく勘違いされることではあるが、MTBFは耐用寿命をあらわす指標としては有用ではない。推定寿命や耐用年数を算出するには加速度試験加速劣化試験)などに頼らねばならない。

種類[編集]

MTBFには連続動作時(CCS)と間欠動作時(ICAS)の2種類がある。通常CCSの方が条件が厳しくMTBFが短くなるが、蛍光灯HDDブラウン管テレビ自動車(発進加速時)・飛行機離陸時・与圧時)などでは起動時に大きい負荷をかけるためCCSよりICASの方がMTBFが短くなることがある。

原子炉(停止時)・高炉(停止時)・飛行機(着陸時)・コンピュータシャットダウン)などでは停止時にも大きな負荷がかかるため、ICASでのMTBFが短くなる傾向がある。

算出方法[編集]

MTBF = システムの稼動時間 / 故障回数 で求めることができる。

実際にはある特定のシステムを何時間も監視するのではなく、同じシステムを何個も監視し、個々の動作時間を合計した総動作時間を使ってMTBFを算出する。例えば1個のシステムについて100万時間の稼働時間中、10回故障したと仮定すると、MTBFは10万時間であることが分かる。しかし100万時間(約114年)ものあいだシステムを監視し続けることは現実には不可能である。そこで実際には同じシステムを10万個用意するなどして100時間(約4日)だけ監視することで延べ1000万時間稼動したと仮定する。この100時間のあいだに10万個のうち100個が故障したならば、やはりMTBFは10万時間であることが分かる。

上述の2つの例はMTBFが同じであるにもかかわらず、直感的には前者の方が信頼性が高いように思える(誕生日のパラドックス)。これはMTBFの算出方法では磨耗や経年劣化の程度を考慮しないためで、後者の稼働時間を合算する方法では統計学的・論理的には正しいが、現実的には誤った指標となってしまう可能性が高い。MTBFが感覚上の故障間隔と乖離があるのはこのためである。

コンピュータシステム[編集]

コンピュータシステムの信頼性を総合的に評価する基準として、RASRASISという概念が存在する。

  • Reliability(信頼性)
  • Availability(可用性
  • Serviceability(保守性)
  • Integrity(保全性)
  • Security(機密性)

信頼性(Reliability)は、システムが安定して稼動し続けている時間からみた安定性の指標平均稼動時間(MTBF)である。これと対になる指標として、保守性(Serviceability)[1]が挙げられる。平均修理時間(Mean Time To Repair、MTTR)は、システムの保守性をあらわす指標であり、修理に費やされる平均的な時間から算出される。

MTBF(信頼性の指標)とMTTR(保守性の指標)から、システムにおける可用性(Availability)の指標である稼働率が導かれる。稼働率が高いほど、そのシステムは正常に動作する。

稼働率の求め方

MTBFが大きくMTTRが小さいシステムほど可用性が高く、総合的な信頼性が高いシステムであるといえる。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ JIS X 0014「情報処理用語―信頼性、保守性及び可用性」においては、serviceabilityに対応する訳語は「運用性」(サービス性)であり、「保守性」に対応する英語はmaintainabilityである。

外部リンク[編集]