居民委員会

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居民委員会(きょみんいいんかい)とは、中華人民共和国において都市地域社会に設置された住民組織である[1]。日本の町内会にあたり、住民の相互扶助組織として「大衆的自治組織」と性格づけられる一方、行政系統の末端に位置付けられて、政府の保護を受けながら行政補助機能を担っている[1]。「都市居民委員会組織法」によると「自己管理、自己教育、自己奉仕の末端大衆自治組織」と定義される[2]

概説[編集]

居民委員会の歴史は中華民国期の隣保制度(保甲制度等)に遡ることができる[1]。中華人民共和国成立にあたって、全国の都市に居民委員会が設置された後、1954年の「都市居民委員会組織条例」で役割が定められた[1][2]1989年12月26日に新たに「都市居民委員会組織法」が採択されている[1][2]。この居民委員会により、・政府の主導下、社区の力に拠り、社区の資源を活用して社区機能を強化し、社区の問題を解決し、成員の生活レベルを向上させ、社区の経済、政治文化、環境の協調・発展を促進する過程である「社区建設」が強力に推し進められた[3]。従来の「単位(ダンウェイ)」制度の下で周縁化されていた居民委員会の機能が強化された[4]。居民委員会は行政の末端組織である「街道弁事処」の指導を受け、憲法、法律、法規、国家政策の宣伝、計画出産の管理、社会治安の維持、流動人口の管理、失業者の就業斡旋、青少年教育などの街道弁事処から下達された行政的な活動を行っている[2][4][5]。この他にも、居民委員会は住民への福祉サービスや文化活動を行い、ボランティアを組織し、社区の環境美化、衛生管理、"空巣老人"(独居老人)の助け合い等を進めている[4]

映画等の作品と居民委員会[編集]

藤井後掲書によると、1995年の寧瀛(ねいえい)監督による映画『スケッチ・オブ・Peking』の中で居民委員会が登場する[5]。この映画の主人公は北京の勤続7年の「民警」楊国力であるが、映画の冒頭シーンで彼が新米警官を居民委員会に紹介に連れていく場面がある[5]。そこには産児制限を守らせるために町内の15歳から49歳までの女性の私生活まで把握し、産児制限のためなら妊娠6カ月の胎児までをも堕胎させることも辞さない存在として描かれる[6]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 國谷(2011年)16ページ
  2. ^ a b c d 上村(1999年)101ページ
  3. ^ 唐(2013年)134ページ
  4. ^ a b c 唐(2013年)135ページ
  5. ^ a b c 藤井(1999年)47ページ
  6. ^ 藤井(1999年)48ページ

参考文献[編集]

  • 國谷知史・奥田進一・長友昭編集『確認中国法用語250WORDS』(2011年)成文堂(「居民委員会」の項、執筆担当;國谷知史)
  • 上村幸治著『中国路地裏物語-市場経済の光と影-』(1999年)岩波新書
  • 愛知大学現代中国学部編『ハンドブック現代中国(第4版)』(2013年)あるむ(「社区建設」の項、執筆担当;唐燕霞)
  • 藤井省三著『現代中国文化探検―四つの都市の物語―』(1999年)岩波新書

関連項目[編集]