先駆性理論

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先駆性理論(せんくせいりろん)または先駆性論(せんくせいろん)とは、日本の新左翼政治思想の一つ。「層学論」(層としての学生運動論)と並ぶ日本の代表的な学生運動理論である。

概要[編集]

従来の共産主義理論において、学生資本家階級と労働者階級の間に位置する中産階級、いわゆる「プチブル」とされ、革命の主体にはなりえないとされてきた。しかしマルクーゼの理論の影響を受け、新左翼は新たに「先駆性理論」を掲げるようになった。

学生はプロレタリアートに比べて身軽な存在であるため、他に先駆けて「敵の策謀」を見抜き、警鐘を鳴らさなければならないというものである。つまり「学生運動」は革命の方向性を決定付ける、重要な革命運動に他ならないとされる。

1960年代後半から1970年代にかけてゲリラ活動を活発化させた京浜安保共闘は「大衆の目を覚まさせる先駆性理論」を掲げ[1]在日アメリカ軍基地への攻撃(1969年)や上赤塚交番襲撃事件1970年)、真岡銃砲店襲撃事件1971年)などを引き起こした。

脚注[編集]

  1. ^ 「京浜安保」が交番襲撃 撃たれて三人死傷 警官も二人けが ピストルねらう?「先駆性理論」のゲリラ『朝日新聞』1970年(昭和45年)12月18日夕刊 3版 1面

参考文献[編集]

  • 警備研究会編『極左暴力集団・右翼101問』立花書房、1995年

関連項目[編集]