亜獣譚

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亜獣譚
ジャンル ハードアクションダークファンタジー
漫画
作者 江野スミ
出版社 小学館
掲載サイト 裏サンデー
マンガワン
レーベル 裏少年サンデーコミックス
発表期間 2016年12月18日 -
巻数 既刊6巻(2019年5月17日現在)
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ポータル 漫画

亜獣譚』(あじゅうたん)は、江野スミによる日本漫画。2016年12月より『裏サンデー』(小学館)および『マンガワン』にて連載中。性交渉によって感染する「害獣病」と呼ばれる病気が蔓延する架空世界を舞台にし、「性」にまつわる様々なこと(性的嗜好や性愛、トラウマなど)を描いた作品となっている[1]

作品のタイトルに「譚」が付いているのは、作者が「数話でひとくくりのオムニバス形式の話を作ろうと思っていた」ため[2]。1巻から3巻にかけて描かれた性犯罪とマイノリティにまつわる物語については、それらの被害者を漫画の中だけでも救いたいという気持ちを持って執筆したことを語っている[3]

2017年7月に「WEBマンガ総選挙」にノミネート[4](未受賞[5])。同年8月には「第3回次にくるマンガ大賞Webマンガ部門」にノミネートされ、12位に入賞した[6]

あらすじ[編集]

※1話から21話までを第1章と仮称

第1章[編集]

発症すると体が獣と化していく奇病「害獣病」が蔓延する世界。野生化した害獣の駆除を担当する害獣駆除兵の男アキミア・ツキヒコは、任務中の森で衛生兵の女性ホシ・ソウと出会う。ソウから森をさまよっている弟ホシ・チルの保護を求められたアキミアは、ソウが自身と婚姻することを条件にそれを了承し、ソウが約束を反故にしないよう、自身が「ヴィエドゴニャ」と呼ばれる特殊な害獣病患者であることを伏せて性行為に及ぶ。一方、チルが士官学校から逃亡していたのは、学校で受けた性的虐待と自身の性的指向(害獣を性愛の対象として見る)について苦しんだ結果だった。チルを追うなかでそれらの事情を知ったアキミアは、「チルを殺さない」というソウとの約束を守るため、「人の元を離れて害獣と共に生きていきたい」というチルの生き方を肯定する。

登場人物[編集]

主要な登場人物[編集]

各章の主役にあたる人物

アキミア・ツキヒコ
本作の主人公。害獣駆除兵分隊副長を務める男性で、ヴィエドゴニャであることを隠して生活している。
筋骨隆々な肉体と眼鏡が特徴。森で出会ったソウにかつての想い人の姿を重ね、ソウを幸せにすることで想い人に対して抱き続けている罪悪感を贖おうと考えている。
作者はアキミアのデザインについて「マッチョキャラに眼鏡を掛けさせるのが好き」「体は鍛えられても視力は鍛えられないというギャップが面白い」と述べており[7]、眼鏡の度の描写にもこだわって描いている[8]
ホシ・ソウ
本作のヒロイン。衛生兵を務める女性で、チルの姉。
豊満な肉体を持った美しい女性で、逃亡した弟を追った先でアキミアと出会い、弟を助けることを条件に婚約をする。出会った当初はアキミアに対して好意を抱いていたが、意図的に害獣病を感染させられたことから強い憎しみや失望を覚え、以後は複雑な想いを抱くようになる。
ホシ・チル
ノピン士官学校害獣駆除科の一年生で、害獣駆除兵二等兵。ソウの弟。ヴィエドゴニャであることが周知されており、去勢手術も受けている。
害獣を性愛の対象として見る指向を持ち、恋人として見ている害獣を養うために害獣駆除兵となる。しかしそれが原因で上官からの性的虐待に遭い、苦悩した末に害獣と共に生きる道を選ぶ。
ウェーヌ・ス・カンケル
「シュペイ人」と呼ばれる鳥類人間の男性。生物学者であり、同じく学者であったノエとは夫婦だった。
ノエ・イルバンクス
生物学者。ウェーヌの妻でニンダの叔母。自身がヴィエドゴニャであることを利用して害獣病の研究を進めていたが、志半ばで死亡する。

その他の登場人物[編集]

ジンギル・エンリ
害獣駆除兵二等兵。チルの古くからの友人。
ニンダ・イルバンクス
エンリの同級生。生物学者であった叔母の影響で、自身も害獣を研究する生物学者になりたいと思っている。
学内での作業中に害獣と遭遇し、その際に負った傷の応急処置としてチルの右耳を移植される。そのおかげ一命を取り留めたものの、害獣病患者となった。
ゾネ・タイヨウ
害獣駆除兵分隊長の男性。スキンヘッドに髭面が特徴。
ハラセ
害獣駆除兵分隊副長で、士官学校の指導教官も兼任している男性。害獣病であることを隠して生活している。
病気が原因で性交可能な対象が限られているため、「既に感染しており、かつ生きている限りは発症しない」という特徴を持つヴィエドゴニャであるチルに目をつけ、およそ半年に渡り、チルが害獣の保護をしていることを黙認する代わりに性的暴行を加えていた。最期はチルを強姦している現場に居合わせたアキミアによって殺害される。

用語[編集]

害獣病
発症すると体が「害獣」と呼ばれる異形の獣と化していく不治の病。主に感染者との性交渉と妊娠による母子感染で感染し、母子感染の場合は通常より重篤な(既に害獣病が進行している)状態で生まれる。治療法は確立されていないが発症を抑制する薬は開発されており、それを服用することで害獣化を防ぐことができる。感染者は去勢手術を受けることが法で定められているが、感染していることを秘匿し、手術を受けずに生活している者もいる。
害獣
爬虫類や鳥類に似た異形の獣。外見や生態は様々だが染色体や生殖器の作りだけは共通しているため、全くの別種に見える害獣同士でも交配が可能。
ヴィエドゴニャ
害獣病の菌に耐性を持つ人間。害獣病に感染した母親から人間の姿で産まれ、生きている間は害獣病を発症しないが死ぬと害獣になる。通常の害獣病患者と同様、去勢が義務付けられている。
「ヴィエドゴニャ」はスラブ民間伝承に登場する既存の名称であり、伝承では寝ている間に悪霊と闘い、死ぬと必ず吸血鬼になる運命を持つ吸血鬼ハンターの一種[9]。本作はその伝承のヴィエドゴニャとは無関係であるが、作者が伝承のヴィエドゴニャの設定を気に入り、名前を広め語源を知ってもらいたいと考えこの用語を使用している[10]

書誌情報[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ @shiro_saijo. "亜獣譚はハードアクション(嘘)とかダークファンタジー(若干)とか異形モノ(害獣ちょいでてくる)と言う風に紹介されてますが、内容は「性」にまつわるあらゆること(色んな性的嗜好と性愛、トラウマ、愛、謎)を現代社会じゃなく架空の世界を舞台に描いた漫画なのでそっちに興味のある方にオススメ" (ツイート). Retrieved 2018年8月5日 – via Twitter.
  2. ^ 『MangaONE』亜獣譚第二話末に掲載の「ひとこと」(作者のあとがき)より。
  3. ^ @shiro_saijo. "3巻で性犯罪とマイノリティに関わる章が完結したのであとがき的なことを数ツイート呟き。" (ツイート). Retrieved 2018年3月27日 – via Twitter.
  4. ^ “今もっとも愛されているWebマンガ”を決める「WEBマンガ総選挙」投票開始”. コミックナタリー (2017年7月17日). 2018年8月5日閲覧。
  5. ^ WEBマンガ総選挙、「ヲタクに恋は難しい」「うらみちお兄さん」が受賞”. コミックナタリー (2017年9月9日). 2018年8月5日閲覧。
  6. ^ 「次にくるマンガ大賞」発表会、上位入賞者による記念イラストも公開”. コミックナタリー (2017年8月23日). 2018年8月5日閲覧。
  7. ^ @shiro_saijo. "私、特に眼鏡キャラが好きというのはないんですが、マッチョキャラにだけは眼鏡をかけさせるの好きなんですよ。" (ツイート). Retrieved 2018年3月27日 – via Twitter.
  8. ^ @shiro_saijo. "私は眼鏡が好きという気持ちはわりと薄くて「全身鍛えたマッチョが唯一鍛えられなかった視力」が好きなのでレンズに度がある描写をしたいんですね。" (ツイート). Retrieved 2018年3月27日 – via Twitter.
  9. ^ 江野スミ『亜獣譚』(小学館)第3巻 67頁。
  10. ^ @shiro_saijo. "興味もっていただきありがとうございます!ヴィエドゴニャはスラブの民間伝承にでてくる既存の名称です。本物ではなく名前だけ借りています。" (ツイート). Retrieved 2018年8月5日 – via Twitter.
  11. ^ 『亜獣譚 / 1』”. 小学館コミック. 小学館. 2017年10月29日閲覧。
  12. ^ 『亜獣譚 / 2』”. 小学館コミック. 小学館. 2017年10月29日閲覧。
  13. ^ 『亜獣譚 / 3』”. 小学館コミック. 小学館. 2018年2月19日閲覧。
  14. ^ 『亜獣譚 / 4』”. 小学館コミック. 小学館. 2018年8月9日閲覧。
  15. ^ 『亜獣譚 / 5』”. 小学館コミック. 小学館. 2019年1月18日閲覧。
  16. ^ 『亜獣譚 / 6』”. 小学館コミック. 小学館. 2019年5月17日閲覧。

外部リンク[編集]