世界の頭脳

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世界の頭脳』(せかいのずのう、World Brain)は、イギリスの作家ハーバート・ジョージ・ウェルズが1938年に著した書籍。

概要[編集]

ウェルズは『タイム・マシン』などの小説で名声を得たのち、戦争を根絶するために国際連盟の提唱などの社会活動をはじめた。1920-30年代に展開した新百科全書運動(New Encyclopaedism)もそのひとつであり、百科事典によって世界を知的に統合し、世界平和の基盤とすることを目的とした。本書には、この運動についてのウェルズの講演やエッセイが収められている。

内容[編集]

目次[編集]

  1. 世界百科事典
  2. 現代世界の頭脳組織
  3. 恒久的な世界百科事典の構想
  4. パリで開催の、世界文献会議の講演からの一節
  5. 知的情報としての教科内容
追補
  1. 立腹させられた教師
  2. 歴史に占めるパレスチナの大きさ
  3. アメリカの没落 1937年
  4. 大西洋両岸の誤解
  5. 英語世界 "私が見たままに"

本書においてウェルズは、「世界百科事典」(World Encyclopaedia)の構想を発表した。主な内容は、以下のようになる。

世界百科事典の内容[編集]

  • 各項目ごとに注意深く集められ、注意深く照合して調べられ、編集され、批判的に提出された抜粋、抜き書き、引用から成り立つ。
  • 全世界の独創的な思想家による訂正、敷衍、取り替えを受けてたえず成長し、変化する。
  • 著名な権威者の承認を得たものである。
  • 対立する陳述を併記し、批判的な検討のもとに置かれる。単なる事実と陳述の集まりとしてではなく、調整と判決の機関としても機能するかもしれない。
  • 性質上、リベラルと呼ばれるものでなければならない。狭溢なドグマと正しい批判のいずれも掲載される。
  • 当初は書籍での出版を予定しているが、やがてマイクロフィルムプロジェクターの利用などに替わられる可能性がある。

世界百科事典の運営[編集]

  • 世界百科事典の組織は、神経組織や知的コントロール組織のように拡がり、世界の知的な研究者を協力しあうよう統一する。
  • 知的な情報センターとしての貯蔵所となる。全世界の大学、研究機関、議論、調査、統計局とたえず連絡をとり、固有の理事会や職員、編集者や要約者を生み出す。
  • 物質的には集中化されず、知的に集中化され、網状組織の形式をとる。
  • すべての大学と研究機関は必要な資料をたえず提供すべきである。その内容は、教育面での事実の検証と陳述の考査のための典拠となり、ジャーナリストや新聞にも影響を与える。
  • 多くの人々が懐疑主義と呼ぶ特色をもつ。狭隘な宣伝の侵害から守られなければならない。国家的な妄想、党派的な仮定に対して圧力をかける。

ウェルズの運動には教育改革の提案も含まれていたため、当時は教育界から批判を受けた。また、運動の最中にはアメリカ合衆国を訪問し、フランクリン・ルーズベルト大統領と会見を行なった。これらについては追補に書かれている。

書誌情報[編集]

原書
  • World Brain, H. G. Wells, Methuen & Co, London, 1938.
日本語訳

参考文献[編集]