ヴァレリア (武満徹)
『ヴァレリア』(Valeria)は、武満徹が作曲した室内楽曲。1965年に作曲された「ソナント」を改作したものである。
概要[編集]
1965年11月29日、東京の朝日講堂で行なわれた20世紀音楽研究所主催の「第6回現代音楽祭」で、武満徹はヴァイオリン、チェロ、ギターと2つのバンドネオン、2つのフルートのための「ソナント」を発表した。その後「ソナント」は1969年に現在の「ヴァレリア」と改題され、同年にレコードのレコーディングに際して書き直された。「ヴァレリア」の初演は同年の9月に行なわれた。(若杉弘の指揮、野口龍、小泉剛のピッコロ、植木三郎のヴァイオリン、服部義夫のチェロ、伊部晴美のギター、高橋悠治の電子オルガンで行なわれた)
楽器編成はいずれも同属の楽器ではあるが、2つのハンドネオンは電子オルガン(エレクトリック・オルガンとも)に、2つのフルートは同数のピッコロに取って代わられた。それと共に、細部にわたってかなり書き直しをしたと武満は語っている。
楽器編成[編集]
構成[編集]
構造的には4つの部分から成る。演奏時間は約6分。
- 第1部
3つの弦楽器のトリオで始まり、途中から2つのピッコロが加わる。第1部は4つのうちでは最も大きく、さらにいくつかの部分に分けることが可能である。
- 第2部
「RECITATIVE I」と名付けられ、オルガンのソロで始まる。オルガンとギターの響きから弱音器付きのヴァイオリンによるうたが浮かび上がり、チェロに渡される。
- 第3部
弦楽器のトリオとオルガンが互いに対立し合いながらも補足的な関係で、激しい音空間をつくる。2つのピッコロもオブリガートとしてこれに加わる。
- 第4部
「RECITATIVE II」と名付けられ、ここでは第2部とは逆に、うたはチェロからヴァイオリンへと渡される。