マーチン・ヒューイット

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マーチン・ヒューイット(Martin Hewit)は、イギリス推理作家アーサー・モリスンの作品に登場する名探偵

1894年から1903年の、ストランド・マガジンシャーロック・ホームズものが連載されなかった期間(「最後の事件」と「空き家の冒険」の間)に連載された作品に登場した。

人物[編集]

丸顔で太り気味で非常に愛想がよい。以前は、ロンドンの法律事務所の事務員をしていたが、ある遺言事件を解決したのを機に探偵事務所を開業した。事務所はストランド街にあり、その階上に新聞記者のブレットが住んでいた。そのため、二人の親交は深まり、ブレットは物語の語り手の役割を担うことになる。

ホームズのような超人的な推理能力は持たないものの、変装によりあらゆる人間と親しくなれるという特技を使って証拠を集め、それらから論理的に推理した。

一部のシャーロキアンから、その体格とイニシャルの共通性から、若き日のマイクロフト・ホームズの変名として書かれたという説が唱えられたこともあるが、支持されたことはほとんどない。

登場作品[編集]

作品はすべて短編で、昭和戦前から色々の雑誌や全集本などに訳出されている。

戦前の探偵雑誌や探偵小説本などの訳は今日の訳と訳の姿勢が異なり省略や書き入れ等が普通であるので利用上の注意が必要である。近年雑誌「新青年」の覆刻が刊行され公共図書館の一部の蔵書にあるようであるので、戦後の訳がないものについてのみ記載した。 比較的近年に刊行された短編集は創元推理文庫の「マーチン・ヒューイットの事件簿」のみである。これに収録されている作品の雑誌やアンソロジー掲載の訳は、省略した。なお、この「事件簿」に収録されている作品は訳題の末尾に(事件簿)として示した。 原題の後の邦題は中島河太郎・押川曠編「名探偵読本5 シャーロック・ホームズのライヴァルたち」に記載の邦題である。

  • 井上一夫訳『マーチン・ヒューイットの事件簿』(東京創元社「創元推理文庫」.1978年。)
  • Martin Hewitt : Investigator - 『探偵マーチン・ヒューイット』(1894年、短編集)
  1. The Lenton CroftRobberies レントン館盗難事件
    1. 宇野利泰訳「レントン館盗難事件」(江戸川乱歩編「世界短編傑作集1」(創元推理文庫)東京創元社.1960.所収)
  2. The Loss of Sammy Throckett (別題The Loss of Sammy Crockett) サミー・クロケットの失踪
    1. 井上一夫訳「サミー・クロケットの失踪」(事件簿)
  3. The Case of Mr.Fogatt フォガット氏の事件
    1. 井上一夫訳「フォガット氏の事件」(事件簿)
  4. The Case of Dixon Torpedo ディクソン魚雷事件
    1. 井上一夫訳「ディクソン魚雷事件」(事件簿)
  5. The Quinton Jewel Affair クイントン宝石事件
    1. 井上一夫訳「クイントン宝石事件」(事件簿)
  6. The Stanway Cameo Mystery スタンウェイ・カメオの謎
    1. 井上一夫訳「スタンウェイ・カメオの謎 (事件簿)
  7. The Affair of the Tortoise 亀の事件
    1. 井上一夫訳「亀の事件」(事件簿)
  • The Record of Martin Hewitt - 『マーチン・ヒューイットの記録』(1895年、短編集)
  1. The Ivy Cottage Mystey アイヴァー荘の謎
    1. 井上一夫訳「アイヴィ・コテージの謎」(事件簿)
  2. The Nicobar Bullion Case ニコウバー号金塊事件
    1. 井上一夫訳「〈ニコウバー〉号の金塊事件」(事件簿)
  3. The Holford Will Case ホールフォード遺言状事件
    1. 井上一夫訳「ホールファド遺言事件」(事件簿)
  4. The Case of the Missing Hand なくなった手の事件
    1. (訳者無記名)「ヒュイット探偵」(「新青年」博文館.大正12年7月増刊号)
  5. The Case of Laker,Absconded 失踪したレイカー事件
    1. 井上一夫訳「レイカー失踪事件」(事件簿)
  6. The Case of the Lot Foreigner 迷子の外人事件
    • [未訳]
  • The Adventures of Martin Hewitt - 『マーチン・ヒューイットの冒険』(1896年、短編集)
  1. The Case of the "Flitterbat Lancers" “フリタアバット・ランサァズ”事件
    1. 富永和子訳「フリッターバット・ランサーズ事件」(「ミステリマガジン」早川書房.2000年6月号.所収)
  2. The Case of the Dead Skipper 亡くなった船長の事件
    • [未訳]
  3. The Case of Mr.Elopement ジェルダード氏駆け落ち事件
    • [未訳]
  4. The Case of Lane Mr.Rewse 故ルーズ氏事件
    • [未訳]
  5. The Affair of Mrs.Seton's Child セトン夫人の子供の事件
    1. 延原謙訳「二廃人」(「新青年」博文館.昭和14年5月増刊号)
  6. The Case of the Ward Tabemacle ウォド小路礼拝堂事件
    • (訳者名無記入)「ウォード・レーンの幕屋」(Web「ミステリの舞台裏」所収。[1]
  • The Red Triangle - 『赤い三角形』(1903年、短編集)
  1. The Affair of Samuel's Diamonds サムエルのダイヤ事件
    • [未訳]
  2. The Case of Mr.Jacob Mason ジェイコブ・メーソン氏の事件
    • [未訳]
  3. The Case of the Lever Key 梃の鍵事件
    • [未訳]
  4. The Case of the Burnt Barn 焼けた納屋事件
    • [未訳]
  5. The Case of the Admiralty Code 海軍本部暗号事件
    • [未訳]
  6. The Adenture of Channel Marsh 河床湿地帯の冒険
    • [未訳]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 井上一夫訳『マーチン・ヒューイットの事件簿』(創元推理文庫)東京創元社.1978年。巻末の戸川安宣氏による解説
  • 中島河太郎・押川曠編『名探偵読本5 シャーロック・ホームズのライバルたち』パシフィカ.1979年(絶版)
  • 森 英俊編著『世界名作ミステリ作家事典〔本格派篇〕』国書刊行会.1998年(1999年再版)

脚注[編集]

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  1. ^ ウェブ「ミステリの舞台裏」の「ライブラリー」に収録 http://www.hcn.zaq.ne.jp/caapa406/Classic/Tr_WardLane.htm