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マンダラート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

マンダラートやマンダラシート[1]などの思考フォーマットの元となっているマンダラ思考法で用いられる『マンダラチャート®』は、1979年に株式会社クローバ経営研究所の設立者・松村寧雄によって考案されたチャートの書き方をもとしている。その後、1987年にデザイナーの今泉浩晃によって考案された発想法の一種がマンダラートである[2]。また、マンダラチャートは株式会社クローバ経営研究所[3]と一般社団法人マンダラチャート協会[4]の登録商標である。

紙などに3×3の9マスを用意し、真ん中にメインテーマや目標を書き込みそれに関連するものを周辺のマスに埋めていくという作業ルールを設けることにより、アイデアを整理・外化し、思考を深めていくことができるものである。

概要

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3×3の9マスを書き、その中心のマスに考えたいことを書き込み、周りのマスにはそれに関連する事柄を埋めていく。次に周りの8マスのうち1マスを選び、そのマスの記載内容を別の紙の中心のマスに転記し、同様に繰り返す。これを何度も反復することにより、思考を深めていく[5][6]。枠組みを提供することにより思考の外化を促進することができるルールであるという意味ではKJ法マインドマップと似た特徴を持つ手法である[7]

また、9×9の81マスで作成するものもある。9×9の81マスを書き、中心に達成したい大目標を記入。次に、中心に接する8マスに大目標を実現するための要素(中目標)を連想し書き込む。最後に中目標から連想する要素(小目標)を埋める。この一連の流れを実行することによって、72個の具体的なアイデアが生み出すことができる[2]。この方法は、プロ野球選手大谷翔平が学生時代に活用したことでも話題になった。

実践例と効果

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ある研究では、「手法自体の使いやすさ」「アイデアの量が増える」「(アイデアの)ブラッシュアップ」「意見の共有、組み合わせ」などの点で効果が得られたとの報告がある。(立命館大学建築系の大学生・大学院生100名を対象とした、特性要因図ポジショニング法などを含む19手法の比較実験による。)[8]

また、マインドマップとの併用が効果的であるとの報告もある。児童の国語指導の場における実践例では、マインドマップにより広げたイメージをマンダラートに書くことで、思考の構成要素を視覚的に整理しやすいとされた[9]

脚注

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  1. ^ マンダラートとは|高知市立城東中学校”. 高知市立城東中学校. 2025年3月26日閲覧。
  2. ^ a b maiguma (2024年8月20日). “マンダラート/マンダラチャートとは? 大谷翔平選手も使った目標設定シート|One人事”. One人事 | 【機能満足度No.1】労務管理・勤怠管理・給与計算・人事評価や人材育成のタレントマネジメントをワンストップで支援する人事労務システムです。. 2025年3月26日閲覧。
  3. ^ Toreru商標検索 | カンタン・無料のオンライン商標検索サービス”. Toreru商標検索. 2025年3月27日閲覧。
  4. ^ Toreru商標検索 | カンタン・無料のオンライン商標検索サービス”. Toreru商標検索. 2025年3月27日閲覧。
  5. ^ 開米瑞浩「MECEからマンダラートまで 「思考の技術」を身に付ける」『日経ITプロフェッショナル』第24号、2004年5月、39ページ。
  6. ^ コミュニケーションをわかっている教師になろう!”. 読売新聞. 2014年1月27日閲覧。
  7. ^ 木村篤信、鈴木由里子、中茂睦裕、玉木秀和、小林稔「自省的思考を促進するアイデア外化支援システム」『情報処理学会研究報告. CVIM [コンピュータビジョンとイメージメディア]』第2008巻第115号、一般社団法人情報処理学会、2008年11月27日、15-20頁、ISSN 0919-6072 
  8. ^ 平尾和洋、山本伊織「発想法研究その1 : 発想法の効果の諸考察と組み合わせ表現型発想法を用いた比較実験」『日本建築学会近畿支部研究報告集. 計画系』第50号、社団法人日本建築学会、2010年5月25日、281-284頁、ISSN 1345-6652 
  9. ^ 表田さかえ「物語の構成要素を整理する : マインドマップとマンダラート」『国語科授業論叢』第2号、学思会 広島大学教育学部難波博孝研究室、2010年3月31日、64-69頁。 

関連項目

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外部リンク

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