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アウルクモンゴル語: A'uruγ)とは、モンゴル帝国の軍隊が戦争の際に軍の補給のために後方に設置する、 移動可能な輜重陣営を指す名称である。アウルクはその規模や目的によって様々な形式が存在し、モンゴル軍の迅速な移動に柔軟に対応しうるアウルクの存在は、モンゴル帝国が急速な拡大をなし得た要因の1つであると評されている。

アウルクは他のモンゴル帝国の用語と同様、帝国の急速な拡大によって多面性を持つ用語となっており、研究者の間でも多様な見解が存在する。アウルクの機能について最も端的に伝えているのは1221年南宋から使者としてモンゴルに派遣された趙珙の記録で、趙珙は『蒙韃備録』の中で「(モンゴル人の慣習として)戦いに出るときは貴賤を問わず妻子を伴って行く。彼ら自身は、彼女達を行李や衣服や金品などを管理させるために伴うのだという。婦女たちはもっぱら天幕を立てることを管理し、馬の、輜重の車、それを引く駄獣などを修理し整える。それのみならず、緊急の場合には彼女たちは馬を走らせることもできる」と記している。このような記述に基づいて、アウルクは古くからの研究では単純にモンゴル軍の兵員補充、物資補給のための「兵姑基地」、もしくは「後方支援基地」と定義されていた……良質な記事