プルック

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現代的にアレンジされたプルックの道具

プルック(Puluc[1])とは、マヤの一部の地域で行われるボードゲーム。2人で競技するゲームで、すごろくに似ているが、敵の駒を殺すことを目的とする。ベリーズモパン族の間ではブル(Bul)と呼ばれる[2]。フェルベークによると、アステカパトリと共通の起源を持つ[3]

ルール[編集]

ここでは、1906年のドイツカール・ザッパー英語版の報告をもとにR・C・ベルが記述した、ケクチ族のルールにしたがって述べる[4]

道具[編集]

ハシゴ状に11のマス目に区切られた盤を使用する。伝統的にはトウモロコシの芯を10個並べて作る。

サイコロのかわりにトウモロコシを4粒使用し、片面を黒く塗る。これを投げて、表が出た数が目になる。ただし、全部裏の場合は「5」と数える。

平たい円盤状の駒を各5枚使用し、色によって敵味方を区別する。

ゲームの進め方[編集]

両端のマスが各人の陣地であり、最初は自陣に駒を並べる。出た目の数にしたがって駒を進める。

すでに味方の駒のいるマスに進むことはできない。

進んだ先のマスに敵の駒がいる場合、自分の駒を敵の駒の上に置き、敵を捕虜にする。その後は捕虜は一番上の駒と一緒になって動く。

駒が敵陣に達した場合(目がぴったりである必要はなく、たとえばあと2マスで敵陣というときに3が出ても構わない)、その駒と、下になっている味方の駒は自陣に戻されるが、捕虜になっている敵の駒は殺される。なお、敵陣内にいる駒を捕虜にすることはできない。

敵の駒をすべて殺すと勝ちになる。

脚注[編集]

  1. ^ Sapper (1906) p.284 による。Culin (1907) pp.141-143 では bool-ik と呼んでいる。なおブルック(buluk)はユカテコ語で「11」を意味する語である。
  2. ^ Verbeeck (1998) p.85
  3. ^ Verbeeck (1998)
  4. ^ Bell (1979) pp.89-90

参考文献[編集]

  • Bell, R.C. (1979). Board and Table Games from Many Civilizations. Courier Corporation. ISBN 0486238555 
  • Culin, Stuart (1907). “Games of the North American Indians”. In W.H. Holmes. Twenty-Fourth Annual report of the Bureau of American Ethnology to the Secretary of the Smithsonian Institution 1902-1903. Washington: Government Printing Office. https://archive.org/details/annualreportofbu24smithso/page/140/mode/2up?view=theater 
  • Sapper, Karl (1906). “Spiele der Kekchi-Indianer”. Boas Anniversary Volume: Anthropological Papers written in honor of Franz Boas. New York: G. E. Stechert & Co.. pp. 283-289. https://archive.org/stream/boasanniversary00laufgoog#page/n355/mode/2up 
  • Verbeeck, Lieve (1998). “Bul: A Patolli Game in Maya Lowland”. Board Game Studies 1: 82-100. 

関連項目[編集]