フレームシンクロナイザー

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フレームシンクロナイザー英語:frame synchronizer、略称:FS)は、映像信号映像同期信号を一度外し、改めて付けなおす、主にテレビジョン放送局などで用いられる映像用機器である。

映像信号には全て同期信号(映像同期信号)が付いている。映像同期信号は「フレーム」構成の「タイミング」を指示するもので、この映像同期信号に従って受像機(復調装置)は映像信号を目に見えるかたちの映像にする。例えばカメラVTRなどにそれぞれ映像同期信号発生装置を持たせて映像をつくり、これらからの映像信号を単純に切り替えてつなぎあわせ、ひとつの映像を作ろうとしても、切り替えの度に映像が不安定になったりノイズが走る。

これはそれぞれの機器の映像同期信号のタイミングがバラバラであるため、フレームの途中で別のフレームが割り込む格好になり、受像機は次のタイミング指示がくるまで、映像信号を映像にすることができなくなるためである。このため映像に乱れなく切り替えを行うためには、全ての映像機器の映像信号を「同時刻」で構成しなければならない。このためには同じ映像同期信号が必要になる。

テレビジョン放送局(演奏所)では、主調整室の同期信号発生装置により映像同期信号を発生させ、演奏所内の各映像機器に同じ映像同期信号を分配することによりこの問題に対応しているが、電気信号であるがゆえに、特にその「遅延」が問題、演奏所内の分配ですら難しいのに、サテライトスタジオや中継先、まして日本全国の放送局にこれを分配することなど不可能に近い。かつては複数箇所からの映像信号を同期させるために、わざわざ自局の映像同期信号をこれらに合わせるように調整(位相調整)していたが、熟練を要したり操作ミスで失敗したりと不安定な状況であった。

フレームシンクロナイザーでは、入力される映像信号の映像同期信号を一度外し、改めて自局の映像同期信号を付けなおすことにより、この問題を解決している。具体的には、メモリに映像信号の本体を一時蓄え、自局の映像同期信号に同期させてこれを読み出すことによっている。フレームメモリに記録するので1~2フレームは遅延してしまうが、これのお陰で各放送局では飛躍的に信号管理の省力化が進み、安定した乱れのない映像送出が可能となった。

フレームシンクロナイザーが実現できた要因は、高速アナログ・デジタル変換器の実用化と、大容量半導体メモリの発達であった。1974年に初めて実用化されたフレームシンクロナイザは容量1kビットのDRAMを多数用いた19インチラック1本分ほどの大型装置であったが、その後の半導体高密度化技術の発展で小型化が進み、今日では小型のプリント基板1枚に組み込めるまでになっている。