ビーナスは片想い
ビーナスは片想い | |
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ジャンル | 少女漫画[1] 恋愛漫画[2] |
漫画 | |
作者 | なかじ有紀 |
出版社 | 白泉社 |
掲載誌 | LaLa |
レーベル | 花とゆめコミックス |
発表号 | 1999年4月号 - 2004年4月号 |
発表期間 | 1999年2月 - 2004年2月 |
巻数 | 全12巻 |
話数 | 全58話 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
『ビーナスは片想い』(ビーナスはかたおもい、英:Venus in Love)は、なかじ有紀による日本の漫画作品。『LaLa』(白泉社)にて、1999年4月号から2004年4月号まで連載された[2]。完結後に由樹と洵について描かれた特別編『Ωραιο!』が、同誌2004年6月号に掲載された。本作は同誌の1990年代の主な作品のひとつである[3]。兵庫県にある架空の大学・甲東大学での生活を中心に、芦原紗菜と魚住英知の関係が展開されている。
なかじが画業40周年を迎えた2022年の時点で、最長の作品である[4]。
あらすじ
[編集]芦原紗菜は甲東大学への入学を機に、魚住英知と知り合う。英知の友人・深見慎哉に好意を抱く紗菜であったが、英知も深見のことが好きだと知る。紗菜は恋のライバルである英知と友好を深めるにつれ、英知に対する感情が変化していく。
登場人物
[編集]- 芦原 紗菜(あしはら すずな)
- 甲東大学の新入生。18歳。アパートでは英知の隣の206号室に住んでいる。英知とはすぐに友達になり、親密になる。紗菜は深見に恋をしていたが、英知への想いが高まるにつれて、深見への感情は薄れていく。誕生日は9月10日。
- 魚住 英知(うおずみ えいち)
- 紗菜の隣の207号室に住んでいる。深見とは高校で出会ってからずっと親友。単行本の第1巻の後半で深見に恋をし、紗菜のライバルとなる。しかしそれにより紗菜との友情が壊れることはなく、紗菜に対する英知の気持ちは恋愛に変わっていく。考古学者になりたいと考えている。誕生日は3月31日。
- 池内 由樹(いけうち ゆき)
- アパートでは紗菜と英知の隣の205号室に住んでいる。緑色の目をしており、ギリシャ人とのハーフ。アルバイトでモデルをしている。英知に好意を抱き、紗菜と争うが、英知ではなく紗菜のことが好きだと自覚する。誕生日は4月3日。
- 深見 慎哉(ふかみ しんや)
- 紗菜や英知、多くの女性から好かれているが、本人は気づいていない。甲東大学の英文科の1年生。誕生日は6月19日。
- 梶 陽奈子(かじ ひなこ)
- 紗菜と英知と深見の友人。高校時代に英知に振られている。ギリシャ語の教員の保刈に恋をしている。誕生日は8月5日。
- 柏木 穂花(かしわぎ ほのか)
- 服飾科の2年生。深見とは電車の中で出会う。酔っ払っているなど、深見にとって恥ずかしい状況で関わった後、関係を築いていく。誕生日は6月15日。
- 芦原 智(あしはら さとる)
- 紗菜の弟。16歳。
- 魚住 知巳(うおずみ ともき)
- 英知の弟。紗菜が知巳と出会った時に、髪を黒く染めた英知だと間違えるほど、英知に似ている。卒業後には美容系の学校に進学する。誕生日は5月5日。
- 魚住 静(うおずみ しずか)
- 英知と知巳の姉。休暇中にハワイで事故に遭い、亡くなっている。事故の詳細は漫画で説明されていない。誕生日は10月4日。
- 河内 俊平(かわうち しゅんぺい)
- アパートの205号室で、紗菜の右隣の部屋の住人。「ミラクル魔子」のアニメが好きで、紗菜がミラクル魔子に似ていると思っている。
作風・テーマ
[編集]本作は「性別を超えた恋愛」をテーマに描かれており[2]、ストーリーと絵柄の両方を売りとしている[5]。
なかじは本作を発表したことにより、世界的な躍進を遂げた[6]。本作もそうであるが、ほかに『ZIG☆ZAG』など、なかじの作品は学生をテーマとしており、若い読者をターゲットにした内容となっている[6]。
制作背景
[編集]作者のなかじによると、「特に印象に残っているシーン」は「お互いに告白することもなく、戦友という立場でいかに自然にキスをするか」という部分に工夫を凝らしたという「英知と紗菜の初キスシーン」である[4]。「何かに抗ってジタバタしてる男の子が好き」ななかじの作品には「かわいい系の男の子」がメインの作品が多いが、中でも一番お気に入りのキャラクターとして本作の英知を挙げている[4]。
評価
[編集]書評家のジョイ・キムによると、本作のなかじのキャラクターデザインは、典型的な少女漫画らしいスタイルとなっている[1]。画面のレイアウトがわかりやすく描かれており、快適に見られるため、同じ髪色の登場人物を区別することが困難な場合があっても、それは小さな問題に過ぎないという[1]。
書誌情報
[編集]- なかじ有紀『ビーナスは片想い』白泉社〈花とゆめコミックス〉、全12巻
- 1999年11月初版発行、ISBN 4-592-17641-3
- 2000年4月初版発行、ISBN 4-592-17642-1
- 2000年8月初版発行、ISBN 4-592-17643-X
- 2001年2月初版発行、ISBN 4-592-17644-8
- 2001年8月初版発行、ISBN 4-592-17645-6
- 2002年1月初版発行、ISBN 4-592-17646-4
- 2002年6月初版発行、ISBN 4-592-17647-2
- 2002年11月初版発行、ISBN 4-592-17648-0
- 2003年3月初版発行、ISBN 4-592-17649-9
- 2003年10月初版発行、ISBN 4-592-17650-2
- 2004年3月初版発行、ISBN 4-592-18061-5
- 2004年7月初版発行、ISBN 4-592-18062-3
出典
[編集]- ^ a b c “Nakaji, Yuki: Venus in Love, vol. 5” (英語). 2021年11月6日閲覧。
- ^ a b c “ビーナスは片想い(漫画)”. マンガペディア. 2021年11月6日閲覧。
- ^ “LaLa創刊45周年!夢中になったあのキャラクター、忘れられないあのシーンを生んだ“ビューティフルなまんが雑誌”の歴史を振り返る”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年5月24日) 2021年11月6日閲覧。
- ^ a b c “青春群像劇の名手・なかじ有紀画業40周年インタビュー、“誰も傷つけない作品でありたい”という願い”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年9月5日) 2022年9月6日閲覧。
- ^ “NEW MANGA TITLES FOR 2005!” (英語). 2021年11月6日閲覧。
- ^ a b “Venus in Love” (ドイツ語). 2021年11月6日閲覧。