ノート:近鉄6800系電車

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本系列の出力について[編集]

昭和32年に製造された近鉄6800系ですが、電気車の科学1957年10月号に近鉄車両部課長が性能図と共に解説してくれています。その中で主電動機MB3032Sについては75kW定格(端子電圧340V・250A)の表示があり、解説文中には75kWモーターだが往路を過負荷で運転しても復路は空車運転なので、往路で上昇した主電動機の温度を復路で冷やす事が出来る。絶縁種を高めた事と相まって、75kWモーターながら90kW相当の出力にて使用していると書かれています。

この後半の90kW相当にて使用というのが一人歩きして75kWではなく90kWという表現になったのかもしれませんが、例えば鉄道ピクトリアル私鉄増刊1981年12月号などでも藤井信夫さんが90kWと書いてしまってるんですね。このあたり外部の人が書いた記事の場合はいくら権威であったとしても何らかのチェックは必要なのかなとも感じます。なお、ピク私鉄増刊2003年1月号ではこのモーターは75kWとされています。

出力は電圧×電流ですから、諸元表にある端子電圧と電流を掛け、効率を加味すればほぼ公称出力になることが確認出来ると思います。当時の主電動機特性曲線図から、効率は一時間定格電流250A時で0.85のようですから、出力は340×250×0.85で72kWです。まぁこれで75kWと言うのは普通でしょうかね。

90kWに関しては、一時的な出力アップであると考えられます。直流直巻きモーターですから、電流を高めれば回転力も増しますから、起動加速度を高めようとすると起動電流を高めれば良い事になります。特にラビットカーは4.0km/h/sという加速度を得たいというわけですから、起動電流を高める必要性がありました。車重30.5tを4.0km/h/sの加速度で走らせるには逆算すれば3700kg/t程度の引張力が必要ですが、ノッチ曲線からだいたい320A程度で得られるようなんですね。340V×320A×0.85で92kWになりますから、起動時は起動で電流を高めて空車時で約90kW相当で走らせると言う事を電気車の科学の記事では言いたかったのだと思います。

ただ、応荷重装置がついていて、300名定員まで4.0km/h/sであることを考えると、1名50kgとしても300名乗車時は45.5tとなり、この場合は5600kg/tの引張力が必要となり、ノッチ曲線から約450Aとなり、約130kW相当で使う事になりますので、この90kW相当というのが正しい表現なのかどうかは少し微妙な所です。いずれにしても、ラビットカーに限らず、起動電流を高める事は様々な形式で行っており、101系の起動電流が380Aだからといって101系を128kWだといって良いのかと言う話じゃないかと思います。

電気車の科学の性能図は架線電圧を1350V相当と考えて、端子電圧を340Vとしてありますが、これを1500V相当とすると記事にある端子電圧375Vとなりますから、実際には75kWより若干高い80kW程度なのかもしれませんが・・・

このあたり、一時的に出力を高めるというのと一時間定格出力を混同するとマズイような気がします。だから、ラビットカーを山手線で使ったとしても4.0km/h/sの加速度では走れないという事ですから、この4.0km/h/sという加速度は使用が限定されるという注記も必要かも知れませんね(笑)--永尾信幸 2011年4月1日 (金) 08:24 (UTC)[返信]

永尾さんのコメントからだいぶん時間が経ってしまってますが、一応コメントしておきます。当時の三菱電機の技報を見ると、MB-3032-Sは「75kW/1600rpm/340V/250A」の他に「90kW/1750rpm/375V/270A」と書かれているケースがあります。三菱電機は90kWの方で設計しているのだと思いますが、この当時は、私鉄経営者協会が決めた標準型電動機に準拠することが求められていたため、公称値としてはこの標準に合致する75kW/1600rpmに合わせてあるのかもしれません。--rs1421 2011年7月11日 (月) 12:56 (UTC)[返信]
rs1421さん、コメントありがとうございます。私のも亀レスになってしまいましたが、端子電圧の違いによる出力の変化という風に考えればつじつまがあいますね。375V×270A×効率0.89程度とすればちょうど90kWになりますし。端子電圧が340V時の75kWと併記しておいた方が良いかもしれませんね。--永尾信幸 2011年9月16日 (金) 01:24 (UTC)[返信]