ノート:広背筋

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 『パンチ力と広背筋の関係についての異論』

 ■:本文中に以下の記述…


【一般には「広背筋を鍛えるとパンチ力が増大する」という話があるが、これは俗説に近い。パンチ力の源となる(パンチを放ったときに一番負荷がかかる)筋肉は、ストレート系ならば三角筋・上腕三頭筋であり、フック系ならば上腕二頭筋・大胸筋などである。広背筋はどちらかといえばパンチの引きのスピードに関連していて、「押す」運動であるパンチ自体の威力には大した関連を持っていない。余談だが広背筋を鍛え、パンチ力を増大させると言われる「薪割り」のトレーニングなども、広背筋ではなく三角筋や上腕二頭筋を鍛えることでパンチ力の増大を図るものである。 ただし、パンチを打てばその威力に応じた分手を減速させる必要があるので、パンチ力が強ければ強いほど広背筋は強い伸張性収縮を強いられる。したがって、「広背筋が強ければパンチ力が高い」とは言えないが「パンチ力が強ければ広背筋が発達する」と言う可能性はある。】


  …が有るが…


 実際は…

右ストレートを打つ場合、左の広背筋等によって左の上体(肩や胸の全体)が後方に引かれ、その動作によって逆に右上体(肩や胸の全体)が前方に押し出される事になるからこそ、体幹の大きな筋肉群による強いパワー(最終的にスピードと重みの有る右ストレート)が実現されると云うことだろう…


また、同じように、フックの場合も上体全体を捻る(回転させる)事が重要であり、右フックの場合、左の上体(肩や胸の全体)を広背筋等によって後方に引き付け捻る事で、同時に右上体の前方での力強いスイングが実現される訳で、腕の筋肉群以上に、体幹の大きな筋肉群による強大なパワーが発揮されていると言えるだろう…


「パンチを撃ち出す腕と反対側の広背筋の働き」が注目すべき焦点なのだが…簡単に云えば、具体的な広背筋の働きを、肩甲骨を後方に引く動作と考えれば意識しやすいだろう。


つまり、右のパンチには左の広背筋が作用しており、また、力強いパンチには腕の筋肉以上に、その動きを支える(広背筋等)体幹の筋肉が重要なのだ。


 本文の記述が誤解に陥ってしまったのは、実際のパンチが全身のダイナミックな動きの組み合わせで実現されている事実に対し、部分的な運動である肩や腕の動作に囚われてしまった事…が原因だろう。

広背筋の問題から更に発展させて言及すれば…右ストレートの場合、右足で床を後方にプッシュし、右腰を前方に押し出し…前方に向かう上体全体から、左上体(肩甲骨)を後方に引く事に因って、右上体が前方に更に加速されて押し出される…と云った一連の動作の流れに寄って初めて実現されているのだ。

また、軽く速いジャブと、重く力強いストレートで、どの様に筋肉の使い方が違うかを考えてみれば体幹や下半身の筋肉群の使い方の重要性が判ると思う。