ノート:広島市への原子爆弾投下/archives

ページのコンテンツが他言語でサポートされていません。

1. 第20航空軍第509混成群団は、1945年8月3日ごろから以降、天候が許し次第、目標:広島、小倉、新潟、長崎のうちの一つに、最初の特殊爆弾を目視攻撃により投下することとする。この爆弾の爆発効果を観測し記録する目的で、陸軍省から派遣した軍と民間の科学者要員を運ぶためには、余分な機を爆弾搭載機に随行させることとする。これらの観測機は、爆弾の爆発点から数マイルの距離にとどまることとする。

2. 計画要員によって準備が整い次第、上記の目標の上に追加の爆弾を投下することとする。上に列挙した以外の目標に関しては、追って指示を与える。

3. この兵器の対日使用に関する一切の情報を発表する権限は、陸軍長官および合衆国大統領だけが保有することとする。前線の司令官によるこの主題に関する声明や情報の発表は、事前の特別な許可なしには、行ってはならない。一切の報道記事は、陸軍省に送って特別な検閲を受けることとする。

4. 上記の命令は、合衆国陸軍長官と参謀総長の承認のもとに、その指示によって貴官に発せられる。貴官はこの命令書の写し1通をマッカーサー将軍に、また1通をニミッツ提督に、情報として送達されたい。


1. b. (2) (a) ここに挙げた以外の味方機は、攻撃時刻の4時間前から6時間後までの間は、この攻撃のために選ばれたどの目標に対しても、50マイル以内に入ってはならない。
2. 第20航空軍は、8月6日に、日本の目標を攻撃する。
3. c. 第313航空団、第509群団:
    (1) 第1目標: 広島市街地工業地域。
      (a) 照準点: 063096。 参照:XXI爆撃機集団リト・モザイク 広島地域、No.90.30-市街地。
      (b) 攻撃始点: 北緯34°24′-東経133°05′30″。 〔広島県三原〕
      (c) 離脱点(目標を攻撃した場合): 少なくとも150度の右旋回をして、北緯34°00′-東経133°34′。 〔愛媛県川之江-伊予三島〕
    (2) 第2目標: 小倉造兵廠および小倉市。
    (3) 第3目標: 長崎市街地域。
    (4) 必要兵力:
      (a) 攻撃兵力: 3機。
      (b) 予備機: 1機、失敗の場合に備えて硫黄島に進出させておく。
      (c) 気象観測機: 3機、それぞれの目標に1機を派遣する。
    (6) 航路:
       基地
       硫黄島
       北緯33°37′-東経134°30′(発進開始点) 〔徳島県牟岐沖合の大島〕
       北緯34°15′30″-東経133°33′30″ 〔香川県三崎半島の突端〕
       攻撃始点
       目標
       離脱点
       硫黄島
       基地。
    (10) 搭載爆弾量と特殊装備: 第509群団指揮官により指定された通りとする。
    (11) 目視攻撃だけを行うこと。
4. この作戦に対しては、作戦任務番号は付けない。記録の目的には、特殊爆撃任務13番とする。

作戦日: 1945年8月6日
直前指令: 下を見よ
離陸: 気象観測機は0200(頃)に / 攻撃機は0300(頃)に  〔時刻はすべてマリアナ標準時〕
起床時刻: 気象班は2230 / 攻撃班は2330
食事時刻: 2315から0115
必要携帯食: 気象班は2230に39食 / 攻撃班は0030に52食
トラック: 気象班は0015に3台 / 攻撃班は0115に4台

機体番号   勝利者番号   機長      補助乗員     同乗者
気象任務
  298        83      テイラー
  303        71      ウィルソン
  301        85      エザリー
  302        72      予備機
攻撃班
  292        82      ティベッツ  指令により
  353        89      スウィーニー
  291        91      マクォート
  354        90      マックナイト
  304        88      マクォートのための予備機

燃料: 82号機-7000ガロン / その他の全機-7400ガロン
弾薬: 全機が各機1000発
爆弾: 特殊  〔原爆(リトルボーイ)〕
カメラ: 82号機と90号機にはK18、その他の装置は口頭指示による
宗教上の式: カトリックは2200に / プロテスタントは2230に

直前指令:
 攻撃任務
   一般直前指令は2400に搭乗員休憩室で
   専門別直前指令は0030に以下の通り
    機長と操縦士は搭乗員休憩室で / 航法士とレーダー係は図書室で / 無線通信士は通信室で / 航空機関士は作戦室で
   0030に食事
   0115にトラック


大本営発表(昭和二十年八月七日十五時三十分)

一、昨八月六日広島市は敵B29少数機の攻撃により相当の被害を生じたり
二、敵は右攻撃に新型爆弾を使用せるものの如きも詳細目下調査中なり

16時間前、アメリカの飛行機が日本軍の最重要陸軍基地・広島に一発の爆弾を投下した。この爆弾の威力はTNT2万トンを上回るものである。これまでの戦争の歴史において使用された最大の爆弾、イギリスのグランドスラム爆弾と比べても、2000倍の破壊力がある。(中略)つまり原子爆弾である。

ポツダムで7月26日に最後通告が出されたのは、日本国民を完全な破壊から救うためであった。日本の指導者たちは、この最後通告を即刻拒否した。もし彼らがアメリカの出している条件を受け入れないならば、これまで地球上に一度も実現したことのないような破壊の雨が降りかかるものと思わねばならない。 — 強調引用者。

(AB-11)

即刻都市より退避せよ

日本国民に告ぐ!!

このビラに書いてあることを注意して読みなさい。
米国は今や何人もなし得なかつた極めて強力な爆薬を発明するに至つた。今回発明せられた原子爆弾は只その一箇を以てしても優にあの巨大なB-29二千機が一回に搭載し得た爆弾に匹敵する。この恐るべき事実は諸君がよく考へなければならないことであり我等は誓つてこのことが絶対事実であることを保証するものである。
我等は今や日本々土に対して此の武器を使用し始めた。若し諸君が尚疑があるならばこの原子爆弾が唯一箇広島に投下された際如何なる状態を惹起したか調べて御覧なさい。
この無益な戦争を長引かせてゐる軍事上の凡ゆる原動力を此の爆弾を以て破壊する前に我等は諸君が此の戦争を止めるよう陛下に請願することを望む。
米国大統領は曩に名誉ある降伏に関する十三ヶ条の概略を諸君に述べた。この条項を承認しより良い平和を愛好する新日本の建設を開始するよう我等は慫慂するものである。諸君は直ちに武力抵抗を中止すべく措置を講ぜねばならぬ。
然らざれば我等は断乎この爆弾並びに其の他凡ゆる優秀なる武器を使用し戦争を迅速且強力に終結せしめるであらう。

“即刻都市より退避せよ”
(AB-12)

日本国民に告ぐ!!

“即刻都市より退避せよ”

このビラに書いてあることは最も大切なことでありますから良く注意して読んで下さい。
日本国民諸君は今や重大なる秋に直面してしまつたのである。
軍部首脳部の連中が三国共同宣言の十三ヶ条よりなる寛大なる条項を以て此の無益な戦争を止めるべく機会を与へられたのであるが軍部は是を無視した。
そのためにソ聯は日本に対して宣戦を布告したのである。
亦米国は今や何人もなし得なかつた恐しい原子爆弾を発明し之を使用するに至つた。之原子爆弾はたゞ一箇だけであの巨大なB-29二千機が一回に投下する爆弾に匹敵する。この恐るべき事実は諸君が広島に唯一箇だけ投下された際、如何なる状態を惹起したかはそれを見れば判るはずである。
此の無益な戦争を長引かせてゐる軍事上の凡てを此の恐るべき原子爆弾を以て破壊する。米国は此の原子爆弾が多く使用されないうち諸君が此の戦争を止めるよう天皇陛下に請願される事を望むものである。米国大統領は曩に諸君に対して述べた十三ヶ条よりなる寛大なる条項を速やかに承諾し、より良い平和を愛好する新日本の建設をなすよう米国は慫慂するものである。随つて日本国民諸君は直ちに武力抵抗を中止すべきである。
然らざれば米国は断乎この原子爆弾並に、其他凡ゆる優秀なる武器を使用しこの戦争を迅速且強制的に終結せしむるであらう。

“即刻都市より退避せよ”

八月六日広島空襲ニ対スル研究会議事概要
二〇.八.一〇 呉工廠

一、日時、場所 八月十日 於広島陸軍補給廠

四、判決
(イ) 弾種、通常ノ爆薬又ハ焼夷剤ニアラズ 原子爆弾又ハ威力之ト同等ノ特殊爆弾ナルモノト認ム
(ロ) 爆発位置 護国神社南方三〇〇米、高度五五〇米
(ハ) 爆圧、爆心地上ニ於テ六粁/平方糎程度ト推定スルモ 尚検討ヲ要ス
(ニ) 火傷原因 光線ノ影響ナルモ尚β線及X線ノ影響アルベシ、光線ノ持続時間ハ瞬間ニ非ザルモノノ如シ
(ホ) 火災ノ原因 熱線ニ依リ引火シ易キ物質(藁、黒幕等)発火シ火災ノ原因トナルコトアリ
(ヘ) 投弾法 必シモ落下傘ヲ伴ハズ

五、対策
(イ) 一般ニ達スベキモノ
 (一) 警戒警報中ト雖モ敵機上空ニ近接ヲ知ラバ掩蓋アル屋外防空壕ニ退避スベシ
 (二) 間ニ合ハザルモノハ遮蔽下ニ低キ姿勢トナルベシ、閃光後直チニ空地ニ飛ビ出スベシ
 (三) 服装ハ露出部ヲナクシ、厚着ヲナシ白色ノ下着ヲ着スベシ
 (四) 火傷薬ヲ所持セヨ
 (五) 硝子窓ハ負傷ノ原因トナルヲ以テ撤去シ、日本建築等ハ半地下式ニ改造スルヲ可トス
(ロ) 軍関係対策
 (一) 投下機ノ外観ノ特異点ハ不明ナリ。投下時急旋回セリ
 (二) 基地飛行機は有蓋掩体若ハ地下ニ格納スベシ

本月六日米国航空機は広島市の市街地区に対し新型爆弾を投下し瞬時にして多数の市民を殺傷し同市の大半を潰滅せしめたり広島市は何ら特殊の軍事的防備乃至施設を施し居らざる普通の一地方都市にして同市全体として一つの軍事目標たるの性質を有するものに非らず、

本件爆撃に関する声明において米国大統領「トルーマン」はわれらは船渠工場および交通施設を破壊すべしと言ひをるも、本件爆弾は落下傘を付して投下せられ空中において炸裂し極めて広き範囲に破壊的効力を及ぼすものなるを以つてこれによる攻撃の効果を右の如き特定目標に限定することは技術的に全然不可能なこと明瞭にして右の如き本件爆弾の性能については米国側においてもすでに承知してをるところなり、

また実際の被害状況に徴するも被害地域は広範囲にわたり右地域内にあるものは交戦者、非交戦者の別なく、また男女老幼を問はず、すべて爆風および輻射熱により無差別に殺傷せられその被害範囲の一般的にして、かつ甚大なるのみならず、個々の傷害状況より見るも未だ見ざる惨虐なるものと言ふべきなり、

抑々交戦者は害敵手段の選択につき無制限の権利を有するものに非ざること及び不必要の苦痛を与ふべき兵器、投射物其他の物質を使用すべからざることは戦時国際法の根本原則にして、それぞれ陸戦の法規慣例に関する条約附属書、陸戦の法規慣例に関する規則第二十二条、及び第二十三條(ホ)号に明定せらるるところなり[1]

米国政府は今次世界の戦乱勃発以来再三にわたり毒ガス乃至その他の非人道的戦争方法の使用は文明社会の与論により不法とせられをれりとし、相手国側において、まづこれを使用せざる限り、これを使用することなかるべき旨声明したるが、米国が今回使用したる本件爆弾は、その性能の無差別かつ惨虐性において従来かかる性能を有するが故に使用を禁止せられをる毒ガスその他の兵器を遙かに凌駕しをれり、

米国は国際法および人道の根本原則を無視して、すでに広範囲にわたり帝国の諸都市に対して無差別爆撃を実施し来り多数の老幼婦女子を殺傷し神社仏閣学校病院一般民家などを倒壊または焼失せしめたり、

而していまや新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも比し得ざる無差別性惨虐性を有する本件爆弾を使用せるは人類文化に対する新たなる罪悪なり帝国政府はここに自からの名において、かつまた全人類および文明の名において米国政府を糾弾すると共に即時かかる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを厳重に要求す

注釈[編集]

  1. ^ ハーグ陸戦協定