ノート:アルプス人種

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== エルンスト・クレッチュマー == (1888-1964) ドイツの精神科医 主な著書に、「新敏感関係妄想」「ヒステリーの心理学」「体格と性格」「医学的心理学」「精神医学論集」「天才の心理学」等がある。

 まず彼の立場は、チュービンゲン学派の伝統を受け継いだものといって間違いがないであろう。クレッペリンの体系を解きほぐし、それを体系化したことに彼の業績はある。また同時代のユングにも、注意を払いつつ、無意識の妥当性を模索していたのも有名な事である。その著作には、哲学的、芸術的センスがいかんなく発揮されており、彼の天賦の才を彷彿とさせる。

 「ヒステリーの心理学」において、彼は日本のアイヌ民族に焦点を当て、ヒステリーを原初の動物の生態反射と同等の意味と解している。もちろん、これはパブロフの見解を含めての事でもある。

 「体格と性格」では、彼は主に三つの区分けをした。肥満型、細長型、闘士型である。肥満型は社交的で、現実的な性格を基調とする。細長型は、自閉的、分析的、理想主義的な見解を持つ。闘士型は、鈍麻性や堅忍不抜の態度を基調とする。

 「医学的心理学」では、脳科学的と精神医学の密接性を説き、様々な実例を挙げつつ、論を進めている。この本の内容は、現在の精神科医の教科書とほぼ同様であり、この時代を頂点とし、それが現代にまで至っている事を示している。

 「精神医学論集」は、クレッチュマーの死後、彼の子供のヴォルフガング・クレッチュマーによって、編纂された本である。この本の中には、彼の断片的な思想と、当時のドイツの風潮などが書かれている。

 「天才の心理学」は、いわゆる彼の集大成である。種々様々な天才たちを事例に挙げ、狂気と天才の関係を説いている。彼は最終的な結論として、天才の事を「人類中の稀有にして、極端なる変種」である、と述べている。しかし、天才当人たちの意見は多少なりとも違い、そこに主観的な世界と科学的な世界の乖離が見られる。またアルプス民族に躁鬱病を呈するものが多いという意見は、現在に至っては定説になっている。東京医科歯科大学の研究調査でも北方民族には圧倒的に躁鬱病を呈するものが多いのが分かっている。また彼が述べている、客観は主観によって制約される、は現在までの調査で明らかになっている。それとは、反対に天才と狂気の関係は現在のところ今だ定説を得ていない。