ネクロパンツ

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アイスランド魔術博物館英語版 に展示される復元模型。右には魔法陣(スターヴ)、足元には貨幣が散らばる。

英訳名ネクロパンツ英語: necropants)で知られるアイスランド伝承におけるナウブロウクNábrók股引」)は、人間の死体より作られた長ズボン(≈股引)で、絶えず富を貯える効能の魔法具である。

事前に了解を得た知人の死体から下半身の皮を剥いでズボンに仕立て、そのポケット(陰嚢)に、未亡人から盗んだ貨幣を収めると魔法が発動し、以後、そこにお金が貯まる、と伝えられる。素肌に密着して剥がれないが、死を目前とすると脱いで後継者に譲渡することが出来る。ただし所定の手順を踏まなければならない(まず右足のみ脱いで相手に履かせる)。もし着たまま死ねば魂は失われ、死体はシラミ虫で覆いつくされるのだという。

アイスランド魔術博物館英語版 に、その復元模型が展示されている(右図参照)[1][2]

名称[編集]

原典であるアイスランド民話集[3]とその訳出( § 文献資料参照)においては、初出は「悪魔の股引ももひき」(skollabrækur、複数形[注 1])とある[注 2]

さらには異称がいくつか列挙されている:

  • フィンの股引」/「サーミ人の股引」(Finnabrækur[注 3][注 4]
  • 金銭の洋袴ズボン」(gjaldbuxur[注 5]
  • 「屍の股引/屍の洋袴」(nábrók/nábuxur[注 6]
  • パープエイ島人の股引」(Papeyarbuxur[注 7]

また、英語圏では「ネクロパンツ」(necropants)という俗称が通称になっているが[9]、この直訳名(翻訳借用)は、アイスランド魔術博物館の展示資料等でも用いられている[10]のが顕著な例である。

衣装用語[編集]

原文のアイスランド語"-brók"や複数形"-brækur"は要するに「長ズボン」の意であるので、「ズボン」でもよいが、あえて「股引ももひき」とも訳せよう[12]。股引と似た時代衣装にホーズがあり[11]、これ自体は訳語に使われていないが、1866年英訳では同義語の"drawers"で訳される[注 8][注 9][注 10]

一方、原文のアイスランド語"brók"については、1972年英訳では"breeches"を定訳に充てている[8]。たしかに"breeches"は原語と同根語ではあるものの、英語においてはふつう「半ズボン」系を指す語なので[4][注 11]、配慮が必要となる[注 12]

文献資料[編集]

その伝承は、ヨウン・アウルトナソンのアイスランド民話集の、「魔法の術(töfrabrögð)」の節で解説される[3]

英訳ではジョージ・パウエル英語版エイリークル・マグヌースソン英語版共訳(1866年)の序文で触れており[5]、後年にジャクリーヌ・シンプソン英語版の訳書(1972年)の「ラップ人の下衣(Lappish Breeches)」の段に収められる[8][注 13]

民間伝承[編集]

伝承によれば、未来永劫、金銭に不自由しないことを求める者は[注 14]、いわゆる「悪魔の股引」(異称:「屍の股引」等)を求めればよい、とされる[3]

効き目はともかく、そうした人皮製のズボン/股引が実在した(作成された)かについても、おとぎ話の域をでないもの、と考えられている[17]

儀式[編集]

この魔法の下衣を得るにはまず、相手が死ねばお互いの死体をこの材料に使ってかまわない、という了解の相互盟約を交わさなければなならい[18]。時くれば、生存者は、埋葬された相手の死体を掘り起こし、下半身の生皮を、穴などあけぬようにきれいに剥ぎとる。これをすぐさま履かねばならないが、するとたちまち素肌に密着し、その時が来るまで( § 譲渡参照)自分の意志のみでははずせなくなる。これだけではまだ富増しの魔法は発動していない。履く者は、時を選んで極貧の未亡人から貨幣を盗み取り、ズボンの「ポケット」(と婉曲的に訳されるが[8]pungurとは露骨に言えば男性器の「陰嚢」のことである[18])に納めなくてはならない。この窃盗の頃合いとは、キリスト教の三大祭(ユールと復活祭と聖霊降臨祭[5])の聖書の書簡と福音書の説諭のあいまにおこなわなければなない。ただ、ある者は履いた翌日であればよいとする。これで力を授かった魔法具は、生ある者たちから金銭を集めてくれるので財産が増える(「袋」に貯まる)。注意点として、後からの金銭はいくらでも費消できるが、最初の貨幣はそのままにしておかないと能力を失ってしまう[3][5][8]

魔法陣[編集]

伝・「屍の股引」ネクロパンツのスターヴ英語版(符)[19][注 15]

以上は、ヨウン・アウルトナソンのアイスランド民話集に記載された説明だが、実践にあたってはもう一つ、特定の魔法文字を書いた紙、すなわち「屍の股引」のスターヴ英語版Nábrókarstafur)も貨幣に沿えて「袋」に入れておかなければならない、と近年の史料(アイスランド魔術博物館等)では説明されている[10][24][25]

ハルドゥル・ラックスネスの歴史小説『アイスランドの鐘』(1943年)では、「屍の股引」nábrokやその魔法陣Nábrókarstafurが言及されており、Jón Þeófilusson という人物が、呪いの記号符(vindgapi)と「屍の股引の呪符」nábrókarstafurを所持していることが露見し、魔術師として火あぶりにされる危機におちいる[20][27]。エイリークル・ヨウンスソンは同小説の考証本(1981年)で、これに関する呪符本の写本を見つけ、左掲図の呪文符が「ギム[?]の指輪または屍の股引の呪符」(Gimhringur eða Nábrókarstafur )と付記されていると記載した[20]。この「ギム」誤記で、異本に照らせば同一シンボルが「魅惑(ギン)の指輪」(Ginnhringur)の符だと題される[28]。そしてこれは好きな相手の心を惹きつける Ginnir(英訳"enticer"[29]、「誘惑者」)の符に類する記号ではないかと考察される[28][注 16]

譲渡[編集]

この魔道具は、その「悪魔的」(アイスランド語: djöfullegt)な性質が解説者に注視される[18]。アイスランドの民間では、このズボンは、悪魔に魂を売り渡した者だけが授かる下賜品だとも噂されていた[31]

このズボンを脱ぐことは、生命が尽きようとするときまでかなわない。しかも、息あるうちに脱がないと、魂は失われ、遺体にはシラミ(lús, lýs)が湧きつくすといわれる。 そしてズボンを受け継ぐ者を見つけないとならない。作法も決まっている。まずズボンの右足だけを脱ぎ、相手に履かせなければならない。右足を受け継いだ方は、もう後戻りはできず、脱ごうにも脱げず、逆に意図もせぬまま知らずうちに左足まで着けられてしまう[3][5][8]

関連する民話[編集]

ヨウン・「リーキ」・ソールザルソン(「富豪の」、1771年生) という人物については、モウフースのスコッタ(Móhúsa-Skotta、「泥炭の家」のスコッタ)という地霊(フィルギャ)に怨まれる話がヨウン・アウルトナソンの話集に所収されるが[32]、マーガレット・ウィルソン(Willson)の書籍には、この人物が富豪なあまり、かの「悪魔のズボン」(demon's pants)の持ち主ではないかと噂されていた、とある[7]

また、カトラという名の魔女の伝承が、カトラ火山にまつわり存在するが、これもヨウン・アウルトナソンの話集に取り上げられる[33]。 カトラが所有する早足を可能にさせる股引(七里靴英語版に似ると指摘される)は、あるいは「屍の股引」とも関連しているのではないか、とマティアス・ノルドヴィグ英語版は考察している[34]

注釈[編集]

  1. ^ brækurbrókの複数形。英語でこれに相当する語も"breeches"で、("pants"のように)一着でも複数形で呼ぶことが多い[4]
  2. ^ 英訳では"Devil's pair of drawers"[5]、"devil's breeks"[6]、"Old Nick's breeches"、"demon pants[7]とみえる。
  3. ^ 英訳では"Breeches of Fins"[5]、 "Lappish Breeches"[8]、"Finn Breeches"[1]
  4. ^ フィンというのは、かつて"Lapp"(「ラップ人」)と呼称しており、シンプソン訳の当時ではまだの呼称は普通だったが、現在では別称とされるので「サーミ人」と言換える。この「フィン」たちは、魔術が巧みの者たちであるという固定観念が従来の北欧の伝承にある[5][8]
  5. ^ 英訳では"Money Trousers"[5]、 "Money Breeches"[8]
  6. ^ 英訳では"Dead-man's pantaloons"(「死者の長股衣パンタルーン」)[5]、 "Corpse Breeches"[8]
  7. ^ 英訳では "Papey Breeches"[8]パープエイ島英語版は、富豪が多いとの評判があることから、と説明される[5][8]
  8. ^ パウエルとマグヌースソン共訳の序では、さまざまな衣類用語をあしらっているが、筆頭に"Devil's pair of drawers"とあり[5]、この"drawers"は「ホーズ」(下着・上着も含め)の意味である[13]
  9. ^ 「股引」も歴史をたどればある意味「ホーズ」に由来する。「股引」の元祖は南蛮伝来の「カルサン」という衣服であるとされる[14]。「カルサン」はポルトガル語のcalçãoに拠るものであるが、これは接尾辞-ãoをつけた指大辞であり、すなわち直訳で「大きなホーズ」を意味している。すなわちその語根部はポルトガル語calçasであり、スペイン語のcalzasやフランス語のショース(chausse)と同根語で「ホーズ」の意味である。
  10. ^ マウラーの解説では、"Teufelhosen" "Geldhosen"などと訳されているが[15]、現代ドイツ語ではHoseは「ズボン」の意味なので、これは予想に反しない。ただし、そもそも中期高地ドイツ語では「ホーズ(Beinlinge)」を意味した[16]
  11. ^ 方言的には長ズボン"trouser"も含むという[4]
  12. ^ 「ネクロパンツ」も英語では普通「長ズボン」だが日本語だと短い「下着」の場合が多いので、好ましくないと思われる。
  13. ^ シンプソン訳では魔法について概説する冒頭段落を割愛しており、節の題名変更につながっている。
  14. ^ アイランド語の原文"Þeir, sem vildu afla sèr penínga, sem aldrei væri þrot nè endir á"はあらかたこういう意味だが、マウアーはドイツ語の成句"in Hülle und Fülle(「潤沢」の意)をもちいる[15]。 パウエルとマグヌースソン共訳はいささかくどく長文気味に"When a man wishes to get riches, at once vast and inexhaustible, and always waxing during his lifetime, he must.. [obtain] the so-called Devil's pair of drawers; also called .."と説明する[5]。 シンプソン訳は"money that would never fail them"と端的である[8]
  15. ^ 以下説明するように、これは「屍の股引、別名、ギム[?]の指輪 Gimhringur」の符ともいう見出しで写本にみつかる[20]。ところが異本ではこれとまったく同一のシンボルは単に"Ginnhringur"「魅惑の指輪」の符だとされる[21]
  16. ^ この"Ginnir"の図はヨウン・アウトナソンの話集に記載されるが[30]、著者は用途がわからないとしている。しかしパウエルとマグヌースソンの序では恋する相手を惹きつけるための「誘惑者」("enticer")を意味する名前の魔道具であるとしている[29]

脚注[編集]

  1. ^ a b c Barraclough, Eleanor Rosamund (2016). Beyond the Northlands: Viking Voyages and the Old Norse Sagas. Oxford University Press. p. 56. ISBN 9780191004476. https://books.google.com/books?id=kcFLDQAAQBAJ&pg=PA56 
  2. ^ 以下、当博物館サイトの「展示」ページの動画参照:Exhibition in Hólmavík”. The Museum of Icelandic Sorcery and Witchcraft. 2024年2月28日閲覧。
  3. ^ a b c d e Jón Árnason (1862). “Töfrabrögð”. Íslenzkar Þjóðsögur og Æfintýri. 1. Leipzig: J. C. Hinrichs. pp. 428–. https://books.google.com/books?id=xgxyGmV62ywC&pg=PA428  (baekur.is) (アイスランド語)
  4. ^ a b c OED ( New English Dictionary on Historical Principles 1888) 1 (A–B), s.v. "Breech"
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m Jón Árnason (1866). Icelandic Legends Collected by Jón Árnason. Translated by George E. J. Powell; Eiríkr Magnússon. London: Longman, Green, and Co.. pp. lxxxix–xc. https://books.google.com/books?id=bJ_7jDsJPQUC&pg=PR89 
  6. ^ Cleasby-Vigfusson (1874), Icelandic-English Dictionary. s.v. skolli 2: "the evil one, a word used in swearing.. hence in compds: skolla-braekr f. pl. devil's breeches.
  7. ^ a b Willson, Margaret (2023). Woman, Captain, Rebel: The Extraordinary True Story of a Daring Icelandic Sea Captain. London: Sourcebooks. ISBN 9781728240060. https://books.google.com/books?id=QmluEAAAQBAJ&q=%22demon+pants%22 
  8. ^ a b c d e f g h i j k l Jón Árnason (1972). “Lappish Breeches”. Icelandic Folktales and Legends. Translated by Jacqueline Simpson. University of California Press. pp. 167–168. ISBN 9780520021167. https://books.google.com/books?id=HY-DCKd6UgUC&pg=181 
  9. ^ Tracy (2017), p. 133, Fig. 5-1
  10. ^ a b "Stave for Necropants" (The Museum of Icelandic Sorcery and Witchcraft)[22][リンク切れ]Lund (2015)[23]Barraclough (2016)が当時閲覧し引用文を記載[1]。同博物館サイトには、アイスランド語ならば同様の説明は、魔法スターヴの図解に添えてウェブページが残っている[19]
  11. ^ a b 富田仁 (1987). "ズボン". 舶来事物起原事典. 名著普及会. pp. 186–187. [昔の欧米では]男性はぴっちりした股引状のホーゼをつけていた; ズボンの訳語としては「股引」のほか「陣股引」「袴」などが用いられている
  12. ^ じっさい「ズボン」の訳に充てられる語のひとつが「股引」である[11]
  13. ^ OED ( New English Dictionary on Historical Principles 1897) 3 (D–E), s.v. "Drawers"
  14. ^ 龍村謙日本のきもの』中央公論社、1966年、75頁https://books.google.com/books?id=rS7SAAAAMAAJ&q=股引。"かるさんだと思われるものに軽袗がある。これはポルトガル語の calção に由来しているといわれている。"。 
  15. ^ a b Maurer, Konrad von (1860). “Kap. 3. §.2. Zaubermittel” (ドイツ語). Isländische Volkssagen der Gegenwart: vorwiegend nach mündlicher Überlieferung. Leipzig: J. C. Hinrichs. pp. 91–92. https://books.google.com/books?id=WHRBmSP7JAIC&pg=PA91 
  16. ^ Hoops, Johannes [in 英語]; Beck, Heinrich [in ドイツ語]; Geuenich, Dieter [in 英語]; Steuer, Heiko [in 英語], eds. (2000). "Hose". Reallexikon der germanischen Altertumskunde. Vol. 15. Walter de Gruyter. p. 132. ISBN 9783110166491
  17. ^ McMahon, Sara (2014年12月24日). “The macabre necropants, made from dead man's skin, on display in Hólmavík”. Iceland Magazine. 2017年9月21日閲覧。 “Whenever someone asks me whether they are real or whether a pair ever existed, I’m forced to tell the truth: Necropants have only ever existed in local folk legends.”
  18. ^ a b c Tracy, Larissa (2017). Flaying in the Pre-modern World: Practice and Representation. Boydell & Brewer. pp. 133–135. ISBN 9781843844525. https://books.google.com/books?id=_bM4DwAAQBAJ&pg=PA133 
  19. ^ a b Galdrastafir – Galdrasýning á Ströndum” (アイスランド語). 2023年7月27日閲覧。
  20. ^ a b c Eiríkur Jónsson (1981). Rætur Íslandsklukkunnar [Roots of Iceland's Bells]. Hi Íslenska bókmenntafélag. pp. 63, 70. ISBN 9780191004476. https://books.google.com/books?id=My41hgl8Lj4C&q=%22n%C3%A1br%C3%B3karstafur%22 
  21. ^ a b Foster, Justin (2016年6月29日). “This one appears in several manuscript and seems..”. tumblr. 2024年2月29日閲覧。
  22. ^ Stave for Necropants”. The Museum of Icelandic Sorcery and Witchcraft. 2012年8月15日閲覧。
  23. ^ Lund, Katrín Anna (2015). “38. Just Like Magic: Activating Landscape of Witchcraft and Sorcery in Rural Tourism, Iceland”. In Brunn, Stanley D.. The Changing World Religion Map: Sacred Places, Identities, Practices and Politics. Springer. p. 772. ISBN 9789401793766. https://books.google.com/books?id=CGh-BgAAQBAJ&pg=PA772 
  24. ^ Cf. Tracy (2017), p. 134 and n66.
  25. ^ Necropants and Other Tales of 17th-Century Icelandic Sorcery” (英語). Atlas Obscura (2017年9月18日). 2023年7月27日閲覧。
  26. ^ Halldor Laxness Philip Roughton訳 (2007). Iceland's Bell. Knopf Doubleday Publishing Group. p. 35. ISBN 9780307426314. https://books.google.com/books?id=rebeJbvxomMC&pg=PA35 
  27. ^ 英訳では"Jón Þeófilusson was taken into custody, and found in his possession were the signs of the Blusterer and the Corpse's Breeches"[26]
  28. ^ a b Justin Foster氏は、別の写本で"Ginnhringur"と添え書きが読める上と同一の呪符の画像を掲載する。"Ginnhringur"は(おそらくアイスランド語ginningから)"Ring of Allurement"と訳せるとする。似た名のものに ginnir の符があるが、好きな相手を魅惑させるものだとしている。さらに別の異本では"Ginningahringur"と読め、そちらによれば他人を言いなりに指示できる符であるという[21]
  29. ^ a b Jón Árnason, Powell (tr.) & Magnússon (tr.) (1866), 105
  30. ^ Jón Árnason (1862), 1:446, Fig. Nro. 5 "Ginnir, Þórshamar"
  31. ^ "Some say that they are from the devil himself, and given by him only to those who have sold him their souls".[5]
  32. ^ ウィキソース出典 Móhúsa-Skotta” (アイスランド語), Íslenzkar Þjóðsögur og Æfintýri, 1, (1862), pp. 361–362, ウィキソースより閲覧。 
  33. ^ ウィキソース出典 Katla eða Kötlugjá” (アイスランド語), Íslenzkar Þjóðsögur og Æfintýri, 1, (1862), pp. 184–185, ウィキソースより閲覧。 
  34. ^ Nordvig, Mathias (2019). “Katla the Volcanic Witch: A Medieval Icelandic Recipe for Survival”. In Overing, Gillian R.; Wiethaus, Ulrike. American/Medieval Goes North: Earth and Water in Transit. Göttingen: V&R Unipress. p. 75. ISBN 9783847009528. https://books.google.com/books?id=aLvkEAAAQBAJ&pg=PA75