ナイチンゲール症候群

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ナイチンゲール症候群Florence Nightingale effect)とは、看護提供者が患者に対して、基本的なケア以上の関係がないにもかかわらず、恋愛・性的感情を抱いてしまう状況を指す。その感情は、通常患者が回復したり助けを必要としなくなった段階で徐々に失せていく。

起源[編集]

この効果は、19世紀後半の看護先駆者フローレンス・ナイチンゲールに因んで名付けられた。ナイチンゲールはその看護に対する献身により、彼女が初めて病院で始めた夜の巡回に因んで「ランプの貴婦人」と評された。彼女の貢献により、病院における患者の扱いは大きな変革を遂げ、多くの人に現代の看護の創始者と認識されている。ナイチンゲールが患者に対して恋に落ちたという記録は全くない。実際、複数の求婚者が居たにもかかわらず、看護学の探求の妨げになると恐れ、結婚をすることは無かった。これに、Albert Finneyが1982年のインタビューでナイチンゲール症候群として触れ、以降しばらく福祉医療従事者のキャリアにおける非物質的無形の報酬つまり「やりがい」を表すフレーズとして使用された。

医療[編集]

「ナイチンゲール効果」と「ナイチンゲール症候群」はしばしば同じ意味で使われる。しかしながら、後者は通常ナイチンゲール自身が患ったとされる慢性疲労症候群を指す。晩年のナイチンゲールはこの慢性疲労症候群とよく似た症状を患っていたという。

ナイチンゲール効果は医学的な状態を表すものではなく、ポップカルチャーにおいてそのような状況に対して名付けられたものである。そして、医療業界では、看護提供者が患者と個人的な関係を持つことは職業倫理に反する。

誤用[編集]

この用語はしばしば患者側が看護提供者の優しげな対応を愛着好意と解釈して恋に落ちるという意味で、逆の意味として誤用されることが多い。この場合の正しい用語は、フロイトが提唱した心理学用語transference(転移)である。


ナイチンゲール症候群を扱った映画[編集]

"I guess she felt sorry for him 'cause her dad hit him with the car." 「たぶん、彼女の父親が彼を車で轢いてしまったから、哀れに思ったんだよ」 "He hit me with the car." 「って、俺を引いたんだった。。。。」 "That's the Florence Nightingale effect." 「それはナイチンゲール効果ってやつだ」 "It happens in hospitals when nurses fall in love with their patients." 「病院で、看護師が患者に恋におちるときのことさ」


ナイチンゲール症候群を扱った諺[編集]

  • "Pity is akin to love." - 夏目漱石訳「可哀想だた惚れたつて事よ」(『三四郎』より)

ローレンス・スターン作「紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見」からの引用といわれている。


関連項目[編集]