スポック博士の育児書
『スポック博士の育児書』(The Common Sense Book of Baby and Child Care)とは、アメリカの小児科医ベンジャミン・スポックが、1946年に刊行した育児書である。42か国語に翻訳され世界中で5000万冊販売され[1]、1946年以降では聖書の次に売れたとも言われる[2]。
原題は「赤ちゃんと子供の育児の常識についての本」という意味である。1946年にデュエル・スローン・アンド・ピアース社から出版された。出版から6年で600万冊販売され、何か国語かに翻訳された[1]。世界各国で幅広く翻訳され、日本でも邦訳が暮しの手帖社から1966年にされた。
1946年以来、最初のページに、「あなたが考える以上にあなたは知っています」と書かれている[3]。
「育児の聖書」のように言われ、第二次世界大戦後、アメリカの民主主義の生活スタイルと相俟って広まったものの、その中の示唆の一部にはその後、異議が唱えられたものも少なくない。
育児書は思想や流行の変化、科学的事実の変化を取り入れて、何年かごとに内容が改訂されてきた[4]。
1946年の初版、1957年の第2版、1968年の第3版、1976年の第4版、1985年の第5版、1992年の第6版、1998年の第7版がある。日本では1997年に暮しの手帖社から出版された第6版まで翻訳されている。
第4版では、フェミニストの批判を受けて女性差別にならないように書かれた[1]。第7版では、核戦争やコンピューターゲームについて書かれている[4]。
1992年、彼は88歳であったが生きているかぎり本を改訂すると述べた[1]。 育児書には共著者もいたが、1997年にスポックの代理人が、スポックは第7版に非常に深く関わったと述べた[1]。
第7版では、2歳になればもう乳製品は必要なく、植物性の食べものだけを食べるという内容になった[2]。これは晩年のスポックが、病気になったのでベジタリアンをはじめ、そして健康を回復したことが理由である[2]。
第7版が出版された同じ年にスポックは死亡した。
スポックの没後
妻のメアリ・モーガンはスポックは死ぬ前に本の改訂を可能にしたと述べている[2]。
2004年、第8版が出版された。
内容の一部
- 両親の役割
- 医者のかかり方
- 人工栄養とビタミンと水
- 食事も食事の時間も変えていく
- 毎日の赤ちゃんの世話
- 添い寝は自立を妨げる
- 予防接種
- 乳児について
- 排泄のしつけ
脚注
- ^ a b c d e Benjamin Spock, World's Pediatrician, Dies at 94 (The New York Times, March 17, 1998)
- ^ a b c d Final Advice From Dr. Spock: Eat Only All Your Vegetables (The New York Times, June 20, 1998)
- ^ Changing Parenthood With 8 Words (The New York Times, March 18, 1998)
- ^ a b Word for Word / Dr. Spock; Time to Change the Baby Advice: Evolution of a Child-Care Icon (The New York Times, March 22, 1998)
関連項目
参考図書
- ベンジャミン・スポック、マイケル・ローゼンバーグ 『スポック博士の育児書』暮しの手帖社、1997年10月。ISBN 978-4766000603。原著 Dr.Spock's baby and child care , 6 edition, 1992 ISBN 978-0525934004
- Benjamin Spock, Steven Parker, Dr. Spock's Baby and Child Care, 7 edition, 1998 ISBN 978-0671537623
- Benjamin Spock, Robert Needleman, Dr. Spock's Baby and Child Care, 8 edition, 2004 ISBN 978-0743476683