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スタニン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スタンナベンゼンから転送)
スタニン
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識別情報
CAS登録番号 289-78-1 ×
ChemSpider 20137777 チェック
特性
化学式 C5H6Sn
モル質量 184.81 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

スタニン(Stannine)またはスタナベンゼン(Stannabenzene)は、有機スズ化合物の1つで、ベンゼンの1つの炭素原子をスズ原子で置き換えたものである。スタニンそのものは、計算化学で研究されているが[1]、単離はされていない。

安定誘導体

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スタニンの安定誘導体が単離されている。2-スタナナフタレンは、140℃以下の不活性な雰囲気中で安定である[2]。この化合物中のスズ-炭素結合は、tert-ブチル基と、より大きい2,4,6-トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]フェニル基(Tbt基)の2つの嵩高な置換基により、遮蔽されている。2つのSn-C結合の長さは、202.9pmと208.1pmで、Sn-C単結合(214pm)より短く、既知のSn=C二重結合(201.6pm)に匹敵する。C-C結合の長さは、135.6pmから144.3pmまで若干の違いがあり、この化合物が芳香族性を持つことを示している。

A stable 2-stannanaphthalene derivative

Tbt置換9-スタナフェナントレンは、2005年に報告された[3]。室温で、[4+2]環化付加反応が起きる。

Tbt置換スタニンは、2010年に報告された[4]。室温で、ディールス・アルダー反応が起きる。

Tbt-置換スタニン合成。各段階で用いる試薬は、水素化アルミニウムリチウム (step 2)、N-ブロモスクシンイミド (step 3)及びリチウムジイソプロピルアミド (step 4)

出典

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  1. ^ Ebrahimi, Arash Afshar; Ghiasi, Reza; Foroutan-Nejad, Cina (2010). “Topological characteristics of the ring critical points and the aromaticity of groups IIIA to VIA hetero-benzenes”. Journal of Molecular Structure: THEOCHEM 941 (1-3): 47-52. doi:10.1016/j.theochem.2009.10.038. 
  2. ^ Mizuhata, Yoshiyuki; Sasamori, Takahiro; Takeda, Nobuhiro; Tokitoh, Norihiro (2006). “A Stable Neutral Stannaaromatic Compound: Synthesis, Structure and Complexation of a Kinetically Stabilized 2-Stannanaphthalene”. Journal of the American Chemical Society 128 (4): 1050-1. doi:10.1021/ja057531d. PMID 16433501. 
  3. ^ Generation of 9-Stannaphenanthrene and Its Reactivities Yoshiyuki Mizuhata, Nobuhiro Takeda, Takahiro Sasamori and Norihiro Tokitoh Chemistry Letters Volume 34 Number 8 Year 2005 Page 1088 doi:10.1246/cl.2005.1088
  4. ^ Generation of Stannabenzenes and Their Properties Yoshiyuki Mizuhata, Naoya Noda, and Norihiro Tokitoh Organometallics, 2010, 29 (21), pp 4781-4784 doi: 10.1021/om100382n