スズキ・チョイノリ

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スズキ・チョイノリ
基本情報
排気量クラス 原動機付自転車
車体型式 CZ41A
エンジン Z401型 49 cm3 
内径×行程 / 圧縮比 __ × __ / __
最高出力 1.5kW(2.0馬力) / 5500rpm
最大トルク 2.9Nm(0.30kgm) / 3500 rpm
      詳細情報
製造国
製造期間 2003年-2007年
タイプ
設計統括
デザイン
フレーム アンダーボーン
全長×全幅×全高 1500 mm × 620 mm × 975 mm
ホイールベース 1050 mm
最低地上高
シート高 680 mm
燃料供給装置 キャブレター (VM12)
始動方式
潤滑方式
駆動方式
変速機 Vベルト無段変速機
サスペンション テレスコピック
リジッド
キャスター / トレール
ブレーキ リーディングトレーリング
リーディングトレーリング
タイヤサイズ
最高速度
乗車定員 1人
燃料タンク容量 3.0 L
燃費
カラーバリエーション
本体価格
備考
先代 なし
後継 なし
姉妹車 / OEM
同クラスの車
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スズキ・チョイノリスズキが、2003年2月11日に発売した原付スクーターである。なお2007年8月末以降、日本国内での生産は行われていない。

概要

コンセプトは「ちょい乗り」。通勤通学の交通手段として、目的を近距離の移動だけに絞り軽量簡素化した他、国内生産でどこまで安くできるかが課題になっており、各部品のコンパクト化や、新開発エンジン・新設計フレームの採用、樹脂部品の集約等により従来車との比較で約4割の軽量化を実現した他、部品点数を約3割削減、ボルトナット類の締め付け箇所を約5割削減するなど設計・生産段階での合理化を追求した。その結果、最廉価モデルで59800円(税抜定価)という、同時期の中国製原付スクーターを下回る新車価格を実現した。

エンジンは49cc、2ps/5500rpmで、飛沫潤滑の4サイクルOHVを採用している。簡素化のためリアサスペンションは無く、一般の自転車や戦前の古典オートバイ同様、車軸がフレームに直付けされている(タイヤの撓みとシートクッションのみで走行時の振動・衝撃に対処している)。従ってエンジンはフレーム側に固定搭載となり、一般スクーターのようなエンジンとミッションケースによるスイングアーム構造は持たない。前照灯はロービーム専用、最廉価モデルはキックスタータのみ搭載。チョークは手動、燃料計や警告灯もなく、燃料切れには燃料コックのリザーブポジションで対応した(もっとも現在でも原付二種以上の自動二輪車では燃料計のない車種、手動チョークの車種はよく見られる)。

企画段階での市場調査において、原付ユーザーの平均的な一回の移動距離が2kmに満たないことが判明したことが企画の出発点になっている。既存の50ccスクーターから装備を削ぎ落としていくのではなく、必要最低限のものだけを積み重ねていくことが開発思想であった。

当初はその低価格で注目されたが、次第にユーザーの求める性能との差が明らかになり、販売台数が振るわなくなった。後にカスタム仕様の「チョイノリSS」が追加発売された。このチョイノリSSは、主にフロント周りの外装を変更することで、スポーティな外観に仕上げられているが、性能は通常のチョイノリと変わっていない。

初期型はカムシャフトの材質やキックペダルの構造が適切でなく、これに起因する故障が相次いだが、2004年型以降(チョイノリSSの全車両も含む)では改善されている。改善後の車両は上記の2点の耐久性に実用上の問題はない。

2005年には台湾の現地法人である台鈴工業でも生産と販売が開始され、2006年に台湾限定でキティちゃん仕様が発売された。

フキ・プランニングモペットを除くと、国産車としては最低のスペックである。そのためオートバイ雑誌、電子掲示板等では一種のお楽しみ企画として、チョイノリによる遠距離ツーリングがしばしば話題に挙がった。

その中でも最も有名なものが下記の『2003年チョイノリの旅』であり、2-3km圏内での買い物や通勤目的として開発されたチョイノリで、東京から九州までを走破しようという、一種無謀とも言える旅だった。「開発陣が予期せぬ世界でもっとも過酷なテストラン」「この計画のためだけにスズキはワンオフのカスタム機を製作している」などのジョークが乱れ飛んだが、旅は実行に移された。全国の賛同者達からの整備、カンパ、伴走による護衛、さらにはスズキ本社前で記念撮影を行った際に、スズキより熱烈な歓迎を受けて整備点検やオイル交換などの支援を受け、その企画は成功した。

後に、スズキのチョイノリのページのトップをこの企画の記事が飾ったこともあり、チョイノリ人気の一因ともなった。

2007年7月までの生産台数は10万台を突破したが、簡易なエンジン構造から自動車排出ガス規制の強化には対応できず、同年8月末をもって日本での生産は終了となった。

関連項目

外部リンク