サラゼン

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サラゼン
欧字表記 Sarazen
品種 サラブレッド
性別 せん
毛色 栗毛
生誕 1921年
死没 1940年12月12日
High Time
Rush Box
母の父 Box
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者 Dr. Marius E. Johnston
馬主 Colonel Phil T. Chinn
→Virginia Fair Vanderbilt
調教師 Max Hirsch
競走成績
生涯成績 55戦27勝
獲得賞金 225,000ドル
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サラゼンSarazen1921年 - 1940年)は、アメリカ合衆国サラブレッド競走馬1920年代アメリカ競馬界で活躍し、2年連続でアメリカ年度代表馬となった。1957年アメリカ競馬殿堂入りを果たした。

経歴[編集]

フィル・T・チン大佐の所有していたヒムヤースタッドで生産されたサラブレッドである。フィル所有のもとで競走馬を目指したが、サラゼンは競走馬に向かない気性の荒さをもっていたため、デビューする前から去勢が施されていた。体高(キ甲=首と背の境から足元まで)は15ハンド(約152センチメートル)程度と、牡馬としてはかなり小柄な馬であった。

2歳から競走馬デビューし、デビューから3連勝を飾った。その後フィルはヴァージニア・フェア・ヴァンダービルトと交渉の末、サラゼンを多額の金銭で売り渡した。このとき、調教師もマックス・ヒルシュに替わった。この年はその後も7戦をこなし、その全てで勝利した。勝鞍にはシャンペンステークスなどのステークス競走も含まれていた。

年が明けて3歳、サラゼンの陣営も大競走[1]を目指して調整したが、サラゼン自身の体調不良のため、シーズン前半の大競走に出られずにいた。

しかし本格復帰すると再び強さを見せつけ、カーターハンデキャップマンハッタンハンデキャップといった大競走でも勝ち星を挙げた。ほか、同年に行われていた国際競走インターナショナルスペシャルの第3戦(ラトニア競馬場)に出走し、ベルモントステークス馬マッドプレイや、ケンタッキーオークスプリンセスドリーン、同競走のためにフランスから来たエピナードなどの強豪が出走する中、これらを抑えて優勝した。これらの活躍により、サラゼンはアメリカ年度代表馬に選出され、また後年にはこの年の最優秀3歳牡馬に選出された。

せん馬であるサラゼンはその後も長く競走生活を続け、1925年の4歳シーズンではディキシーハンデキャップ勝ちなど10戦中5勝を挙げる活躍を見せ、昨年に続いて年度代表馬に選出された。翌年1926年もメトロポリタンハンデキャップなどに勝っているが、すでに競走馬としての能力が衰え始めており、評価はアメリカ最優秀古牡馬にとどまった。1927年・1928年には合わせて9戦をこなすも勝ち星はなく、1928年をもって引退した。

引退後はレキシントンのブルックデールファームに繋養され、1940年12月12日に死亡(19歳)するまでそこで余生を送った。後の1957年、アメリカ競馬名誉の殿堂博物館はサラゼンの競走成績を評価し、同馬を殿堂馬の一頭として加えると発表した。

評価[編集]

主な勝鞍[編集]

※当時はグレード制未導入

1923年(2歳) 10戦10勝
シャンペンステークス、オークデールハンデキャップ、ナショナルスタリオンステークス、ローレルスペシャル
1924年(3歳) 12戦8勝
カーターハンデキャップマンハッタンハンデキャップ、サラナクステークス、インターナショナルスペシャルNo.3、アヴァーンハンデキャップ、メリーランドハンデキャップ、ヒューロンハンデキャップ、フリートウィングハンデキャップ
1925年(4歳) 10戦5勝
アヴァーンハンデキャップ(連覇)、ディキシーハンデキャップ、フリートウィングハンデキャップ(連覇)、ガズデン・D・ブライアンメモリアルハンデキャップ
1926年(5歳) 14戦4勝
メトロポリタンハンデキャップ、ディキシーハンデキャップ(連覇)
1927年(6歳) 4戦0勝
1928年(7歳) 5戦0勝

年度代表馬[編集]

  • 1924年 - アメリカ年度代表馬、最優秀3歳牡馬
  • 1925年 - アメリカ年度代表馬、最優秀古牡馬
  • 1926年 - アメリカ最優秀古牡馬

表彰[編集]

血統表[編集]

サラゼン血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ドミノ系(ヒムヤー系

High Time
1916 栗毛 アメリカ
父の父
Ultimus
1906 栗毛 アメリカ
Commando Domino
Emma C.
Running Stream Domino
Dancing Water
父の母
Noonday
1989 栗毛 アメリカ
Domino Himyar
Mannie Gray
Sundown Springfield
Sunshine

Rush Box
1915 鹿毛 アメリカ
Box
1894 栗毛 アメリカ
Order Bend Or
Angelica
Pandora Rayon Dor
Blue Grass Belle
母の母
Sallie Ward
1909 青鹿毛 アメリカ
Singleton St. Simon
Field Azure
Belle Nutter Faraday
Sarah F. F-No.20
母系(F-No.) (FN:20) [§ 2]
5代内の近親交配 Domino 父内3x4x4=25.00%、 Himyar 4x5x5x5=15.63%、 Angelica・St. Simon 母内4x4=12.50%、 Bend Or 母内4x5=9.38% [§ 3]
出典
  1. ^ [2]
  2. ^ [3]
  3. ^ [2]


備考[編集]

  1. ^ 当時はまだアメリカクラシック三冠の体系は形成されていなかったものの、ベルモントステークスを始めとするそれらの競走は3歳牡馬の目標としてすでに位置づけられていた。アメリカクラシック三冠の概念が誕生するのは1930年のことである。
  2. ^ a b Sarazen”. equineline.com. 2019年10月8日閲覧。
  3. ^ Family 20”. www.bloodlines.net. 2019年10月8日閲覧。

外部リンク[編集]