サラセミア

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サラセミア(thalassemia)は、ヘモグロビンを構成するグロビン遺伝子の異状による貧血である。地中海沿岸に多いので地中海貧血、地中海性貧血とも言う。

病態[編集]

グロビン蛋白の異常によって正常な赤血球が作られず貧血になる。異常なヘモグロビンを持つ赤血球は脾臓で次々と破壊される。赤血球が脾臓で破壊されることを血管外溶血と言う。標的赤血球と呼ばれる特徴的な赤血球が見られる。

分類[編集]

ヘモグロビンを構成するポリペプチド鎖にはα鎖とβ鎖があり、どの鎖が生成できないかで分類される。

  • αサラセミア : α鎖が生成できない場合。黒色人種に多く見られる。
  • βサラセミア : β鎖が生成できない場合。地中海東部の国と東南アジアに多く見られる。

原因[編集]

ヘモグロビン蛋白を構成しているα鎖あるいはβ鎖をコードする遺伝子の異状により、蛋白がうまく生成できない疾患。

統計[編集]

症状[編集]

異常ヘモグロビンにより貧血を来たす。血管外溶血により黄疸脾腫を呈する。

合併症[編集]

検査[編集]

  • 血液検査
    • 血清生化学検査
      血清鉄とフェリチンの増加。
      ヘモグロビンA2増加
    • 末梢血塗沫染色標本検査
      小球性低色素性貧血が認められる。赤血球の真ん中の窪みに膨らみが出来て、濃淡濃の縞模様が見られる。この同心円状の縞模様が標的に見える事から標的赤血球(target cell)と言う。

治療[編集]

対症療法として輸血を行い、鉄の臓器過剰沈着に対し鉄キレート剤を投与する。重症例には骨髄移植を行う場合がある。

予後[編集]

重症型は予後不良で30歳までに心不全などにより死亡する。

診療科[編集]

血液内科

歴史[編集]

1925年、クーリー(Cooley)とリー(Lee)によって病態の診断が確定される。当初はクーリー貧血と呼ばれたが、地中海沿岸地域に多発しているため、ギリシア語を表すΘαλασσα(Thalassa)から、サラセミア(Thalassemia)と名づけられた。ただし、地中海特有というわけではなく、世界中、特にマラリア多発地域において散見される。

各国において[編集]

地中海沿岸[編集]

発症頻度が高い。遺伝子異常の種類によって軽症から重症まで様々あり、地域性も異なる。

日本[編集]

スクリーニングを含めた研究プロジェクトで、サラセミアは日本人にも決して少なくないことが明らかとなった。日本人のβサラセミア(日本人の700~1000人に1人の頻度)の8割は8種類の変異のどれかであり、しかも変異によってかなり地域的に偏ることがわかった。

外部リンク[編集]