コピス

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コピス

コピスギリシア語: 単数 κοπίς、Kopis、複数κοπίδος、Kopides[1]は、古代ギリシアの刀。語源はギリシア語で切る、打つを意味するκόπτω(koptō)か[2]、古代エジプトのケペシュに由来すると考えられている[3]

コピスは湾曲した内側に刃を有する刀である[4]。柄頭を有するが、なかごは持たない[4]

軍人にして著述家であったクセノポンはペルシアと蛮人も使用しているとしており、ポリュビオスはギリシアより先にペルシアが使用していたとしている[4]。紀元前7世紀のエトルリアから同様の刀が出土しているため、起源をエトルリアに求める説もある[5]。同じく古代ギリシアの刀であるマカイラ英語版との区別は明瞭ではないが[6]、現代の専門家は両者を分けて考える傾向にある[7]

クセノポンの著書『騎兵隊長について』の中で「サイフォスよりコピスを勧める。馬上の高さでは切りつけるマカイラが、突くサイフォスよりも適しているからである」と述べている[8]

オスマン帝国時代のバルカン半島アナトリア半島で用いられたヤタガンは、コピスの子孫であると考えられている[9]

出典[編集]

  1. ^ Henry George Liddell、Robert Scott. “κοπίς”. An Intermediate Greek-English Lexicon. ペルセウス電子図書館. 2016年11月17日閲覧。
  2. ^ Henry George Liddell、Robert Scott. “κόπτω”. An Intermediate Greek-English Lexicon. ペルセウス電子図書館. 2016年11月17日閲覧。
  3. ^ Gordon, D.H. (1958) "Scimitars, Sabres and Falchions". in Man, Vol 58, p. 24
  4. ^ a b c リチャード・フランシス・バートン (1884). The Book of the Sword. Chatto and Windus. pp. 235-236 
  5. ^ Connolly, P. (1981) Greece and Rome at War. Macdonald Phoebus, London, pp. 63 and 99.
  6. ^ 例:F. Quesada Sanz: "Máchaira, kopís, falcata" in Homenaje a Francisco Torrent, Madrid, 1994, pp. 75–94.
  7. ^ Tarassuk & Blair, s.v. "kopis", The Complete Encyclopedia of Arms and Weapons, 1979
  8. ^ Sidnell, P. (2006) Warhorse: Cavalry in Ancient Warfare. Continuum International Publishing Group, pp. 33–34.
  9. ^ Gordon, D.H. (1958) "Scimitars, Sabres and Falchions". in Man, Vol 58, Royal Anthropological Institute of Great Britain and Ireland, pp. 25–26.