ゲートウェイドラッグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

ゲートウェイドラッグ英語: Gateway drug)とは、オピオイドやコカイン、ヒロインなど他の更に強い副作用や依存性のある薬物の使用の入り口となる薬物である。この考え方のもとで、酒、煙草、有機溶剤脱法ドラッグ大麻などの乱用薬物を指す際に用いられる[1][2][3][4][5]
しかしこの造語には根拠がなく多くの議論で否定されている。ニューヨーク・タイムズ誌では、大麻使用経験のある1億1100万人のうち、その後にハードドラッグへ発展したのはわずか4%であるとの調査結果を発表し、根拠のないゲートウェイドラッグ理論を否定した[6]

理論[編集]

ゲートウェイドラッグの使用は、より副作用や依存性の強いドラッグ(ハードドラッグ)の使用の契機になると言われる。未成年者の視点から見たゲートウェイドラッグとして、酒やタバコなども指摘されている。この場合、酒やタバコの使用がハードドラッグ濫用の入り口(ゲートウェイ)となる場合があるとされる。日本では2013年の危険ドラッグ規制から、大麻を代用して検挙されるケースが増加している[1][3][4][5][7]

これらの理論において、ゲートウェイドラッグの使用がドラッグ乱用につながり兼ねない理由として以下の事柄が挙げられている。

  • ゲートウェイドラッグの使用により、使用者がドラッグ全般への抵抗感をなくす。
  • ゲートウェイドラッグの使用により、使用者がより強い快楽を求める傾向がある。
  • ゲートウェイドラッグが法的な規制物質であった場合、ゲートウェイドラッグの使用により使用者はドラッグ売買のコミュニティーとの繋がりを持つ。

反論[編集]

全米科学アカデミー(National Academy of Sciences)の医学研究所(Institute of Medicine)が1999年に発表した報告書では「マリファナが、その特有の生理的作用により(他の薬物への)飛び石となっていることを示すデータは存在しない」と結論づけている[8]

精神障害の診断と統計マニュアル』第4版改定版(DSM-IV-TR)においては、大麻が実際に他の物質にすすませるかは判明しておらず、社会的、心理的、神経化学的な基礎の詳細は不明であるとしている[9]

大麻の使用は、オピオイド(モルヒネやヘロインなど)の乱用や依存のリスクを55%低下させているとの統計もある[10]

エナジードリンクの消費量がアルコール依存症の危険性の増加につながることは立証されてきており、こうした他の薬物における論文などで、エナジードリンクがアルコールのゲートウェイドラッグとなるというように用いられることもある[11][12]

2012年の米国の12年生の研究では、最初に使用される薬物はアルコールであり、そこからタバコや大麻といった薬物の使用につながっていたため、嘘を教えるのではなく子供のアルコール使用の対策を行うことが効果的だとした[13]

脚注[編集]

  1. ^ a b 大麻摘発最多 若年層への広がりが心配だ : 社説” (日本語). 読売新聞オンライン (2019年5月15日). 2019年5月23日閲覧。
  2. ^ 死者年7万人、米国で広がる世界最悪の薬物蔓延の現場を歩いた:朝日新聞GLOBE+” (日本語). 朝日新聞GLOBE+. 2019年5月23日閲覧。
  3. ^ a b 「若者と薬物」の現場から~先輩に大麻を渡された18歳・暴力団員に覚せい剤漬けにされた16歳~” (日本語). ニコニコニュース. 2019年5月23日閲覧。
  4. ^ a b 大麻摘発、増加傾向に 未成年者の使用も 千葉県警、高校生らと防止へ啓発” (日本語). www.chibanippo.co.jp. 2019年5月23日閲覧。
  5. ^ a b 高樹沙耶と「大麻」で議論 その時、元麻取官が抱いた疑念”. J-CASTテレビウォッチ (2016年10月26日). 2019年5月23日閲覧。
  6. ^ ニューヨーク・タイムズ誌 2014年7月30日号
  7. ^ 大麻所持や栽培、摘発者が増加 危険ドラッグ規制強化で代用?” (日本語). 東京新聞 TOKYO Web. 2019年5月23日閲覧。
  8. ^ Janet E. Joy, Stanley J. Watson, Jr., and John A. Benson, Jr., Editors; Institute of Medicine (1999). Marijuana and Medicine:Assessing the Science Base. The National Academies Press. ISBN 978-0-309-07155-0. 
  9. ^ アメリカ精神医学会『DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル(新訂版)』医学書院、2004年、237、795。ISBN 978-0890420256
  10. ^ Pisano, Vincent D; Putnam, Nathaniel P; Kramer, Hannah M; et al. (2017). “The association of psychedelic use and opioid use disorders among illicit users in the United States”. Journal of Psychopharmacology: 026988111769145. doi:10.1177/0269881117691453. PMID 28196428. 
  11. ^ Reissig, Chad J.; Strain, Eric C.; Griffiths, Roland R. (January 2009). “Caffeinated energy drinks—A growing problem”. Drug and Alcohol Dependence 99 (1-3): 1–10. doi:10.1016/j.drugalcdep.2008.08.001. PMC: 2735818. PMID 18809264. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2735818/. 
  12. ^ Reissig, Chad J.; Strain, Eric C.; Griffiths, Roland R. (January 2009). “Caffeinated energy drinks—A growing problem”. Drug and Alcohol Dependence 99 (1-3): 1–10. doi:10.1016/j.drugalcdep.2008.08.001. PMC: 2735818. PMID 18809264. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2735818/. 
  13. ^ Tristan Kirby, Adam E. Barry (2012-8). “Alcohol as a gateway drug: a study of US 12th graders”. The Journal of school health 82 (8): 371–379. doi:10.1111/j.1746-1561.2012.00712.x. PMID 22712674. 

参考文献[編集]

関連項目[編集]