ケムラー

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ケムラーは、特撮テレビ番組『ウルトラマン』をはじめとする「ウルトラシリーズ」に登場する、架空の怪獣。別名は毒ガス怪獣。英字表記はKEMULAR[1][2][3][4]

『ウルトラマン』に登場するケムラー[編集]

ウルトラマン』第21話「噴煙突破せよ」に登場。

数千年前から死火山と思われていた大武山が火山活動を再開したことにより、突如出現する怪獣。爬虫類的な外観を持ち[注釈 1]、同様の外耳がない耳を持つ。背面の甲羅は威嚇時に展開し、内側の極彩色の部分を盾のように見せる。最大の武器は口から発光とともに吐き出す猛毒[注釈 2]。その成分は火山ガスと同じ高濃度の亜硫酸ガスである。また、サソリのような形状の尻尾から二条の破壊光線を発射する。見た目以上に強敵で、スペシウム光線が効かないほどの強靭な皮膚を持つ。

当初は山頂付近の鳥を死滅させ、やがて観光客を襲うようになり、麓の街に出現して毒ガスをまき散らしたため、防衛軍が出動するも撤退に追い込まれる。

弱点は展開する甲羅に隠れた心臓で、最後はここをイデ隊員が開発したマッド・バズーカで攻撃され、火口へ落下して爆死する。

第35話では怪獣墓場を漂っている姿が描かれている。

  • スーツアクター:鈴木邦夫[8][13]
  • 名前の由来はから[14]
  • 成田亨のデザイン画では、下顎が左右2つに分かれて開くように描かれており[15][16]、デザイン画どおりに造型された。着ぐるみの下顎にある割れ目はその名残[17][13]。成田は背中の甲羅についてガボラと同様の発想であるとしている[16]
  • 高山良策の日記には、当初はガマクジラの着ぐるみを改造する予定だったが、改造怪獣は手間がかかるので新造することにしたと記してある[13]。ケムラーの体の型自体は、ガマクジラと同じものを使用している[13]
  • 脚本の時点では背中の甲羅が開く描写はなく、尾をクジャクの羽のように広げると書かれていた[13]
  • デザイン画の時点では甲羅は顔の部分まで覆っていたが、高山によってアレンジされた[13]。ケムラーの弱点は、台本では口内の発光器官だったが、造形の時点で背中に変更された[13]。ガスを吐くときに口内が光るのはその名残である[13]。この変更のため、口内が光るのを見たホシノがそこが弱点だと気づく流れがカットされ、本編では特に理由のないまま背中が弱点だと気づくという、不自然な展開になっている[13]
  • 一峰大二による漫画版では大武山からトンネルを掘ってふもとの町に出現し、好物の毒ガスを摂取するために工場地帯を襲う。科学特捜隊にマッド・バズーカをのど元に打ち込まれるが不発に終わり、現れたウルトラマンをも毒ガスと噛み付きで苦しめる。この毒ガスはスペシウム光線を拡散させてしまうという効果があることも、漫画版では追加されている。最後は奇策で毒ガスを打ち払ったウルトラマンの放ったスペシウム光線で不発弾を起爆させられ、木端微塵に吹き飛んでいる。
  • 『ウルトラマン ベストブック』(竹書房・1993年)では、岩本博士の言葉として最終話に登場するゼットンの甲羅はケムラーのものを参考にしているとの推測を記述している[18]
  • ウルトラファイト』では、ウルトラマンに無理な体勢に持ち上げられて急所の瘤(こぶ)を破壊され、倒される。

『ウルトラマンパワード』に登場するケムラー[編集]

ウルトラマンパワード』第2話「その名はウルトラマン」(米国版サブタイトル:CATCH A KEMURA BY THTAIL)に登場。玩具などではパワードケムラーの名称が用いられている。

  • 体長:85メートル[6][4][19]
  • 体高:35メートル[6]
  • 体重:3万トン[6][4][19]
  • 地底移動速度:時速50キロメートル[20]
  • 出身地:アメリカの森林地帯[6](森林公園[4][19]

山中に出現した毒ガス怪獣。肉食で四足歩行型である。データベースを検索したベック隊員によると「27年前にアジアで大暴れした」とされる[注釈 3]。尾の先から高濃度の亜硫酸ガスとなる神経ガス・ブラッドガス[20][注釈 4]を噴射し、長い舌で獲物を捕獲する。外観は初代よりも爬虫類に近く(カイ曰く「おばけイグアナ」)、感情が高ぶると敵への威嚇で展開する甲羅に隠されている[注釈 5]が弱点。パワードと戦い、背中の殻を無理やり開かれたところをストライクビートルに攻撃され、倒される。

  • デザインは前田真宏[22]。昆虫と爬虫類の合成をコンセプトとしており、甲羅の内側の模様はアゲハチョウの羽根を[23]、尾の先端はアゲハチョウの幼虫の臭角をイメージしており[22]、第2の脳を意識して描かれた[23]
  • 企画段階では「ケムラ・ウルス(通称:ケムラーII)」という名称候補があった[24]

その他の作品に登場するケムラー[編集]

過去の映像を流用しての登場[編集]

甦れ!ウルトラマン
初代が登場。
新世紀ウルトラマン伝説
パワードケムラーが登場。
大決戦!超ウルトラ8兄弟
ハヤタの回想シーンに初代が登場。

その他[編集]

前作『ウルトラQ』の未使用シナリオには「ケムラーの逆襲」というタイトルがあり、登場怪獣の名前こそ同じだが、こちらは毛虫の怪獣となっている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『ウルトラマン大辞典』では「サンショウウオ型」と記述している[6]
  2. ^ 『全怪獣怪人大事典(中巻)』では煙[11]、『ウルトラマンゼロ&ウルトラヒーロー 超決戦DVD』では、ダークセントと紹介している[12]
  3. ^ 画面には1976年の中国と表示されているが[6]、『新・ウルトラマン大全集』では『ウルトラマン』の出現個体と同族と記述している[20]
  4. ^ 日本版の脚本では、霧状の液体と記述している[21]
  5. ^ 日本版の脚本では、電波障害を起こす発光器官と記述している[21]

出典[編集]

  1. ^ a b c d 白書 1982, p. 50, 「ウルトラマン 怪獣リスト」
  2. ^ a b c d ベストブック 1993, p. 104
  3. ^ a b c d 画報 上巻 2002, p. 42
  4. ^ a b c d 画報 下巻 2003, p. 67
  5. ^ a b c ウルトラ怪獣大全集 1984, p. 16
  6. ^ a b c d e f g h i 大辞典 2001, pp. 123-124
  7. ^ a b 怪獣列伝 2008, pp. 82-83, 「死を撒き散らす四足獣 毒ガス怪獣ケムラー」
  8. ^ a b c 全調査報告 2012, pp. 78-79, 「CASE FILE21 噴煙突破せよ」
  9. ^ a b c 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, p. 16
  10. ^ a b c 研究読本 2014, p. 225, 「ウルトラマン 怪獣・宇宙人大図鑑」
  11. ^ 全怪獣怪人・中 2003, p. 304.
  12. ^ ウルトラマンゼロ&ウルトラヒーロー 超決戦DVD (DVD). 日本: 講談社.. (2010年10月) 
  13. ^ a b c d e f g h i 研究読本 2014, pp. 166-167, 「エピソードガイド第21話」
  14. ^ ケイブンシャ『ウルトラマン特撮の秘密百科』114頁
  15. ^ 『成田亨画集 ウルトラ怪獣デザイン編』(朝日ソノラマ・1983年)p.48
  16. ^ a b 成田亨 2014, p. 93
  17. ^ 『ファンタスティックコレクションNo.35 ウルトラマングラフィティ』(朝日ソノラマ・1983年)[要ページ番号]
  18. ^ ベストブック 1993, p. 132.
  19. ^ a b c 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, p. 217
  20. ^ a b c 新大全集 1994, pp. 20-21.
  21. ^ a b 新大全集 1994, p. 59.
  22. ^ a b 「ウルトラマンパワード20周年記念特集 パワード怪獣完全図鑑」『語れ!ウルトラ怪獣【永久保存版】』 KKベストセラーズ〈ベストムックシリーズ44〉、2014年4月23日、91-101頁。ISBN 978-4-584-20544-0
  23. ^ a b 新大全集 1994, p. 114.
  24. ^ 新大全集 1994, p. 53.
  25. ^ ウルトラ銀河伝説超全集 2009, p. 78, 「百体怪獣ベリュドラ完全攻略」.

参考文献[編集]