キヤノン EOS Kiss

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キヤノン EOS Kiss(キヤノン イオス キス)は1993年9月に発売されたエントリークラスのキヤノンフィルム一眼レフカメラである。EOS 1000 QD/EOS 1000S QDの後継として開発された。当時の上位機種にEOS 5 QDがあった。

「Kiss」は賢く、静かなという意味を含んだ「Keep It Smart and Silent」の略である[1]

なお、ここでは後継機種のNEW EOS KissEOS Kiss IIIEOS Kiss III LEOS Kiss 5EOS Kiss LiteEOS Kiss 7についても取り上げる。

EOS Kiss(初代)[編集]

EOS 500(欧州仕様)

1993年9月発売。

もちろん「初代」を名乗って発売されたわけではなく、後継機種と区別するために便宜的に「初代」と俗に呼ばれている。2代目の「NEW EOS Kiss」の本体に「NEW」の表記がないため、「NEW」と「初代」のブラックモデルはとても混同されやすいので注意。

それまで、EOSシリーズの廉価機は市場で不評を生みやすかった。αシリーズのα-5000iに対抗して発売したEOS 750/850、α-3700iに対抗して発売したEOS 1000など、ほぼほぼミノルタと同じ手法を使った構成で発売され、販売面では成功を収めたが、ユーザーからの評価は良いものではなかった。
これは、キヤノンが市場での自身の評価を見誤っていたことによる。一眼レフカメラメーカーとしてのキヤノンに対する市場の意識は、「ニコンに比するプロ・ハイアマチュア向けブランド」だったのが、もともとプロユースにはある程度見切りをつけていたミノルタ製品に対抗したため、自社のブランドに見合わない製品を発売する結果になってしまったのである。

一方、「プロユースにも耐えられるミドルレンジ機」として、EOS 10が絶賛を受けた。10よりもやや上位を意識したEOS 5の発売と入れ代わりに製造終了したが、それを惜しむ声は大きく、また10に代わるセカンド機の市場投入を望む声も大きかった。

この為販売面ではEOS 1000の後継とされているKissだが、その能力面では、EOS 10の後継が務まる基本性能をもたせた上で、EOS 1000並の価格で発売する形になった。つまり、Kissは、実態としては10の後継であった。シャッタースピードは当初から1/2000とされた。プログラムAEも基本的にマニュアル・絞り優先・シャッタースピード優先と、従来の廉価機では排除していたミドルレンジ機の機能を、原則スポイルすることなく搭載した。もともと上位機種との差別化のために機能しないようにしていた部分だったため、コスト自体はかからなかった。初心者による感光事故の被害を軽減するためプリワインド方式となったことから、EOS 10のモータードライブモードは排されたが、それ以外は、10の代替機としてユーザーが概ね満足できる(入門機としてはやや過剰な)構成とした。3点AFに関しては自動選択のみとなったが、この点はNew EOS Kissの課題として残った。

一方、EOS 10ではEOS 650以来の金属製パーツを多用した重厚感のある作りとなっていたが、KissではFRP部品の比率を高めて価格の抑制と軽量化が図られた。また、ボディ全体をコンパクトに纏め、グリップはEOS 650以来の標準的なサイズから若干小さくし、女性でも握りやすく、それでいて男性が取り回しにくくならないというサイズが求められ、最終的に商品のサイズとなった。

また、地味なところでは、EOSシリーズでは伝統的に2CR5リチウム一次電池を電源として採用していたが、この電池はコンビニエンスストアや観光地の売店などでは販売していないことが多く、アマチュアユーザーが電池切れを起こす事が多かったので、コンパクトカメラにも採用されていて入手が用意で、かつ電圧・容量ともに2CR5相当となるCR123・2本直列となった。

この結果、Kissは概ね市場に好意的に受け入れられた。EOSシリーズの一端であることが最大限の強みであり、入門機として爆発的にヒットしただけではなく、ハイエンドユーザーのセカンド機としても需要があった。また、基本的に全てのEFレンズを使うことができることから「入門機として買い、レンズを増やし、上級機に買い換えてもレンズはそのまま使える」という、アマチュアユース中心のミノルタにはない強みを持った。これにより、Kissは爆発的ヒット商品となり、銀塩フイルム主流時代最後となる1990年代後半の一眼レフブームの牽引役となった。

北米名「EOS REBEL XS」、欧州名「EOS 500」。

主な仕様[編集]

  • 形式:35mmフォーカルプレーンシャッター式マルチモードAF一眼レフカメラ
  • マウントキヤノンEFマウント
  • ファインダー
    • 形式:ダハミラー固定アイレベル式
    • 視野率:90%
    • 倍率:0.7倍
  • シャッター
    • 形式:縦走り電子制御フォーカルプレーン式
    • シャッター速度:1/2000~30秒(1/2段ステップ)、バルブ、X=1/90秒、電子制御セルフタイマー内蔵(電子音作動報知)
  • フォーカス:オート、マルチBASIS(3点自動選択/中央部分=AEロックボタン押しの場合は中央の測距点が優先的に選択) : TTL位相差検出方式(ズレ検出)
  • 感度:ISO6~6400
  • 測光方式:複合型SPC素子使用、TTL開放測光
  • 露出制御方式:インテリジェントプログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、深度優先AE、撮影モード連動自動セット(4種のプログラムAE)、定点連動マニュアル
  • 露出補正:1/2ステップ、±2段
  • フラッシュ
    • 対応フラッシュ:内蔵式、ホットシュー対応外部フラッシュ(EOS・TTL測光システム対応接点あり)
  • 電源:リチウム電池 CR123A×2
  • 大きさ・重量(幅×高さ×奥行き):145×92×62mm、370g

NEW EOS Kiss(2代目)[編集]

1996年9月発売。

「NEW」という表記は本体に無い。「初代」にシルバーモデルはなかったのでシルバーであれば「NEW」だとわかりやすいが、ブラックモデルの場合は判別しにくい。上面からの外観の違いによって見分ける。

北米名「EOS REBEL G」、欧州名「EOS 500 N」。

NEW EOS kiss(JAPAN)

主な仕様(初代との変更点のみ)[編集]

  • パノラマ切り替え:パノラマ選択時、接眼枠左下部に橙色LED点灯(切り替えは、フィルム裏背ふた下部のスライドスイッチを操作する)
  • フィルム装填:自動(フィルムセット後背ぶたを閉じると、全部巻き取るプリワインド方式)
  • 手ブレ警告:全自動時および夜景モードを除くイメージゾーン時に作動、特定のシャッター速度時で点滅警告(振動センサーがあるわけではない)
  • セルフタイマー:電子制御式(時限約10秒)
  • フォーカス:レンズ側でオート・マニュアル切り替え、マルチBASIS(3点自動選択/手動選択AF:3点のAFフレームから任意の一つを選択)
  • 感度:ISO6~6400(1/3段毎マニュアル設定可能)、DXコード自動対応(ISO25〜5000)
  • 露出制御方式:インテリジェントプログラムAE(シフト可能)、シャッター優先AE、絞り優先AE、深度優先AE、撮影モード連動自動セット(5種のプログラムAE)、定点連動マニュアル
  • 大きさ・重量(幅×高さ×奥行き):146×92×62mm、400g(電池込み)、370g(ボディのみ)

その他変更点[編集]

  • シルバーのボディーカラーが追加された。
  • 3点測距が自動選択のみから任意選択可能に。

EOS Kiss III/III L(3代目)[編集]

EOS REBEL 2000 QD(北米仕様)

1999年4月発売。EOS Kiss III Lは2001年11月発売のマイナーチェンジモデル。北米名「EOS REBEL 2000 QD」、欧州名「EOS 300 QD」。

主な仕様(2代目との変更点のみ)[編集]

その他変更点[編集]

EOS Kiss 5(4代目)[編集]

EOS 300V(欧州仕様)

2002年9月発売。北米名「EOS REBEL Ti」、欧州名「EOS 300V」。

主な仕様(3代目との変更点のみ)[編集]

その他変更点[編集]

EOS Kiss 7(5代目)[編集]

2004年9月発売。ユーザーの好みに合わせた仕様に変更できる6種類のカスタム機能がキヤノンのエントリーモデルとして初めて搭載された。前年の2003年に発売された同社のEOS Kiss デジタルのヒットなどによりフィルムカメラ市場が急速に縮小していったため、本モデルがフィルムKissの最終モデルとなった。北米名「EOS REBEL T2」、欧州名「EOS 300X」。

主な仕様(4代目との変更点のみ)[編集]

その他変更点[編集]

EOS Kiss Lite(4代目ベースの廉価版)[編集]

2003年9月発売。EOS Kiss 5をベースに一部スベックを落とし、より低価格にしたモデル。北米名「EOS REBEL K2」、欧州名「EOS 3000V」。

主な仕様(ベース機EOS Kiss 5との変更点のみ)[編集]

脚注・参考文献[編集]

  1. ^ キヤノン株式会社. “歴史館 - キヤノンカメラ史1992-1996”. 2011年2月26日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]