オオバベニガシワ

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オオバベニガシワ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: キントラノオ目 Malpighiales
: トウダイグサ科 Euphorbiaceae
亜科 : エノキグサ亜科 Acalyphoideae
: エノキグサ連 Acalypheae
: アミガサギリ属 Alchornea
: オオバベニガシワ A. davidii
学名
Alchornea davidii Franch.
和名
オオバベニガシワ

オオバベニガシワ Alchornea davidii Franch. はトウダイグサ科樹木。若葉が赤くなることから観賞用に植栽される。

特徴[編集]

落葉性低木[1]。樹高は1-3mになり、枝は疎らでやや太い。また地中から多数の新たな幹を出す[2]は互生する。葉柄は長く、時に20cmにもなる[2]。若葉は暗紅色で特に春には芽生えが美しくなる。成長した葉は大きな円形となり、先端は短く尖っており、基部は僅かに凹んでいるか、または多少幅の広い心形になっており、葉の縁には浅い鋸歯がある。葉質は薄く、表の面は緑色で裏の面は白緑色となっており、葉脈は細かい脈の先まで突き出しており、その脈上には細かい毛がある。葉柄が葉身に接するところには細かい毛が生えた2個の針状の突起があり、また葉脈の基部には針状の托葉がある。

雌雄同株が基本ではあるが、時に雌雄異株になる。雄花序は前年の枝の葉の葉腋から出て、花序は短くて花は白、通常は8本の雄しべが車状に並ぶ。花は新しい葉の展開する前に咲く。雌花には角状の柱頭があり、これが赤くて目を引く。

和名は大葉紅槲の意で、大きな葉が赤くなることからの命名である。

分布[編集]

中国南部が原産地である[3]

分類と近似種[編集]

本種の属するアミガサギリ属には世界に約60種がある[3]。日本にはアミガサギリ Alchornea liukiuensis奄美大島以南の琉球列島に分布し、海岸沿いの石灰岩質の地域に点在的に成育しているのみで、この種は特に栽培などされていないようである。

ちなみに本属の植物としては本種の方が有名であるからか、本属の和名としてオオバベニガシワ属が使われたことも多い[4]

利用[編集]

若葉が赤くなるのが美しく、庭園で栽培される[3]。庭や花壇に植栽される他、切り花としても用いられる[5]

耐寒性はある程度あり、関東地方以南の暖地での栽培される[6]。土質は特に選ばない。半日陰でもよく育つが、その場合には若葉の色が綺麗にならない。繁殖は地中より出る茎を分けることと挿し木で行う。

出典[編集]

  1. ^ 以下、主として牧野原著(2017) p.734
  2. ^ a b 北村、村田(1989) p.334
  3. ^ a b c 牧野原著(2017) p.734
  4. ^ 例えば北村、村田(1989)
  5. ^ 小学館(1994) p.389
  6. ^ 以下、小学館(1994) p.389

参考文献[編集]

  • 牧野富太郎原著、『新分類 牧野日本植物図鑑』、(2017)、北隆館
  • 北村四郎、村田源、『原色日本植物図鑑・木本編 I』改訂23刷、(1989)、保育社
  • 『園芸植物大事典 1』、(1994)、小学館