イーゼルの上の自画像

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『イーゼルの上の自画像』
ロシア語: Автопортрет на мольберте
英語: Self-Portrait on an Easel
作者アンニーバレ・カラッチ
製作年1603-1604年ごろ
種類キャンバス上に油彩
所蔵エルミタージュ美術館サンクトペテルブルク

イーゼルの上の自画像』(イーゼルのうえのじがぞう、: Автопортрет на мольберте: Self-Portrait on an Easel)は、イタリアバロック絵画の巨匠アンニーバレ・カラッチが1603-1604年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。現在、サンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館内の新エルミタージュ宮殿231号室に展示されている (目録番号 GE-148)[1][2][3]。本作に描かれている自画像は、現在フィレンツェウフィツィ美術館に所蔵されている『自画像』で繰り返されており[4]、本作と同様の『イーゼルの上の自画像』 (1595年) も同じくウフィツィ美術館に所蔵されている[5]

作品[編集]

ウフィツィ美術館の『自画像』

本作はイーゼルの上に載った画家の自画像であり、画中画の形式を取る、きわめてユニークなものである[3]。画家は30歳代と考えられるが、もう少し若く見ることも可能であろう。パレットがイーゼルから下がり、イーゼルの脚の背後に犬が、画面上部左側の窓の前に女性のシルエットが描かれている。犬の描写には、カリカチュアの名手としての画家の技量が反映している[3]

裸眼でも最初の下絵が見えるが、最初の意図では自画像が画面全体を占めるものであったことがわかる。1603-1605年の絵画のための素描 (ロイヤル・コレクションウィンザー城) [6] は、自画像だけのものと本作に見られる最終的なものを示している。しかし、最終的な素描で予定されていた背景には絵画において数か所の変更がなされている。

エルミタージュ美術館の1958年の目録は作品を1590年代のものとしていた。しかし、デニス・マホン英語版は1595年ごろの制作であると主張し、他の研究者たちは1604年ごろの制作であるとしていた。2006年に、作品がイタリアに貸し出された際、エルミタージュ美術館とウフィツィ美術館の専門家たちは共同研究を行い、本作をウフィツィ美術館の『自画像』と比較した結果、1603-1604年 (ウィンザー城の素描と同じ) の制作であると結論を出すにいたった[7]

本作の初期の歴史は不明である。1740年にはクロザ・コレクション (Crozat Collection) の目録にあり、ティントレットに誤って帰属されていたが、その誤りは1755年に別の目録が出るまでには訂正された[8]。作品は1772年にエカチェリーナ2世 (ロシア皇帝) に購入され、現在の所蔵先であるエルミタージュ美術館に配置された[2]

脚注[編集]

  1. ^ B40_F2_H231 - Italian cabinet”. エルミタージュ美術館公式サイト (ロシア語). 2024年2月26日閲覧。
  2. ^ a b Catalogue entry”. エルミタージュ美術館公式サイト (英語). 2024年2月26日閲覧。
  3. ^ a b c 『NHK エルミタージュ美術館 2 ルネサンス・バロック・ロココ』、1989年、111頁。
  4. ^ 『名画への旅 第11巻 バロックの闇と光 17世紀I』、1993年、50頁。
  5. ^ Ricerca - Schede di catalogo”. catalogo.uffizi.it. 2020年7月12日閲覧。
  6. ^ Annibale Carracci (Bologna 1560-Rome 1609) - A self-portrait on an easel” (英語). www.rct.uk. 2020年7月12日閲覧。
  7. ^ (ロシア語) Кустодиева Т. К. Итальянская живопись XIII—XIV веков. Государственный Эрмитаж. Каталог коллекции. — СПб.: Изд-во Государственного Эрмитажа, 2011. — С. 132—133.
  8. ^ (ロシア語) Кустодиева Т. К. Итальянская живопись XIII—XIV веков. Государственный Эрмитаж. Каталог коллекции. — СПб.: Изд-во Государственного Эрмитажа, 2011. — С. 132.

参考文献[編集]

  • 五木寛之編著『NHK エルミタージュ美術館 2 ルネサンス・バロック・ロココ』、日本放送出版協会、1989年刊行 ISBN 4-14-008624-6
  • 高橋達史・森田義之責任編集『名画への旅 第11巻 バロックの闇と光 17世紀I』、講談社、1993年刊行 ISBN 4-06-189781-0

外部リンク[編集]