さすらいの口ぶえ

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さすらいの口ぶえ』(さすらいのくちぶえ)は、高階良子による日本漫画作品。

概要[編集]

『なかよし』(講談社)にて1973年(昭和48年)3月号から同年7月号まで連載された。単行本は「講談社コミックスなかよし」から1976年(昭和51年)4月に刊行され、また2013年6月に「高階良子選集16[シャンバラ(下)]」(秋田書店ボニータコミックスα)に「さすらいの口笛」と改題されて収録された。

あらすじ[編集]

甘やかされて育った小菅みちるは、友人も夫も決めた両親を困らせようと夜遊びをし、父親の会社「EE電気」の株の値段を数十倍に上げようと企む父・小菅が開発させた「T・A」を狙う一味により誘拐されてしまう。そうと知りながら敢えて誘拐を見逃し、あまつさえ彼らの企みに加担する「風」と呼ばれる青年。みちるは偽の書類を持って来た父親に幾度目かの失望をし、「風」を恋するあまり家出をして彼がいると思われる神戸に向かう。彼の本名は左門直樹、母親を苦しめたばかりか大切にしていた小料理屋を取り上げようとした代議士の父親を殺して特別少年院に服役して3年後に財界の大物と謳われる桑野老人に引き取られ、みちると「EE電気」の事件、そして神戸の「S産業KK貿易(株)」の社長一家の処理を桑野の代理として直樹はその処理を任された。

もしかしたら地獄に囚われ北風に取り巻かれた自身の心が救われるかもしれないと浅野社長の愛人の娘・綾を救おうと彼女に頼まれたこともあり、浅野一家を食い物にしようとした中沢組を倒すが、病院に戻った直樹を待っていたのは綾の死という悲しい報せだった。最後まで自身に縋ってくれなかった綾に嘆く直樹は自身を追って家出したみちるを婚約者の元に返そうとするが、桑野老人の財産を得るためにみちるを手に入れようとする義昭に激怒し、2人で部屋に戻るのだった。直樹を跡継ぎにと見初め、孫娘の選択を喜び、直樹がさすらいの旅を終えて自身の元にみちると共に戻る日を桑野は心から待っていると心の中で直樹に語りかける。

登場人物[編集]

左門直樹(さもん なおき)
3年前に小料理屋の女将である母親を散々利用して裏切り泣かせて苦しめた挙げ句、母親の店を奪おうとしたダニでしかない代議士の父・丸子信重(まるこ のぶしげ)をめった刺しにして殺害するが、母親が丸子の後を追って自殺したため、絶望のどん底に突き落とされてしまう。逮捕されて特別少年院に服役していたが、みちるの前に現れる3ヶ月前に桑野老人に引き取られ、みちるの誘拐とEE電気が社運を賭けて開発した新商品「T・A」の成否によりEE電気が倒産するか躍進するかが左右されるため、億という値段がつく書類の防衛。浅野家の処理を任された。
小菅みちる(こすげ - )
桑野老人の娘と小菅の娘。友人は和泉家と円城寺家の令嬢、将来の夫は父方の従兄・森義昭だと勝手に決めた両親に対する反発だけで危険な夜遊びをし、まんまと誘拐されたバカ娘。
桑野富一郎(くわの とみいちろう)
財界一の大物。機密書類を狙った一味に誘拐されたみちるの救出、横領をネタに脅迫された浅野家の問題を解決するよう直樹に依頼する。お気に入りの孫娘みちると跡継ぎと見初めた直樹が結ばれることを願っており、直樹が自身の元に戻る日を待ち続けるのだった。
ハチ公
直樹の弟分。
みちるの両親
桑野老人の娘と「EE電気」の社長である夫・小菅。彼の甥である義昭とみちるを結婚させようとしている。
森義昭(もり よしあき)
みちるの父方の従兄。みちるの父親の妹の嫁ぎ先が森家であり、みちるの父親同様に腐った性根の両親、その彼らに育てられただけあって家柄がどうの、桑野老人の財産がどうのとそればかりで最終的に直樹の怒りを買う。
中沢
中沢組組長。浅野社長の娘すみかに横恋慕し、父親の横領をネタに脅迫して妻にしようと企む。しかし、直樹の人柄と死をも恐れぬ行動に心を動かされ、潔く身を引く。
中沢レイ(なかざわ れい)
中沢の妹。
綾(あや)
浅野と愛人の母親との間に生を受けた女性。癌に蝕まれた母親を助けたい一心で父親の家に災いを齎す使者の役割を演じたため、浅野家の人々に憎悪されている。直樹により神戸病院に入院するが、既に生きているのが不思議なくらいの余命幾ばくもない状態だった。父親と腹違いの姉を救って欲しいと直樹に懇願し、それが叶えられたと知ることなく亡くなる。
浅野(あさの)
神戸の「S産業KK貿易(株)」の社長。18年前に愛人を囲おうとして会社の金に手をつけるも大した金額ではなかったことと、愛人とその娘と手を切って親子3人で平穏に暮らしていた。しかし、母親を助けたい一心で中沢の手先に成り下がった綾がやって来たため、中沢に脅迫されて資金源として会社を食い物にされてしまう。
浅野すみか(あさの - )
浅野の正妻の娘。愛人の娘である異母妹・綾を汚らわしいと憎んでおり、また「風」の殺人を犯した過去を知ると助けを求めてすり寄っておきながら、騙したと罵声を浴びせる。

書籍情報[編集]

  • 高階良子 『さすらいの口ぶえ』 講談社〈講談社コミックスなかよし〉、全1巻
1976年(昭和51年)4月5日発売 ISBN 4-06-108240-X
  • 高階良子選集16[シャンバラ(下)](秋田書店ボニータコミックスα)
2013年6月14日発売 ISBN 978-4-253-09394-1