零空間

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数学、とくに関数解析学において、線形作用素 A: VW零空間(ぜろくうかん、れいくうかん、null space)あるいは核空間(かくくうかん、kernel space)とは、

Nul(A) := {x in V | Ax = 0}

のことである。Nul(A) は N(A) や Ker(A) などとも書かれる。とくに Ker は零空間が線形写像としての A (Kernel) にあたることを意味するのであるが、零空間という語を用いる文脈においては、核ということばを熱核 (heat kernel) などの積分核に対して用いていることがほとんどであろうから注意されたい。

また、零空間という語をもちいる文脈においては、線形写像の像 (image) は値域 (range) と呼ばれ、線形作用素 A の値域は Ran(A) や R(A) と綴るのが通例のようである。

零空間は、ベクトル空間 V部分空間である。さらに、 商空間 V/(Ker A) は、 A の像 Ran(A) に同型である; 特に次元について

dim Nul A = dim V - dim Ran A.

が成り立つ。

Nul A = {0} であることと、線形写像 A単射であることとは同値である。

もし、 VW有限次元 であり、 基底 が選ばれているならば、 A行列 M として表すことができて、 零空間は、線形連立方程式 Mx = 0 を解くことで計算できる。零空間の次元は、行列 M の列の数から階数 rank M を引くことで与えられ、それはまた行列 M退化次数 (nullity) でもある。

関連項目

  • (カーネル)