金成マツ

かんなり マツ 金成 マツ
金成マツ（右）と養女の知里幸恵（左）
生誕	金成 广知（かんなり まち） 1875年11月10日 北海道登別市
死没	1961年4月6日 北海道
国籍	日本
別名	イメカヌ、イメカノ
民族	アイヌ民族
宗教	キリスト教（聖公会）
子供	（養子、姪）知里幸恵
親	（父）ハエリレ（金成恵理雄） （母）モナシウク（金成茂奈之）
親戚	（妹）金成ナミ （甥）知里真志保 （従兄）金成太郎
受賞	紫綬褒章（1956年）

金成 マツ（かんなり まつ、1875年（明治8年）11月10日 - 1961年（昭和36年）4月6日）は、北海道幌別郡オカシペッ（現：登別市千歳町）出身のアイヌ女性。正しい和名は金成 广知（まち）。アイヌ名はイメカヌまたは、イメカノ。ユーカラの伝承者として高名である。

略歴

• 1875年、母モナシノウクと父ハエリレの間に生まれる。母モナシノウクは膨大なユーカラを暗唱していた。
• 1883年、父ハエリレが死去、1891年、怪我により半身不随となる。
• 1892年、妹の金成ナミと共にジョン・バチェラーによって設立された函館の愛隣学校に入学し、卒業後、妹と共に平取村の開拓・キリスト教（英国国教会）の布教にあたった。
• 1909年、妹ナミの娘である知里幸恵を養女として迎える。
• 1922年、養女・幸恵が亡くなり、1928年金田一京助の説得により幸恵の遺志を継ぎユーカラの記録を始める。
• 1956年、無形文化財の保持者と認められ紫綬褒章を受章し、1959年『アイヌ叙事詩ユーカラ集』が発行される。
• 1961年4月6日、85歳で死去。

左からマツ、金田一京助、ナミ

金成マツノート

マツが、ユーカラ（叙事詩）やウエペケレ（昔話）をラテン文字表記で約100冊のノートに書き綴ったものを、金田一京助が翻訳したものが三省堂より出版され、金田一の死後、北海道教育委員会の依頼により萱野茂が翻訳し1982年より毎年報告書が刊行された。萱野の死後は蓮池悦子、萱野志朗、切替英雄らによる翻訳が続けられ、報告書が毎年刊行されている。

出版物

• ユーカラ集〈第1〉―アイヌ叙事詩, 三省堂, 1959

金成姓

1873年10月、マツの一族は叔父カンナリキに因んで『金成』を苗字とした。その後、父は金成恵理雄、母は金成茂奈之、叔父は金成喜蔵を和名とした。

親族

• 姪で養女の知里幸恵は『アイヌ神謡集』の著者、甥の知里真志保はアイヌの言語学者
• 従兄弟の金成太郎は愛隣学校の校長

参考文献

• 荒井源次郎 著、加藤好男 編『荒井源次郎遺稿アイヌ人物伝』公報社、1992年5月。 
• 中村敏『日本プロテスタント海外宣教史』新教出版社、2011年