貯水槽

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貯水槽(ちょすいそう)とは、を貯める施設・設備のこと。上水道用水のほか工業用水防火用水などの用途がある。受水槽、高置水槽、圧力水槽に大別される。

材質

コンクリート、金属(ステンレスまたは鋼板)、樹脂(主に、FRP)で製造されている。 水槽には、「点検用マンホール」や、「オーバーフロー管」、「吸気管」、「水抜管」等設置されている。

受水槽

  • 水道引き込み管から引き込んだ水道水を貯水するタンク
  • 設置場所は原則として地階又は地上、稀に建物の2、3階に設置(供給水道管の給水圧による。)されているものもある。
  • 飲用等に用いる場合の容量は1日の総使用量の40%~60%。
  • 死水域を作らないように、迂回壁FRPステンレス鋼クラッド鋼を用いる)を設置するのが一般的。死水防止のため給水管とポンプサクション管は対角線上になるように設置する。
  • 最近の設置されているものは清掃作業および補修工事中に断水させずに作業が出来るように受水槽内に隔壁を設けて2槽式として、連通管を介して1つの槽とする。又は水槽を2基設置し連結し運用している。

なお、受水槽を介する給水の場合、以降の給水に電動ポンプを介するため、停電などの影響や、機器の故障により影響を受ける恐れがある。

受水槽と併せ高置水槽(高架水槽)を設置する場合と、給水ポンプの圧力で給水を行う場合がある。

副受水槽

高置水槽

高置水槽

受水槽に給水した水を電動ポンプにより給水する設備。建物の屋上に設置する。これ以降高低差による圧力により給水栓への給水が行われる。長所としては一定水量を貯蔵するので、急な使用水量の増加や断水に対応が容易。文教施設・医療施設等の一時的に大量の水を使う施設に適している。短所としては常に水槽の管理を求められるため、一定以上の規模の建築でないと水質の悪化が懸念される。

  • 水圧変動が少なく、過度な水使用に耐えうる。
  • 揚水ポンプ発停用・水槽内の満水、減水の警報用の自動制御装置を設置する。
  • 容量は1日の使用量の10%または1時間分が一般的である。
  • 死水域を作らないように、迂回壁(FRP・ステンレス鋼・クラッド鋼)を設置するのが一般的である。
  • 日光の透過によりの発生する恐れがあるため、防止するため水槽照度率を0.1%のFRPを使用。なお、水槽本体に劣化が生じる恐れがあるため、定期的な補修が必要となる場合がある。
  • 高置の鉄骨製架台に設置のため耐震措置が必要。
  • 最上階の湯沸器大便器の洗浄弁であるフラッシュバルブから10m以上、上方が望ましい。

圧力水槽

飲用(上水道用)

ビルマンションなどの高層建築物では、給水栓での水圧を安定させるため、水道水を受水槽に受け、

  1. 電動ポンプなどで屋上の高架水槽(高置水槽)へ給水した後、各給水栓への給水を行う。
  2. 電動ポンプにより、貯水槽に給水した水に直接圧力をかけ、各給水栓への給水を行う。

水道法自治体条例により、貯水槽の点検や清掃、検査が規模の大小を問わず義務づけられている(かつては小規模のものの多くは除外されていた)。

  • 水槽の有効容量が10m³を越えるものはについては水道法による。10m³以下のものは各自治体の条例により適用される。

清掃

1年に1回以上実施する事が定めている。なお、清掃を業者に委託し実施する場合、業者は貯水槽清掃作業監督者の設置が義務づけられている。

点検

必要に応じて、水槽の内部および外部を点検する事が義務づけられている。 なお、電動ポンプ等の電力を利用する設備についても併せて点検が必要である。

検査

  • 年に1度給水設備(主に水槽について)その衛生状態や、設備について検査することが義務づけられている。

なお、水道設備の給水圧の向上(耐震化等による設備の改善と併せて行われている。)により、小規模な貯水槽設備に付いては、直接水道施設の圧力で給水する方式が可能になり、貯水槽を介さずに給水する方式が増えつつある。貯水槽のスペースおよび、ポンプ等の設備を介さないので設備管理の必要がない。但し、阪神・淡路大震災中越沖地震などの大規模災害や、夏期に給水制限を受ける可能性のある地域の場合、貯水槽を介していることにより一定量の水を貯留する事が可能であるため、非常時に備えて槽を設置した方がいいという考え方もある。

関連項目