詩と思想

『詩と思想』（しとしそう）は、土曜美術社出版販売が発行している月刊の詩の雑誌。1972年の創刊。総合商業詩誌であると同時に、編集は詩人たちが行うことで終始一貫しており、全国の詩人・詩愛好者のための共同の詩的広場作りを意図する運動誌的性格をも兼ね備えている。

歴史

『詩と思想』の系譜

第1次『詩と思想』 1972年10月創刊。発行同人・井手則雄、村岡空、澤村光博、西一知、寺門仁、笛木利忠、相沢史郎。これらの詩人が自己資金で土曜社を設立し、詩と批評の新たな総合詩誌を創刊。内容は「列島」「現代詩」（現代詩の会）の内実の継承と公平な詩壇ジャーナリズムの確立。1975年1月まで刊行。後期には、出海溪也編集発行、日本電通社発行所ともなる。

第2次『詩と思想』 1979年1月創刊。発行人・笛木利忠、発行所・土曜美術社（新宿区新宿）。1979年7月号（第三号）から、編集スタッフとして加藤幾惠が参加。1979年3月3日から15日まで、エスパース土曜にて「詩と思想第1回詩画展」開催、以後継続。1981年3月号にて第1回「詩と思想」新人賞発表。第1回受賞者は松井啓子、松尾茂夫。現在も継続。

第2次2期『詩と思想』 1985年3月（30号）より、発行元・土曜美術社（新宿区市谷薬王寺町）、詩人たちの手による編集委員会発行となる。39号までの編集委員は、途中の辞任者も含めて高良留美子、森田進、しま・ようこ、木津川昭夫、佐久間隆史、清水和子、宇野恵介。編集スタッフとして一色真理、中村不二夫、岡島弘子、雨宮慶子他。1988年3月（40号）より、雨宮、中村が編集委員に加わり、月刊態勢に戻る。以後、現在まで月刊態勢を堅持している。

第2次3期『詩と思想』 1989年4月（52号）より小海永二が編集長に就任。編集委員会、編集顧問、購読会員からなる新制度によって現在まで刊行。1992年9月号（90号）より土曜美術社出版販売発行となる。加藤幾惠取締役社長に就任。小海が編集顧問に就任後、森田進、中村不二夫、葵生川玲が編集長を歴任。この間の編集委員は、麻生直子、小川英晴、佐久間隆史、一色真理、佐川亜紀。2002年より、麻生秀顕、中島悦子、沢田英輔が編集スタッフとして参加。加藤幾惠急逝後の社主は高木祐子。 この期間の編集方針は、とくに壇の公器として公平な視点からの地方性の掘り起こし、既成の詩壇ジャーナリズムにとらわれない詩史の書き直し、美術・音楽との接点、マイノリティへの視座などに注力。

第3次『詩と思想』 2011年現在の編集長は一色真理、編集委員は中村不二夫、小川英晴、佐川亜紀、長谷川忍、伊藤浩子。編集方針として「社会性」「地域性」「国際性」を三本柱とし、定期購読会員を中心とした世代や傾向に偏らない総合月刊詩誌として土曜美術社出版販売から刊行。 また詩誌を支える全国の編集参与。は、相沢史郎、葵生川玲、秋吉久紀夫、麻生直子、有馬敲、井奥行彦、石原武、内山登美子、大井康暢、岡崎純、小川琢士、柏木義雄、片岡文雄、菊田守、木津川昭夫、呉美代、古賀博文、小坂太郎、小松弘愛、坂井信夫、佐久間隆史、柴田三吉、島田陽子、杉谷昭人、進一男、瀬谷耕作、高橋英司、田中国男、寺田弘、中原道夫、西岡光秋、野田寿子、芳賀章内、原子修、日高てる、前原正治、丸山勝久、溝口章、村田正夫、森田進。

主な特集

• 1972年10月号「戦後詩の思想的再検討」。座談会・石原吉郎、吉野弘、長谷川龍生。岡庭昇「吉本隆明論」、一色真理「石原吉郎と吉岡実論」他。
• 1972年11月号「戦後詩の思想的再検討」。中川敏「長谷川龍生と黒田喜夫論」他。
• 1972年12月号、境忠一「松永伍一と高橋睦郎論」、郷原宏「長田弘と鈴木志郎康論」他。
• 1973年1月号「日本モダニズム批判座談会」。伊藤信吉、中野嘉一、井手則雄、澤村光博。
• 1979年1月（1号）「特集・日本の現代詩33年」。「座談会・戦後詩の出発」秋谷豊、関根弘、吉野弘。「座談会・現代詩の動向」郷原宏、鈴木志郎康、山本博道、司会・小海永二。
• 1979年3月（2号）「特集・現代詩名鑑一四五氏」。「座談会・二十歳の見た現代詩」。
• 1980年10月（10号）「特集・詩と性」。「性と詩アンソロジー」白石かずこ、吉岡実、谷川雁、寺門仁、吉原幸子、鈴木志郎康、水川真、伊藤比呂美、田村隆一、関根弘、犬塚堯、長岡三夫、高橋睦郎、岡田隆彦、正津勉、井坂洋子。
• 1983年7月（22号）「特集・「吉本隆明」異論」。「反核詩」大崎二郎、黛元男、しま・ようこ、新井豊美、井上英明、石垣りん、吉野弘、吉原幸子。「寺山修司追悼詩」長谷川龍生。
• 1985年3月（30号）「特集・現代詩総批判」。中平耀「伊藤比呂美批判」、佐久間隆史「入沢康夫批判」、清水和子「谷川雁批判」、斎藤真理子「女性詩ブームをよむ」、大河原巌「結社批判」、泉谷明「結社批判」、村島正治「現代詩を斬る」、一色真理「戦後詩総批判」。
• 1986年4月（33号）「特集・日本の詩百年を問い直す」。森田進「可能性としての近代詩」、山本楡美子「近代における女性詩のはじまり」、羽生康二「日本の詩百年と民衆詩派」、清水和子「朔太郎的感性の突出と破綻」。
• 1986年8月（34号）「特集・現代詩において他者とは何か？」。座談会・宗左近、しま・ようこ、岡島弘子、森田進。
• 1987年1月（35号）「特集・ことばと現代詩」。高良留美子「長編評論・吉本隆明の“対幻想”とその行方」。
• 1988年3月（40号）「特集・世界の現代詩を読む」。「座談会・今、神々の国の〈隣り〉では―小国現代詩新事情―」清水憲男、つかだみちこ、志田信男、小海永二（司会）。
• 1998年7月 (154号) 「特集現代詩の50人」。岡田武雄、伊藤桂一、三谷晃一、内山登美子、黒田達也、高橋喜久晴、呉美代、福中都生子、西岡寿美子、杉山平一、日高てる、秋谷豊、瀬谷耕作、齋藤怘、辻井喬、野田寿子、木島始、新川和江、[島田陽子 (詩人)|島田陽子、川崎洋、筧槇二、堀場清子、相沢史郎、谷川俊太郎、水野るり子、高良留美子、芳賀章内、西岡光秋、杉谷昭人、鈴木漠、坂井信夫、田中国男、一色真理、小川英晴、木津川昭夫、岡崎純、石原武、井奥行彦、小海永二、村田正夫 (詩人)|村田正夫、原子修、石川逸子、福田万里子、白川淑、菊田守、森田進、葵生川玲、武田肇、山田隆昭、高畑耕治。
• 2003年7月「グローバリゼーション」。
• 2006年7月「韓国、日本、海を越えて」。2006年9月「現代詩の現在」。
• 2007年7月「海外詩の周縁」。2007年11月「名詩の条件(近代詩編)」。
• 2008年4月「現代詩の新鋭」。2008年8月「詩と思想研究会の20年」。
• 2009年3月「言葉と戦争」。2009年7月「インド詩への招待」。2009年8月「同人誌の現在」。2009年11月「現代の名詩‐戦後編」。
• 2010年5月「ネット詩の可能性」。

外部リンク

• 土曜美術社出版販売

関連項目

• 土曜美術社出版販売