行李

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。貿易風 (会話 | 投稿記録) による 2012年5月26日 (土) 02:25個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (「出典の明記」付加)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

行李(こうり)とは、などを編んでつくられた蓋付きので、主に衣類の収納や、あるいは旅行用の荷物入れに用いられた道具。半舁(はんがい)ともいう。 蓋が盛り上がるほど多量に入れることができるが、麻縄で結び、あるいは締め皮で締めることもある。上質の衣服を多量にいれると型くずれすることがある。 数える単位は竹や柳で編んだを表す「梱(こり)」、もしくは蓋のある容器を表す「合(ごう)」。また、荷物を入れた行李は荷物を表す「両(ころ)」で数えることもある。

種類

材質による区分

柳行李
コリヤナギを編んだもの。コリヤナギの枝条を2ないし5時間水に漬け、やわらかくする。これを蓋用、身用に分け、台上で弓竹に張った麻糸の間を1本ずつ枝条の元と先とを交互に並べてその中央部に糸通しをし、左右に編み進める。編むには、指先を用い、上部の枝条を下に、下部の枝条を上にし、両者の間に糸を通す。十字形に編み上げたものは端部を上方に曲げて四隅を縫い合わせ、乾燥し、縁に白、赤または黒の割竹を嵌め、型に製する。全体または所々を籐で締める。高級品はかどに皮、ズックその他を縫いかぶせて堅牢にして、また鞄と同様に皮で結び、錠を掛け提げるものもある。但馬の産が有名。
竹行李
を編んだもの。すすだけが多く、下等品はめだけを用いる。縁竹には苦竹、孟宗竹を用いる。竹は8月から翌年3月ころまでに刈り取り、細くさき、なまのままで編むか、日乾しまたは陰干しまたは硫黄漂白したものを用いる。網代編みにして製することが多く、舛網代、立網代、蘇鉄網代などの種類がある。柳行李よりは外観が劣り、害虫もつきやすいが、きわめて安価で、比較的丈夫である。竹製品のいち品目として輸出された。
渋張行李(しぶはりこうり)
細く裂いた竹を編んだ表に紙を貼り、柿渋を塗ったもの。裏には模様紙または布その他を貼る。外観はよいが、竹の皮を用いず肉部で編むものもあり、堅牢ではない。

用途による区分

飛脚行李
飛脚が郵便物を入れて運んだもの
薬屋行李
薬品類の行商に用いられたもの
飯行李(めしごうり)
弁当を入れるための小型のもの

大相撲における行李

大日本帝国陸軍の行李

旧日本軍の行李

大日本帝国陸軍の「行李」は、戦場に携行する弾薬、糧秣、器具その他を運ぶ追随部隊の名称である。大行李(だいこうり)と小行李(しょうこうり)とがあった。

大行李は通常は、戦術単位以上の部隊および部隊本部、司令部がこれを有した。その内容は将校の荷物、糧秣その他、宿営給養に必要なものであり、すなわち騎兵破壊器具、工兵隊器具、糧秣、荷物、金櫃、職工具、輜重携行器具、予備蹄鉄、蹄鉄工具、炊具、予備車両、予備輓馬その他である。小行李は戦術単位以上の戦闘部隊が携行し、その内容は弾薬または作業用器具その他、戦闘に必要なものであり、すなわち通信器材、衛生材料、弾薬、歩兵器具、工兵隊機材、予備車両、予備輓馬その他であった。戦闘行軍には小行李のみが部隊に追随し、大行李は各部隊を合せて遠方を行軍した。大小行李の補給は弾薬または糧食縦列からおこなった。

関連項目