藤野豊

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藤野 豊(ふじの ゆたか、1952年11月5日 - )は、日本歴史学者(専攻は日本近代史)、敬和学園大学人文学部教授。部落解放にとりくむ富山県連絡会議幹事。

人物

横浜市に生まれ、高校時代から神奈川部落問題研究会に参加。早稲田大学在学中、狭山裁判糾弾闘争や部落解放同盟神奈川県連合会の運動に参加。1972年11月8日、学内を暴力支配する革共同革マル派により友人川口大三郎が虐殺されたことを機に早稲田解放闘争に参加し、革マル派に対抗する早稲田大学全学行動委員会(WAC)のメンバーとなる。当時は大学を退学して部落解放同盟東京都連合会の専従活動家になる予定だったが、部落解放運動の利権あさりと暴力を目の当たりにして方針を転換し、1975年、早稲田大学卒業。卒業論文のテーマは神奈川県の融和運動史。高校教師ののち早稲田大学大学院に入学、全国的な融和運動史と水平運動史を研究、1984年中退。1991年「水平運動の社会思想史的研究」により早稲田大学から文学博士の学位を授与される。1998年富山国際大学助教授、2007年准教授。2007年5月、リストラのため富山国際大学より2010年度末の解雇を通告される[1]。同僚7名で労働組合の結成に参加し、不当解雇撤回、学内民主化の闘いを展開し、大学当局に解雇を撤回させたうえで退職、2011年4月に敬和学園大学人文学部教授に就任。同大学では、学生、教職員の人権を守るために闘い続けている。また、歴史学研究の成果を社会に還元することを重視し、ハンセン病強制隔離政策に対する国賠訴訟、同様の韓国小鹿島・台湾楽生院訴訟、ハンセン病家族訴訟、優生保護法違憲訴訟などにも原告支援の活動をおこない、ハンセン病問題ふるさとネットワーク富山顧問、優生保護法を考える新潟の会代表、9条改憲NO!市民アクション@しばた代表を務めるなど、平和、人権に関する社会運動にも参加している。

著書

  • 『同和政策の歴史』解放出版社 1984
  • 『水平運動の社会思想史的研究』雄山閣出版 1989
  • 『日本ファシズムと医療 ハンセン病をめぐる実証的研究』岩波書店 1993
  • 『それぞれの選択 「大検」からみた学校・教育論』かもがわ出版 1997
  • 『日本ファシズムと優生思想』かもがわ出版 1998
  • 『強制された健康 日本ファシズム下の生命と身体』吉川弘文館 2000
  • 『被差別部落ゼロ? 近代富山の部落問題』桂書房 2001
  • 『性の国家管理 買売春の近現代史』不二出版 2001
  • 『「いのち」の近代史 「民族浄化」の名のもとに迫害されたハンセン病患者』かもがわ出版 2001
  • 厚生省の誕生 医療はファシズムをいかに推進したか』かもがわ出版 2003 
  • 『近現代日本の買売春』解放出版社、2004 
  • 『ハンセン病と戦後民主主義 なぜ隔離は強化されたのか』岩波書店 2006
  • 『忘れられた地域史を歩く 近現代日本における差別の諸相』大月書店 2006
  • 『ハンセン病反省なき国家 『「いのち」の近代史』以後』かもがわ出版 2008
  • 『戦争とハンセン病』吉川弘文館・歴史文化ライブラリー 2009
  • 『戦後日本の人身売買』大月書店 2012
  • 『孤高のハンセン病医師 「小笠原登日記」を読む』六花出版 2016
  • 『「黒い羽根」の戦後史』六花出版 2019
  • 『強制不妊と優生保護法』 岩波ブックレット 2020
  • 『戦後民主主義が生んだ優生思想ー優生保護法の史的検証』六花出版 2021

編著・共著

  • 『米騒動と被差別部落』黒川みどり,徳永高志共著 雄山閣出版 1988 ISBN 4-639-00723-X
  • 『歴史のなかの「癩者」』編著 ゆみる出版 1996
  • 『教室から「自由主義史観」を批判する 差別と侵略の近代史』編著 かもがわ出版 1997
  • 『近現代日本ハンセン病問題資料集成 戦前編』全8巻 不二出版 2002
  • 『近現代日本ハンセン病問題資料集成 戦後編』全10巻 不二出版 2003-2004
  • 『近現代日本ハンセン病問題資料集成 補巻』全15巻 不二出版 2004-2007
  • 『近現代日本ハンセン病問題資料集成 戦前編・戦後編 解説・総目次』不二出版 2004
  • 『知っていますか?ハンセン病と人権一問一答』神美知宏牧野正直共著 解放出版社 2005
  • 『近現代部落史 再編される差別の構造』黒川みどり共編 有志舎 2009
  • 『差別の日本近現代史 包摂と排除のはざまで』黒川みどり共著 岩波現代全書、2015
  • 『人間に光あれ 日本近代史のなかの水平社』黒川みどりと共著 六花出版 2022

参考文献

脚注

  1. ^ 『ハンセン病 反省なき国家』あとがき