薬物乱用頭痛

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薬物乱用頭痛
概要
診療科 神経学
分類および外部参照情報
ICD-10 G44.41, G44.83

薬物乱用頭痛 (やくぶつらんようずつう, Medication overuse headaches, MOH)・リバウンド頭痛は、鎮痛薬を頻繁に摂取することで発生する頭痛。リバウンド頭痛は一日中発生し、非常に痛みを伴い慢性化する。 典型的には、偏頭痛緊張性頭痛のため急性頭痛薬を過剰摂取することが慢性化したことで、時間をかけて転換していったものである。

MOHは深刻であり、生活への支障が大きく、とても特徴的な症状である。それは世界的な問題であり、現代の頭痛の3番目に多い症例である。人口ベースの研究ではMOH有病率は一般的に人口の1-2%と報告されている。しかしその相対的頻度は2次的・3次的ケアに高い。

分類

薬物乱用頭痛はICDH分類上で認識されている.[1]

原因

このタイプの頭痛は、多々の薬物の頻繁な使用によって引き起こされる。一例に、トリプタンエルゴタミン鎮痛薬オピオイドがある。.[1]

MOHを引き起こすメカニズムは広くは分かっておらず、影響の明細は研究実験や適切な動物実験モデルが無いために進んでいない。 遺伝的気質・受容体と酵素の生理機能とレギュレーション・心理学および行動的要因・身体的依存関係・最新の機能イメージング分析などで、様々な病態生理学的な異常項目が報告されており、慢性的な頭痛の発症と継続に重要な役割があると考えられている。

治療

MOHは一般的であり治療可能である。過剰投与薬物は患者の頭痛を解決するために断薬すべきである。臨床データは予防治療を開始しながら突然の断薬を行うことを示している。 しかしながら過剰投与薬物の中断は、たいて頭痛や薬物離脱症状の悪化につながる (かつて過剰投与薬物に大きく依存している場合、2-10日間は継続し、過剰投与薬物をさらに摂取することで開放される)。これは過剰投与の継続を再強化することになりかねない。身体的依存やリバウンド頭痛などリバウンド効果が出現している間は、薬物を徐々に減薬することが必要になる。[2]

突然薬物を中止すると別の問題を発生させる可能性があるため、突然の断薬の前に担当医師によく相談することが重要である。シンプルな市販薬などは医師の指導無しに断薬することができるが、例えばbutalbitalなどではいくつかの患者で突然の断薬が発作を誘発している。ナプロキセン(500 mg/1日2回)などの長時間作用型/抗炎症は、離脱期間中の頭痛緩和に使用できる。[3][4]

断薬後2ヶ月の薬物乱用頭痛に苦しんだあと、たいてい片頭痛やその他の頭痛の頻度・強度が著しく低下していることが注目される[5]

薬物離脱は国を問わず難しい問題である。ほとんどの医師は入院プログラムを好むが、ある薬物の離脱については単純MOHの患者は外来にて治療できている。(深刻な併用疾患がない場合、オピオイドやergotaminics乱用ではなく、初期の解毒段階である場合) MOH患者での予防剤の選択は、一次性頭痛タイプ(片頭痛またはTTH)、薬物の副作用、患者の病態と現状、患者の好み、以前の治療経験などに基づくべきである。

45%以上の患者が再発により初期の頭痛が再発し、薬物乱用に戻るというエピソードは注目に値する。

再発予測については、MOHに発展した一次性頭痛のタイプ、乱用薬物の種類などが影響すると考えられる。(鎮痛薬、鎮痛薬の組み合わせ、特にバルビツール酸または抗不安薬を含む薬は非常に高い再発率をもつ)。性別、年齢、病気、病気の期間、予防治療が行われる前の摂取量は、再発率を予測する傾向を持たないと思われる。

MOHは、薬物の過剰摂取による併存疾患リスクの可能性が十分に考慮されていないことが、明らかに障害の原因である。MOHは過剰使用薬の離脱と、離脱期間について医師と患者の密接なアプローチ関係の形成によって治療することが可能である。

歴史

リバウンド頭痛はDr. Lee Kudrowによって初めて報告された。[6]

参考文献

  1. ^ a b 216.25.100.131” (PDF). the Headache Classification Subcommittee of the International Headache Society. 2011年6月10日閲覧。
  2. ^ de Filippis S, Salvatori E, Farinelli I, Coloprisco G, Martelletti P (2007). “Chronic daily headache and medication overuse headache: clinical read-outs and rehabilitation procedures”. Clin Ter 158 (4): 343?7. PMID 17953286. 
  3. ^ Silberstein, Stephen D. & McCrory, Douglas C. (2001) "Butalbital in the Treatment of Headache: History, Pharmacology, and Efficacy." Headache: The Journal of Head and Face Pain 41 (10), 953-967.
  4. ^ Loder, Elizabeth & Biondi, David (2003) "Oral Phenobarbital Loading: A Safe and Effective Method of Withdrawing Patients With Headache From Butalbital Compounds." Headache: The Journal of Head and Face Pain43(8), 904-909.
  5. ^ Zeeberg P, Olesen J, Jensen R (June 2006). “Probable medication-overuse headache: the effect of a 2-month drug-free period”. Neurology 66 (12): 1894?8. doi:10.1212/01.wnl.0000217914.30994.bd. PMID 16707727. http://www.neurology.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=16707727. 
  6. ^ Kudrow L (1982). “Paradoxical effects of frequent analgesic use”. Adv Neurol 33: 335?41. PMID 7055014. 
  • Diener H-C, Limmroth V. Medication-overuse headache: a worldwide problem. Lancet Neurol 2004; 3:475-83.
  • Katsarava Z, Limmroth V, Finke M, Diener HC, Fritsche G. Rates and predictors for relapse in medication overuse headache: a 1-year prospective study. Neurology 2003; 60: 1682-1683.
  • International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders: 2nd Edition. Cephalalgia 2004; 24(suppl 1):9?160.
  • Olesen J, Bousser MG, Diener HC, et al. New appendix criteria open for a broader concept of chronic migraine. Cephalalgia 2006; 26: 742-6.
  • Sances G, Ghiotto N, Galli F, Guaschino E, Rezzani C, Guidetti V, Nappi G. Risk factors in medication-overuse headache: a 1-year follow-up study (care II protocol). Cephalalgia. 2009 Jul 13. [Epub ahead of print].
  • Silberstein S, Olesen J, Bousser MG, et al. The International Classification of Headache Disorders. 2nd ed. (ICHD-II). Revision of criteria for 8.2 medication-overuse headache. Cephalalgia 2005; 25:460?465.

外部リンク